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24時間サービスにチャレンジ!  遠隔手話通訳、初めてのユーザーに笑顔

社会起業という選択(6)

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NIKKEI STYLE

ITを使って手話ビジネスを展開しているシュアールグループ代表の大木洵人(おおき・じゅんと)です。「聴覚に障がいがあるということで、ろう者が夢をあきらめることのない社会」を実現させることを経営ビジョンに掲げています。

私たちは、タブレット端末やパソコン、スマートフォンを利用し、遠隔地からテレビ電話にて行う手話通訳サービスを提供しています。いつでも、どこでも、短時間でも、手話通訳者を呼び出すことができます。2018年12月には日本航空にシュアールの遠隔手話通訳が導入されました。JALグループのコールセンターや、JALプラザ・羽田空港の一部カウンターでの問合せや手続きに手話通訳が使えます。皆さんの生活の中で、手話通訳を付けることのできる場面が着実に広がってきています。

ボランティアが支えてきた手話の世界

ところで、皆さんは「手話」と聞いて「ボランティア」や「福祉」という言葉を思い浮かべるのではないでしょうか? 「手話ビジネス」ときいてもピンと来ない人が多いと思います。それには、手話サービスの歴史が関係しています。

手話通訳には手話通訳士という唯一の公的資格があります。1989年(平成元年)に試験が始まり、現在3608人の手話通訳士が全国にいます(2018年12月31日)。合格率14.8%の難関資格にも関わらず、正規雇用で働いている手話通訳士は圧倒的に少ない状況です。現在、仕事をしている手話通訳士の82.1%が非正規での雇用形態になっているというデータもあります。手話を仕事にする人が少ないのは、これまで手話界がボランティアの方々によって支えられてきたからです。彼らが手話界にもたらした功績は目覚ましく、彼らなくしては今の手話業界はあり得ませんでした。

ただ、ボランティアだけが担う状況では時代のニーズに合わない部分も出てきました。行政の手話通訳派遣は通訳者の調整に時間がかかるため、事前に予定がわかっている場合に限られます。緊急で利用したい場合に使えません。また、仕事や遊びに関する用途には派遣できないという限界がありました。

前回記事「手話のバックコーラスで紅白に出演サークル活動は順調に始まったが...」で触れたように、私たちはオンラインで手話の動画を配信するアイディアを思いついて学生ボランティア団体「手話ネット」を立ち上げましたが、手話の娯楽制作を行う過程でさまざまなことに気づくことになります。手話に関する多くの社会問題がある事もわかりました。

自分の中で「ビジネスベースに乗る仕組みを作り上げなければ、私の取り組む社会課題は解決できない」という思いが段々強くなりました。たとえば、電話をかけられないばかりに、わざわざ市役所に出向く方もいらっしゃいます。職員の方に代わりに電話をかけてもらうためです。110や119も利用できず、日々の生活に大きな不安があるのです。これらの社会問題が起きているのは、決して聴覚障がい者の方々に原因があるのではなく、社会システム側の問題なのは明らかでした。

同時期に、学生ボランティア団体に法人格がないため大企業に企画を断られるという経験もしました。その帰り道にファーストフード店で行った反省会の中で、私は起業する決心をしたのです。2007年11月14日の事でした。

まずは地道に資金集め!

起業したら自然と仕事が入るわけではありません。活動資金集めという問題が常について回ります。最初に始めたのはビジネスコンテストへの出場です。多くのビジネスコンテストでは、賞金が出るので活動資金に充てる事が出来ます。そして、アドバイザーがついてくれて事業モデルをブラッシュアップする機会がもらえることも多くあります。学生向けのビジネスコンテストに多数出場し、多くの方の支援とアドバイスのおかげで多数の賞を頂きました。特に慶應義塾大学の同窓会の一つであるメンター三田会の多大なる御支援のおかげで、台湾で開催されたGlobal TiCへ出場でき、最優秀起業家賞を頂きました。

しかし、ビジネスコンテストだけでは安定した収益は得られません。そこで、ろうのメンバーと一緒にカルチャースクールで手話教室を行ったり、テレビ番組の手話指導の仕事をもらったりと地道に仕事を続けました。

168時間連続! 遠隔手話通訳を提供

集まったお金を基に自分たちが本当にしたかった「遠隔手話通訳」の実証実験を始めることになります。2011年2月に我々は大きな挑戦をしました。それは、1週間連続で休まず遠隔手話通訳を提供する事です。24時間×7日で168時間連続です。

遠隔手話通訳とは、聴覚障がい者自身や聴覚障がい者が来店した店舗のスタッフの方がテレビ電話を使って手話通訳者を呼び出し、離れたところから手話通訳を利用するサービスです。シュアールでは手話通訳者を雇用し、コールセンターを運営する事で、手話通訳依頼のコールをいつでも受けられるようにしています。ビジネスコンテスト応募と同時進行で1時間程度の遠隔手話通訳の実証実験は回数を重ねていきました。ただ、我々の大きな目標の一つに緊急電話対応があり、将来的には24時間の対応が求められます。

そこで、まずは短い期間でも24時間の対応をしてみようと地元の聴覚障害者協会の会員数十名にモニターになって頂き、NEC様・UQコミュニケーションズ様から機材の無償貸出、地域の手話通訳者の方、お店の方に多大なる御協力を頂き、1週間連続の通訳対応を実施しました。そして、ある夜に通訳依頼が入ります。

「電話で寿司が来るというのを聞いたことがあるが、本当ですか?」

その方は家族がみんな聴覚障がい者だったので、人生で出前を取ったことがなかったそうです。通訳者が代わりにすし屋に電話をして出前を注文しました。すると、30分ほどして同じ方から再び入電がありました。「違う商品が来た」とか「届かない」とかのクレームだったらどうしようかと不安でしたが、コールを受けるとパソコンの画面いっぱいにお寿司が写り、満面の笑みを浮かべた利用者の方が寿司桶の横から顔を出しました。

「本当に届いたよ!ありがとう!!」

私たちのサービスが求められている、役に立てるんだ!と思えた瞬間でした。

大木洵人
シュアールグループ共同創業者、代表。手話通訳士。1987年群馬県生まれ、慶應義塾大学環境情報学部卒。「聴覚障がい者と聴者の本当の意味での対等な世の中を作れないか」と考え、2008年にシュアール(ShuR)を大学2年生で創業。「手話ビジネス」を実現すべく、遠隔手話通訳や手話キーボードなど、手話のIT事業を多数展開する。

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