2019/2/13

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日本では投信残高の6割以上を60歳以上が保有しているといわれるように、保有者はシニア世代が中心だ。もちろん、シニア層をひとくくりにはできないが、一般論でいえばシニア層は60歳未満の資産形成層に比べて運用期間が短く、損失を挽回する機会は限られる。虎の子の退職金で投信を購入した人も多そうで、損失の痛みは時間を味方にできる資産形成層より相対的に大きい。超長期の運用を旨とするGPIFとも同列には論じられず、資産価格の下落率を勘案しても、18年に投信が個人投資家にもたらした損失額は少々大きすぎたという印象を受ける。

保有投信、高リスク資産に偏重

何が問題なのか。独立系運用アドバイザーの吉井崇裕氏は「シニア層が投信保有者の中心であることを前提に考えると、個人は投信で大きなリスクを取りすぎている」と指摘する。

グラフBは18年末時点の追加型株式投信の主要分類別残高だ。少々乱暴な見方ではあるが、国内の投信保有者全員を束ねて1人の投資家と見立てた場合の、投信ポートフォリオといえる。

グラフを一見してわかるのが、株式で運用するタイプの比率が高い点だ。国内株式型と海外株式型に加え、大半のバランス型も債券以外に株式も組み入れているため、実質的には投信ポートフォリオの半分程度を国内外の株式で運用しているとみられる。

株式は債券などに比べて高いリターンが期待できる半面、価格変動のブレも大きく、相場の下落局面では大きな損失を被りかねない。吉井氏は「資産形成層なら株式中心の運用でいいが、シニア層なら投信全体に占める株式型の比率は2~3割が妥当」という。

さらに、海外債券型の中には株式と同じように価格変動リスクの大きいハイイールド債や、新興国債券で運用するタイプ(両者合計で全体の8%弱)が含まれている。保有者の年齢や運用期間からみると、個人の投信ポートフォリオは高リスクの資産に偏っているように映る。

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「分配金」「高リターン」の果て