質問にしろ、意見にしろ、大げさに考えないことがポイントです。そうすれば頭が柔らかくなり、その場に応じていろいろなアイデアやジョーク、そして議論が行き詰まった時に場の雰囲気を変えるユーモアのセンスも磨かれるようです。
(第一章 まずは気楽に 44ページ)
英語をマスターするため、著者は「自分ができるところから始めてみるのが大切だ」と述べます。サッカー好きならワールドカップで知った選手や国を調べてみたり、ビッグデータが気になったらオンラインの教育プログラムを受けてみたりといった例を挙げ、とにかく始終英語に触れるのが大事だと強調します。ある程度上達してきたら、自分でテーマを決めて5分間スピーチをしてみるなどアウトプットの練習にも力を入れたそうです。
「呼ばれたら行ってみる」で世界は広がる
著者は、自分の業界や専門分野以外のことに関心を持たない「つまらない人」は世界で通用しないと指摘します。自身もイベントなどに「誘われたら一度は行ってみる」というのをルールにしているそうです。
(第二章 こうすれば世界は怖くない 94ページ)
本書には、普段はうかがい知れない国際会議の舞台裏やそこで「うまく立ち回る」方法など著者ならではの経験談が盛りだくさんです。「プレゼンテーション必勝法」「しっかりとセンスよく主張する方法」「『タフネス』の鍛え方」「楽に仕事をする方法」といった仕事に役立つヒントも読みどころです。
◆編集者からひとこと 雨宮百子
著者の石倉さんと出会ったのは18年の秋でした。米国流のファッションビジネスを日本に紹介した尾原蓉子さんが「ブレイクダウン・ザ・ウォール 環境、組織、年齢の壁を破る」という本を出したのをきっかけに、お二人の対談が実現したのです。対談で、尾原さんが「お墓に入るときに『私の人生はよかった』と思いたい」と言ったのに対し、石倉さんは「私は『もっとやりたかった』と思って死にたいです」と返しました。この言葉に受けた大きな衝撃が、文庫の形で本書が世に出るきっかけになったのです。
出版までの強行スケジュールに嫌な顔も見せず、石倉さんはニューヨークと日本を行き来する飛行機の中など、合間をぬって加筆修正を進めてくれました。何度かセミナーにも参加させてもらい、各国の人と流ちょうな英語で語り合う石倉さんを見ながら、「本当に世界は近い」と実感することもできました。
何歳になっても精力的に活動される石倉さんの姿を見て「20代が頑張らなくてどうする!」と自分を叱咤(しった)しながら、つくった一冊です。