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志望企業選びに必要な3つの理由 就活教室 自己分析(3)

渡辺茂晃 日経HRコンテンツ事業部長・桜美林大学大学院非常勤講師

2019/1/24

前回は「他人から見た自分」を収集し、「ガクチカ」をまとめて「強み」を導き出すところまで説明しました。今回は志望企業を決めるための自己分析についてです。

「志望企業はもう決まっている!」という人もいるでしょう。そのような人でも、本当にその会社で大丈夫なのか、ということを確認するためにも必要な作業になります。その作業とは、志望理由に必要な3つの理由、(1)活躍できる理由 (2)この会社に決めた理由 (3)興味を持った理由になります。

この理由を確認せずに就職活動に突入し、選考試験でことごとく落ちた後に「自分にはこの業界・仕事は合わなかった」では遅すぎます。そうならないためにも、志望業界・企業が本当に自分にあっているのか、3つの理由を確認してください。

活躍できる理由 強みを生かせる仕事

まずは志望企業で活躍できる理由をまとめましょう。2回目でガクチカから自分の強みを導き出しました。志望する業界や企業の仕事は、あなたの強みを生かし、活躍できると言えるのかどうかを確認しなければなりません。企業には、管理部門(総務・人事・経理など)、営業・販売部門、研究部門、システム部門などの仕事があります。同じ職種でも業界・企業によって仕事の進め方は違います。企業の説明会やOB・OG訪問でどのように仕事をするのかを聞き、自分の力を生かせることを確認してください。

もちろん、現時点では活躍できるような力がなくても、入社まで・入社後に身につければ問題はありません。大事なのは「何があってもできる!」という覚悟です。下図を見てください。縦軸に「できる・できない」、横軸に「やりたい・やりたくない」としています。Aの部分に志望する仕事なら、やりたい仕事でかつ仕事をできる能力も十分にあるのですから、活躍できる可能性は高いでしょう。反対にDにある仕事は志望しないほうがいいでしょう。

問題はB(できるけど、やりたくない)とC(やりたいけど、できない)。B(できるけど、やりたくない)は「仕事を通して社会に貢献する・社会を変える」とか「仕事をして周囲に感謝される」ということが「働くモチベーションになる」と思えるか。そう思えるなら「やりたくない」が「やりたい」に変わるでしょう。C(やりたいけど、できない)は「現時点ではできなくても、やりたい仕事ができるなら必死に努力する」「諦めずにできるまで努力する」と思えるか。BかCに志望する仕事があるなら、どっちが自分の性格にあっているのか決めてください。それが活躍できる理由です。

この会社に決めた理由 「判断基準」を明確に

次は「この会社に決めた理由」です。前回説明した「ガクチカ」も含めて、これまでの行動や選択を迫られたときの判断基準は何だったのかを明確にしましょう。いわゆる価値観ですね。例えば、どの授業を履修するか、どんな部活・サークルに入るか、どんな役割を引き受けるか、どんな行動をとるかなど、日々あらゆる場面で判断し、行動してきたはずです。そのときに何を拠り所にして決断してきたのでしょうか。

これは大学生活に限らず、これまでの人生で何らかの決断をした時のことを思い出してみてください。自分はどのような場面で、どのように決断してきたのか、決断場面とその時の判断基準を書き出しみましょう。判断基準の例を示しましたので参考にしてください。

例のように、各場面にある判断基準をタテに見ると、似たような判断基準はなかったでしょうか。人は知らない間、もしくは意識しながら自分の判断基準を持って決断しています。タテ軸のように場面は違っても似たような判断基準で決断していることがわかれば、それがその人の価値観となります。仮に判断基準がそろわない場合には、各判断基準の中でどれを重視して決めたいのか、ここで決めてしまってもいいでしょう。

判断基準が明らかになったら、判断基準をベースに企業選びの重視点を決めます。何を重視するのかは自由ですが、重視点は志望理由にも使いますので、企業に公開してもいい重視点と公開しない重視点の2種類を決めたほうがいいでしょう。

参考までに、日経HRが内定者に選考受けた企業を志望した理由を聞いた調査結果があるので参考にしてください。ただし、あくまでも参考ですので、ご自身で「こんな会社がいい」「働く上でこれは譲れない」といった重視点を決めることです。企業研究の際にはこの重視点を中心に企業を調べると効率がいいので、多すぎず、でも企業の違いが分かる程度あるといいでしょう。4~7つあれば十分です。

日経HR調べ

興味を持った理由 熱い想いを伝える

自分の持っている強みを生かせる、企業選びの重視点に沿って企業を比較・検討し、志望理由に盛り込むと納得度は高まります。これに「どうしてもこの会社で働きたい!」という熱い想いがあると、採用担当者の心を揺さぶります。「商品やサービスが好き」「子どもの頃から憧れていた」「仕事を通して何かを実現したい・課題を解決したい」など、心に秘めているものも1度言葉で表してみてください。

「この仕事をしたい!」「この会社に入りたい!」という、心の底にある、とても重要な行動や考え方の原点となる「興味を持った理由」があれば、その人らしさが伝わる志望理由になるでしょう。ここで注意したいのは、多くの学生の志望理由がこの「興味を持った理由」だけで終わっていることが多いことです。以下に3つの理由を使った志望理由の例をまとめました。参考にしてください。

3つの理由を含んだ志望理由の例
私はもともと「(3)興味を持った理由」で、○○業界に興味がありました。業界の中でも、私は「(2)この会社に決めた理由」を会社選びの基準にして、各社の説明会やOB・OG訪問で話を聞くうちに貴社が私の理想とする働き方ができると確信しました。入社したら「(1)活躍できる理由」によって必ず貴社に貢献できると思っています。

このようにまとめれば志望理由らしい形になります。次回は、これまでの自己分析を選考にどのように生かすか、さらに選考での回答をどう磨くかについて説明します。

渡辺茂晃(わたなべ・しげあき)
日経HRコンテンツ事業部長、桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科非常勤講師。91年入社。高齢者向け雑誌編集、日本経済新聞社産業部記者を経て98年より就職関連情報誌・書籍の編集に携わり、2005年日経就職ナビ編集長、2015年日経カレッジカフェ副編集長、2018年から現職。著書は『これまでの面接vsコンピテンシー面接』『マンガで完全再現! 面接の完璧対策』『面接の質問「でた順」50』など。

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