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味噌メーカーの挑戦 ハート形レモン付き紅茶がヒット

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日経クロストレンド

味噌メーカーの光浦醸造(防府市)が販売する、乾燥レモン付き紅茶「フロートレモンティー」シリーズがヒットを続けている。防カビ剤やワックス未使用の広島県産「エコレモン」を輪切りにした乾燥レモンと、国産有機紅茶のティーバッグをセットにしたレモンティーだ。特徴は、お湯を注ぐだけで、本物のレモンの香りを気軽に楽しめること。現在、販売しているフロートレモンティーシリーズは、8種類。2017年度はフロートレモンティーシリーズだけで、約9000万円売り上げた。

特に人気が高い商品が、15年から販売しているハート形の乾燥レモン付きの紅茶「FLT(フロートレモンティー) レモンハート(以下、レモンハート)」だ。同社のECサイトで発売日時を予告して販売すると、数分で売り切れる状況が続いていた。あまりに注文が殺到することから、抽せんで販売していた時期もあるほどだ。現在は製造体制も整い、ECサイトでは2週間に1度、定期的に販売している。かつてのように数分で売り切れることはなくなったが、「次の発売日まで売れ残ることは、ほとんどない」と、同社の光浦健太郎社長はいう。

同社は山口県防府市で150年以上前から味噌やしょうゆなどをつくり続けている。もともとは業務用の製品のみを製造していたが、8代目の光浦社長は、03年ごろからBtoC向けの新商品を次々と開発。醸造という枠にとどまらず開発したオリジナル商品「乾燥レモン付きの紅茶」(10年発売)が話題となり、業績を伸ばしている。業務用のみ手掛けていた01年度の年商は、4000万円ほどだったが、17年度は約1億9000万円。4.7倍ほどに伸びている。

緑茶にレモン? 外国人旅行者をターゲットにした新商品

19年春頃には、乾燥レモン付きの緑茶と抹茶を発売する予定だ。メーンターゲットは、外国人旅行者。20年の東京五輪・パラリンピックの開催で外国人旅行者がさらに増加することを見込んで開発した。緑茶や抹茶に乾燥レモンを浮かべるという斬新なアイデアについて、光浦社長は次のように話す。

「紅茶の本場、イギリスではレモンを入れて飲む習慣はない。主に日本をはじめ、アジアで広まった飲み方だと言われている。それと同じように、緑茶や抹茶にレモンを入れて飲む習慣は日本にはないが、海外で広まったとしてもおかしくない。それをあえて、日本で仕掛けてみようと考え、乾燥レモンで試作をしてみたところ、意外と合うことが分かった」(光浦社長)。ただ、生レモンは酸っぱすぎ、お茶の色も変わってしまうので合わなかったそうだ。乾燥レモンがあったからこそ、実現できた商品なのだという。

外部のデザイナーに依頼したが……

フロートレモンティーを開発したのは、地元の同級生が営む食品乾燥機メーカーで「乾燥レモン」のサンプルを見たことがきっかけだった。乾物は、味噌やしょうゆと同じ「保存食」という共通点がある。乾物であれば味噌づくりの米麹を乾燥させる技術を生かせることもあり、「乾燥」をテーマに新商品の検討を重ねた。その結果、乾燥レモンをセットにして売る「レモンティー」というアイデアが生まれたという。それから1年ほどかけて開発した。10年に食品・飲料専門の展示会「フーデックス・ジャパン」に初出展。翌年からは食品専門商社の日本珈琲貿易を通じて、スーパーマーケットの「北野エース」に卸すようになった。

光浦醸造が重視したのは、味はもちろん、スタイリッシュすぎないパッケージのデザインだった。スタンダードな商品であっても時代や環境にあったよりよい製法、原料を選び、変化を恐れない味づくりを目指している光浦醸造にとって、懐かしさや温かみを感じる素朴なデザインは商品の安心感ともリンクする。実はパッケージデザインは、商品開発を手掛ける光浦社長が自ら担当している。

もともとデザインに関心があり、スキルがあったのか。「そうじゃない。むしろデザインという言葉は気取ったイメージがあって嫌いだった」という。では、なぜ自身でデザインしているのか。それは、外部のデザイナーに依頼したが、思い通りのデザインがあがってこなかったからだ。

「自分たちが精魂込めて開発した商品への思いが伝わらず、話がかみ合わないことも多かった。商品を開発すれば、必ずパッケージが必要になる。デザインと向き合わないわけにはいかず、自ら手掛けることにした」(光浦社長)。

しかしデザインに関する知識は全くなかったため、独学で進めるしかなかった。描画ソフト「イラストレーター」や画像処理ソフト「フォトショップ」などの使い方を独学で習得。デザイン作業は、仕事が終わった後、寝る間も惜しんで取り組んだ。

素人の垢ぬけないデザインが安心感を生んだ

ブレークのきっかけは、全国の工芸品・雑貨などを扱う中川政七商店との取引だ。中川政七商店のバイヤーから、フロートレモンティーシリーズについて依頼があり、13年から同店で販売を開始した。すると1週間後には全国のショップから「新規で取引したい」という連絡が次々と入ってきた。その多くは、中川政七商店のような雑貨や洋服などを取り扱うライフスタイルショップだった。その後、中川政七商店で新商品を販売すると、同様の現象が何度も起きたという。

ヒットの要因は、商品自体の魅力にあることは間違いない。その後押しとなったのは、スタイリッシュすぎない等身大のデザインだ。プロのデザイナーが見たら、味噌や調味料などのパッケージデザインとの統一感がなく、垢抜けていないと感じる部分もあるだろう。しかし、紅茶にレモンを浮かべたときのかわいらしさをそのまま表現したような優しい雰囲気のパッケージデザインは、国産の素材をつかっている商品の安心感ともリンクする。ライフスタイルショップの店頭に並べても違和感がない。「デザインを自ら手掛け、商品開発の一部だと実感した。商品に込めた思いをダイレクトに表現できると自負している」(光浦社長)。

フロートレモンティーシリーズの人気に伴い、光浦醸造の知名度が高まった。今では自社や外部のECサイトによる味噌や調味料の販路が広がっている。食材宅配サービスの「Oisix」には、光浦醸造のコーナーがあるほど。セブン-イレブンの宅配サービス「セブンミール」や、レシピサイトのクックパッドが運営するマルシェアプリ「Komerco -コメルコ」でも商品を販売している。

年間通して安定供給できる新商品「甘酒」に期待

フロートレモンティーシリーズの売り上げは、右肩上がりで伸びているが、製造量を増やせないというジレンマがある。皮まで安心して食べられるという広島産エコレモンの需要が高まり、原材料の確保がしにくくなっているからだ。エコレモンを大量に仕入れても、現在の設備や人員数では作業が追いつかないという課題もあった。エコレモンの収穫時期は1月から4月ごろまで。その短期間にスライスから乾燥までの作業を一気に行う必要がある。「理想はできるだけ大量に仕入れ、年間通してレモンティーの製造をすること。そのためには、何かしらの状態でレモンを腐らさずに保管する必要がある。保管方法はスタッフが中心となって研究しているが、まだ打開策は見つかっていない」(光浦社長)。

今後、さらに売り上げを伸ばしていくためにも、原材料の収穫量などに左右されず、安定して大量に生産できる商品が必要だと考えた。そのことを念頭に開発したのが「甘酒シリーズ」だ。濃縮タイプの他、そのまま飲める「ストレート甘酒」を18年1月に商品化。酒かすや砂糖を使用しない、米とこうじから作ったノンアルコールの甘酒は添加物を使用せず、常温で保存できる。光浦醸造の主力として期待が高まっている。

事業を拡大し、家業から企業へ

17年9月には本社が完成し、18年2月には本社併設のショップもオープンした。中庭を挟んでオフィスとショップを分けた広々とした空間がある。ショップには、光浦醸造の商品だけではなく、店がセレクトしたランチョンマットやエプロン、お菓子なども取り扱っている。ショップは増やしていきたい考えで、新事業を立ち上げる計画もある。

「光浦醸造は、家族とその知り合い数人が働く家業だった。現在は、パートの従業員を含めて31人。ようやく家業から零細企業にはなれたと思う。今後、事業規模を拡大していくためには、フロートレモンティーのような独自性がありつつ、全国のスーパーに並ぶような商品が必要だ」(光浦社長)。

今後は、味噌や調味料などの商品開発にも力を入れ、ストレートタイプの甘酒も今より10倍以上も製造できるように準備している。そのうえで全国的に営業をかける予定だ。

[日経クロストレンド 2019年1月28日、2月4日の記事を再構成]

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