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手話のバックコーラスで紅白に出演  サークル活動は順調に始まったが…

社会起業という選択(5)

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NIKKEI STYLE

ITを使って手話ビジネスを展開しているシュアールグループ代表の大木洵人(おおき・じゅんと)です。前回の記事では急遽、フォーブスジャパンから「世界を変えた20代」に選出して頂いた話を書きましたが、今回から再び私の活動に話は戻ります。第3回「手話をしたいけど場所がない だったら、サークルを作ろう!」で手話サークルを立ち上げた話までを書きました。今回はサークルを立ち上げてからの出来事です。

「手話の娯楽」が少ない

サークルを立ち上げた翌月の2007年11月頃、入学直後に知り合ったKから久しぶりにメールが入りました。

K 「手話サークル立ち上げたんだよね?紅白歌合戦に出てみない?」

私の高校の文化祭企画で紅白歌合戦というものがあったので、初めて彼からメッセージをもらった時、似たような大学の文化祭企画か地域の商店街の小さなイベントの話だと思い込んでいました。

「お!いいね!時期はいつ頃?」

K 「大みそかに決まっているだろ!」

彼の2通目のメッセージを見て、初めて本物のNHK紅白歌合戦の事だとわかりました。SFCの先輩である一青窈さんからの手話バックコーラスの依頼でした。

NHK紅白歌合戦に出演できるとわかり、サークルのメンバーは大騒ぎ!経緯を確認すると、一青窈さんが紅白のバックコーラスをご自身の出身アカペラサークルに依頼した時に、手話も付けたいと要望したらしく、そのアカペラサークルに在籍していた友人Kから、手話サークルを立ち上げたばかりの私に連絡があったということでした。

結局、NHKの手話講座の先生に指導を頂く形で、手話サークル設立3ヶ月目にして紅白歌合戦に史上初のバック手話コーラスとして出場することになりました。今思うと、だいぶ無茶な事をしたなと思います...。

ちなみに、会社を設立後にも色々なメディアに出させて頂いていますが、テレビデビューをした紅白歌合戦を視聴率で抜く事は今後も絶対にないと思います(苦笑)。

紅白歌合戦に出場後、半年以上経ってからも手話関係の雑誌から取材の依頼が来たり、手話歌でのコラボの企画を頂いたりと問い合わせを多く頂きました。嬉しかった半面、半年以上前の話が取り上げられ続ける事に少し違和感を覚えました。

理由を考えてみると、手話の娯楽が少ないことに気が付きました。確かにNHKの手話ニュースや手話講座があったり、手話に関する映画が制作される事はあります。ただ、私たち聴者がテレビをつければ、毎日新たに作られるバラエティー番組、ドラマ、クイズ番組、スポーツ解説を無料で気軽に得られる環境にある事と比べると、手話の娯楽は圧倒的に少ない状況でした。

そこで、当時はスマートフォンもなく、USB型のデータ通信端末が出始めたばかりの時代でしたが、オンラインで手話の動画を配信するアイディアを思いつき、学生ボランティア団体「手話ネット」を立ち上げました。

活動を始めるには足りないものがたくさん...

しかし、いきなり手話の映像を作成しようと思っても色々な課題に直面します。

まず、写真は第1回でもお話ししたように、戦場カメラマンを目指していた時にたくさん撮っていましたが、映像となると経験も技術もありませんでした。そこで旅番組であれば気軽に作れるのではないかと考え、ぶらり旅形式での映像作成から始めることにしました。

次に問題となったのは、出演者です。手話サークルを立ち上げたものの、ろう者の知り合いがいたわけではなかったので困りました。そこで、自宅近くの公民館の手話教室に出向き、先生に出演依頼をすることにしました。この作戦は成功し、手話の先生に番組への出演協力を頂けることになりました。実は、この手話教室に参加していたのが、後に手話ダンスでメジャーデビューをするHANDSIGNの二人でした。15人ほどの小さな手話教室でしたが、不思議な出会いがあるものです。

そして、最後は活動資金の問題です。学生ボランティアとして活動するにしても、映像制作をするためにはビデオカメラが必要だし、交通費などの費用もかかります。大学の先輩で高校生向けのボランティア活動をしていた先輩に相談をすると学部生向けの活動資金援助が大学にあると教えてもらい、無事に補助をもらえる事になりました。

手話の娯楽を作るために、ろう者の人たちと過ごす時間が増えたことで、今まで気が付かなかった社会問題に気が付くようになります。ある日、手話の先生が風邪をひいて辛そうだったので、今日の活動は早めに終えていいので、病院に行った方が良いと提案したら、手話通訳者の派遣は数日前までに依頼する必要があり当日では間に合わないと言われて、驚きました。

また、一緒に撮影のために地方に向かっている電車の中で、車内アナウンスが聞こえずに電車が車間調整のために一時的に止まっている事がわからずに焦っている場面にも出くわしました。更に、お子さんが夜中に気を失って倒れた際に、119が出来ずに本当に困ったという話も聞きました。

手話の娯楽が少ないという社会問題を解決するために始めた活動の中で、命にも関わる更に大きな社会問題に気付かされました。その話は次回、詳しくお伝えします。

大木洵人
シュアールグループ共同創業者、代表。手話通訳士。1987年群馬県生まれ、慶應義塾大学環境情報学部卒。「聴覚障がい者と聴者の本当の意味での対等な世の中を作れないか」と考え、2008年にシュアール(ShuR)を大学2年生で創業。「手話ビジネス」を実現すべく、遠隔手話通訳や手話キーボードなど、手話のIT事業を多数展開する。

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