チコちゃん立役者が語る テレビの良さは新しい出合い共同テレビ・小松純也さんインタビュー

日経エンタテインメント!

TBSの『人生最高レストラン』が2月23日で放送100回目を迎える。ゲストに「人生で最高においしかったもの」の話を聞き、こだわりの映像で料理を見せると共に、人物像をひも解くトークバラエティーだ。番組を手がける小松純也氏は、1990年代からバラエティ界をけん引してきたヒットメーカー。テレビ界の行方と可能性について、話を聞いた。

『人生最高レストラン』(土曜23時30分/TBS系) 2月23日放送の100回記念では、志村けんをゲストに迎える。小松氏はチーフプロデューサー。心に残っている最高においしかった食の体験をゲストから聞き、その料理が映像で紹介される。トークではゲストの人柄も表れる。

小松氏は、フジテレビの黄金時代を築いた立役者の1人。『ダウンタウンのごっつええ感じ』(91~97年)や『笑う犬』シリーズ(98~03年)など、人気番組を生み出してきた。現在は共同テレビに出向しており、フジ以外の仕事で注目されることが多い。配信番組の『HITOSHI MATSUMOTO presents ドキュメンタル』や、NHKの『チコちゃんに叱られる!』といった話題作を手がける。

TBSの『人生最高レストラン』は『チューボーですよ!』(94~2016年※1)の後番組として17年1月にスタートした。「僕が携わった経緯としては、TBSさんに『新番組のコンペをやりますからご参加いただけませんか』とお声を掛けていただいたのが最初です。食の番組を自分が企画して作るっていうイマジネーションは、それまではあまりなくて。ただ、僕自身食べることが非常に好きで、食談の番組はやってみたかった。企画を考えるときには、『飲み屋で盛り上がる話題って何だろう』と意識するんです。『あの店がうまかった』とかよく話すけど、その状況ってテレビ的だなと実は思っていましたし、スポンサーはサントリーさん。僕は開高健さん(※2)の書く食にまつわるエッセイの大ファンなんです。そんなこともあり、『食談』の企画をご提案しました」

ゲストの飾らない人柄が浮き彫りに

「食べ物の嗜好の話って、その人の1番柔らかい部分というか、開けっぴろげなところじゃないですか。熱く語れば語るほど、飾らない人柄が浮き彫りになってくる。そこが面白いですね。ゲストさんとの事前の打ち合わせでは、秘められたパーソナリティーを掘り起こすよう、ディレクターさんにはお願いしています。僕は『平成日本のよふけ』(99年~03年※3)という番組で、とにかく準備して、たくさんの引き出しを持って打ち合わせに臨む大切さを学びました。十分な時間をもらえなかったとしても、どれだけ人となりを深掘りできるかが勝負ということで。僕らも、その人の思い出や人生を責任持ってお伝えしたいと思っていますし、こちらのスタンスを見て、追加で打ち合わせのお時間をいただけることも多いです。

料理がスタジオに出てこないのも、この番組のこだわりです。やっぱり、調度や光の当たり方なども含めて、お店の料理には演出がされていますから。普通はライティングを作って撮りますが、この番組に関しては、お店の中の自然光なりをそのまま使って、1番おいしい瞬間を逃さないように、極力時間をかけずに撮影しています。みなさんが上げるインスタグラムの画像に近くて、そのウルトラハイクオリティ版(笑)。色調整とかもCM並みにやっています」

(※1)リニューアル後の2013年からの『新チューボーですよ!』も含む。 (※2)サントリーのコピーライターとしても活躍した作家。 (※3)政治家や各界の大物など「とんでもない人」をゲストに迎えて話を聞くシリーズ。全シリーズ共通の司会者は笑福亭鶴瓶。