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AI採用でエントリーシートはどう変わる?どう変える?

ホンネの就活ツッコミ論(86)

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今回のテーマは「AI採用とエントリーシート」です。AI(Artificial Intelligence/人工知能)が世界中で導入が進む中、就活・採用の現場も例外ではなくなってきました。実際に導入に踏み切った企業は多くありません。ですが、今後数年で一気に導入が進んでいく可能性が高いです。では、就活生はこのAI採用に対してどのような対策を講じていけばいいでしょうか。

AI採用って何?

学生からすれば聞きなれないAI採用。リクルートキャリア・就職みらい研究所「就職白書2018」によると、2018年卒でAI採用を導入している企業は0.4%しかありません。その反面、今後の導入見通しについては、従業員規模5000人以上の企業において23.4%が「検討している」。つまり、今後一気に進む可能性があるのがAI採用です。

では、このAI採用、どのようなものなのでしょうか。ざっくりまとめると、「AIによる合理的な判断での採用」「書類選考を含む採用業務の効率化」「コンピテンシー採用による判断」の3点が挙げられます。

AI、つまり、人工知能が判断するわけですから感情で左右される人の手によるものよりも合理的であることは確かです。2点目の「採用業務の効率化」も当然ですね。人の手で進めるよりもはるかに早いので効率化していきます。3点目の「コンピテンシー採用」とは、行動特性についての評価による採用です。自社で活躍する人材の行動特性を分析。それに合致した学生を採用しよう、というものです。

これまで面接では、自己PRや志望動機などを話せる学生が高評価を受けていました。が、この手法だと、どの学生も面接対策さえすれば選考を突破できてしまいます。あるいは内定まで行くかもしれません。で、ミスマッチに気づいて企業・学生双方が不幸、ということになりかねません。

そこで、コンピテンシー採用では面接だと行動特性や再現性のある能力を評価します。同じサークルの部長(副部長でも何でも)なら、前年と同じことをやったのか、それとも自ら動いたことは何かあるのか、その行動は具体的にはどのようなものか...など、深堀りしていきます。そのうえで、自社の活躍する人材の行動特性と合致するかどうか、学生の行動が企業に入社してから再現性があるかどうかを判断していきます。このコンピテンシー採用もAIだと感情が入らない分、すぐ判定できる、という特徴があります。

将来的には学生の入社先をAIが選ぶ?

このAI採用、将来的にはもっと進化していく、具体的には学生の入社先を決定する、とも言われています。具体的には、就職ナビサイトに登録するとAIが判断して、どの企業ならどれくらい行動特性と企業が求める人物像と合致するか、数値化して勧めていく、というものです。

これと似たものは実際に婚活サイトで導入され、実績を上げています。私も知っている編集者(男性)がこの婚活サイトを利用したところ、お相手を見つけて交際、結婚まで至ったとのこと。この婚活サイトがメディアに出るときはこの知人氏も出るのでちょっと驚いています。

現在の就職ナビサイトでも、お勧め企業が出たり、企業紹介のダイレクトメールが送られてきます。ただ、これらはいずれもAI判断、というよりは企業が広告掲載料を就職情報会社にどれだけ払ったかによって左右されます。それが近未来では大きく変わるかもしれません。

AIは絶対でなく、アマゾンは中止も

こうしたAI採用に対して、学生はそもそもどのようなものかわからない、ということもあり、否定的です。それはそうでしょう、どのようなものか、分からないものに就活の是非が左右されるのですから。それと、AI、言うなれば機械に左右される、という点も抵抗感と言いますか、嫌悪感を示す学生は多いようです。

実際に人工知能、機械だから万全か、と言えばそんなことはありません。アメリカのアマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)は2014年からAI採用の研究を始めました。ところが、技術職の女性採用についてこれまでの慣例パターンを認識してしまったため、女性採用の評価を落としてしまったのです。

技術職採用はこれまでは男性社員の応募が多数でしたが、近年は女性も増えています。ところがAIは「男性が多い=男性を採用すべき」と判断してしまったのです。このアマゾンの採用導入の見合わせはAI採用がまだ未完成、かつ発展途上の段階にある、と言っていいでしょう。

日本では大量採用・働き方改革の影響も

では、日本ではこのAI採用、どうなるでしょうか。私はある程度、従来の手法、つまり人海戦術に頼る部分とAIに任せる部分が併存する企業が多数派になる、と見ています。

まず、完全にAIに任せるにはまだAIそのものが発展途上段階です。さらに導入にはコストもかかりますし、そのコストに耐えられるのは一部の大企業のみでしょう。実際、現時点で導入をしているのはNECソフトバンク、ANAなどごくわずかです。

ただし、日本の企業は基本的にある程度の人数の母集団を形成、そこから選別していく、という採用手法をとっています。これは大手企業だけでなく、準大手・中堅以下の企業も同様です。この母集団形成のために、合同説明会にブースを出す、あるいは大学を訪問し学内説明会・セミナーを開催していくのです。

この母集団形成のための手間暇は相当かかります。エントリーシートも読み込むのに時間がかかります。この手間暇がかかる作業は労働時間の短縮・効率化を考える働き方改革とは大きく矛盾します。

エントリーシートについては、これまでも大学名や適性検査のスコアで選別、下読みを就活ベンチャー企業に任せる、などいくつかの手法がありました。しかし、大学名による選別は公平性を欠く、との批判も強く、また、潜在能力の高い学生(所属は難関大以外)を弾いてしまうリスクがあります。適性検査はある程度の担保となり、かつ、時間短縮には役立ちます。その反面、費用負担が企業には重く、そう簡単に導入できません。この費用負担はエントリーシートの下読みを就活ベンチャー企業に任す、という手法も同様です。

その点、AIだと最初の導入コストはかかるものの、時間短縮につながる、というメリットがあります。今後は、面接(特に最終選考)は人、書類選考はAIとすみ分けをする企業が増えていくのではないでしょうか。

AI化なら、ガクチカを丁寧に

このAI採用が進んでいくと、大変なのは大学と学生です。大学は就職実績を気にしつつも、実際には高等教育研究機関という自負もあって身動き取れないところが多数を占めます。それと就職支援に力を入れていても発想が古すぎて実は役立たず、ということもあります。

そして、学生は学生で情報感度の低い学生が増えています。情報感度が低い、ということは就活についても古い情報をそのまま最新情報と誤解してしまうリスクがあります。そのリスクを認識していないと、時代の変化に対応できず就活でも損をすることになるのです。

では、学生がこのAI化が進んでいく中で、特にエントリーシートをどう書けばいいのでしょうか。実はそれほど難しいことではありません。ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)について、従来以上に丁寧に書く。それだけです。

なぜか、と言えば理由は簡単です。AI採用を導入した企業だと、文章の修辞なども一応の判断材料ですが、一番大きな点は行動特性と再現性です。ということは、役職がどうとか、ナントカ大会で1位になったとか、大きな話を書かずとも問題ありません。地味な話であってもそれを丁寧に書いていけば、行動特性があっているかどうか、再現性があるかどうかを判断してくれます。

仮に、目指す企業がAI採用を導入していなくても、行動特性・再現性を気にする企業は増えています。ということは、AI採用を導入しているかどうかとは無関係にガクチカを丁寧に書けるかどうか、という点が重要になっていきます。

という話を従来のエントリーシート指導、たとえば、文章として体裁を整えましょうとか、ガクチカの項目にも自己PR的な表現を入れましょうとか、そういう古い指導をしている大学はどうするのでしょうか。また、そういう指導を真に受けてしまう学生はどうなるのか、ちょっと心配です。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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