活況のミラーレス一眼、ヨドバシで売れゆきTOP5は?
今回はミラーレス一眼カメラの売れ筋を調べるため、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaを取材した。ミラーレス一眼はカメラ売り場の中でも特に盛り上がっており、高額モデルを買いに来るユーザーが多いという。
同店スタッフの霜山浩伸氏は「3年前にミラーレスがとても売れた時期は、デジタル一眼入門機として買い求める層が中心でした。現在はそのニーズに加えて、デジタル一眼の買い替えでフルサイズのミラーレスに注目している層や、スマホでの撮影からのステップアップを狙って低価格帯のミラーレスを検討する層が加わり、全体的に大きな潮流になったと感じます」と語る。
霜山さんに、ミラーレス一眼購入の3つのポイントを挙げてもらった。
1.イメージセンサーは大きいほど高画質だが、印刷しないなら画素数は二の次でいい。閲覧、出力まで想定しておきたい。
2.レンズを交換してこそのミラーレス一眼。最初はレンズキット、予算が許すなら標準レンズと望遠レンズが付属するダブルレンズキットを購入したい。
3.連写やオートフォーカスなど、スマートフォンにはない、デジタルカメラならではの機能をチェックしておこう。
「デジタル一眼デビュー用としては、レンズキットで10万円を切るコンパクトなモデルが安定して売れています。一方で、最近はフルサイズ(36×24mm)イメージセンサーを搭載したミラーレスのバリエーションが増え、20万円台でボディーが買えるエントリークラスのフルサイズミラーレスも人気です」(霜山氏)
ミラーレス一眼全体の売れ筋トップ5を見ていこう。
※なお、原稿と写真で掲載している価格は、2019年2月20日11:00時点のヨドバシ.comのもの。日々変動しているので、参考程度に見ていただきたい。
第1位:キヤノンユーザー待望の「EOS R」
第1位は、キヤノン初のフルサイズミラーレス一眼「EOS R」。2018年10月に発売されて以降、キヤノンファンを中心に売れている。有効画素数は約3030万画素で、秒間8コマの連写が可能。実売価格は24万8650円。
「フルサイズミラーレスでソニーが先行し、ニコンが追従した後、まだかまだかと待っていたキヤノンユーザー待望のカメラですね。0.5型の電子ビューファインダーは、高解像度とされる240万ドットを大きく超える約369万ドットなので、光学ファインダーから乗り換える人にも好評です」(霜山氏)
第2位:ロングヒットを続ける新定番「α7 III」
2位はソニーのフルサイズミラーレス一眼「α7 III」だ。有効画素数は約2420万画素で、秒間10コマの連写が可能となっている。実売価格は税込み22万7680円。18年3月の発売ながら現在も高い人気を維持している。
「ずっと人気で、少し勢いが落ちた現状での2位です。フルサイズのミラーレスとしてはエントリークラスに近い価格ですが、性能はむしろ中級機に近いというコストパフォーマンスの良さから選ばれているのだと思います。ソニーはフルサイズミラーレス市場で先行しているので、ブランドの知名度も後押ししているでしょう」(霜山氏)
第3位:単焦点レンズキットが人気の「EOS Kiss M」
3位はエントリークラスの「EOS Kiss M」がランクイン。有効画素数は約2410万画素で、秒間10コマの連写ができる。バッテリーとメモリーカード込みでも400gを切る軽さも人気となっている理由の1つだ。実売価格は税込み7万6740円。
EOS Kiss Mには4種類のレンズキットがあるが、売れているのは単焦点レンズ「EF-M22mm F2 STM」と標準ズームレンズ「EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM」をセットにしたダブルレンズキット(実売価格:税込み9万6430円)とのこと。
「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で映えるボケ味のある写真を撮るために、背景をボカしやすい単焦点レンズを好む人が多いようです。単焦点レンズがキットに含まれることは珍しいので、注目度は高いですね。ボディーも、描写力と価格のバランスが取れていると評価されています」(霜山氏)
第4位:上位モデル「Z 7」の人気を引き継いだ「Z 6」
4位はニコンのフルサイズミラーレス一眼「Z 6」。18年11月に発売されたモデルで、1位のEOS Rと同様、ニコンファンを中心に売れている。有効画素数は約2450万画素で、秒間12コマの連写が可能。実売価格は税込み27万2700円だ。
「フルサイズの上位モデル『Z 7』(実売価格:税込み40万7700円)から2カ月ほど遅れて登場したので、ちょうど人気のピークでバトンタッチしたような売れ方をしていますね。Z 7よりも価格と性能が控えめなので、サブ機として買っていく人が多いのかもしれません」(霜山氏)
第5位:ファミリー層にも人気の「OM-D E-M10 Mark III」
5位に入ったのはオリンパスのマイクロフォーサーズ準拠モデル「OM-D E-M10 Mark III」。有効画素数は約1605万画素で、秒間8.6コマの連写ができる。実売価格は税込み5万8590円。
2位の「α7 III」と同様、E-M10 Mark IIIもロングヒットモデルだ。画素数ではフルサイズに劣るものの、スマートフォンからデジタル一眼にステップアップした層に加えて、ファミリー層にも支持が広がっているという。
「本体サイズで『EOS Kiss M』のライバル的な存在で、どちらにするか迷う人は多いですね。こちらはダブルズームレンズキット(実売価格:税込み9万4760円)が売れています。小さい子供がいると、望遠レンズで撮影する機会が多くなりますよね。その点、E-M10 Mark IIIはボディーに強力な手ぶれ補正機構が組み込まれているので安心感があります」(霜山氏)
1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。「古田雄介のアキバPick UP!」(ITmedia PC USER)、「インターネット跡を濁さず」(d.365)、「ネットと人生」(インプレス シニアガイド)などを連載。
[日経トレンディネット 2019年2月1日付の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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