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カリスマの直言

企業統治改革、形だけでは株価浮揚しない(藤田勉) 一橋大学大学院特任教授

2019/2/11

写真はイメージ=123RF
「日本企業は形式重視から株主主権のガバナンス改革に移行することが期待される」

日本株が不振である理由の一つはコーポレートガバナンス(企業統治)にあると筆者は考えている。2009年の安値から18年の高値までに米国株(S&P500種株価指数)は4.3倍に上昇したが、日本株(日経平均株価)は3.4倍にとどまる。18年の高値から安値までの下落率は、米国株19.8%、日本株21.1%である。つまり、日本株は米国株よりも上昇率が低く、下落率は大きい。

■日本のガバナンス改革は手法や戦略が間違っている

筆者の定義する優れたコーポレートガバナンスとは「社会と調和しながら、株主を中心とするステークホルダー(利害関係者)の利益を最大化すること」である。言い換えると、不祥事などを起こさずに、長期的に利益と株式時価総額を増やす会社がガバナンスのいい会社だ。

日本のガバナンス改革は形式重視の傾向が強い。東京証券取引所によって15年にコーポレートガバナンス・コードが導入され、社外取締役は飛躍的に増えた。ところが、その後も大手建設会社による談合事件、メーカーによるデータ改ざん事件など不祥事が数多く発生した。

日本企業の利益水準や成長率は海外と比較すると大きく見劣りする。自己資本利益率(ROE)は米国16.5%、英国14.6%、ドイツ12.2%に対して、日本は9.3%(東証1部)と低い(19年1月末時点、今期予想ベース)。

ガバナンス改革の結果がさえないということは改革の手法、戦略が間違っているということである。例えば、多くの企業では社外取締役といった独立取締役を実質的に選んでいるのは最高経営責任者(CEO)である。つまり事実上、監視される人(社長)が監視する人(独立取締役)の人事権と報酬決定権を持つ。このため、東芝や日産自動車などの例にあるように、独立取締役がCEOを厳しく監視をすることは難しい。このように、形式重視ではガバナンスが改善しないことは明らかだ。

■最も重要なのは株主権の適切な行使

ガバナンス改革で最も重要なのは、株主権の適切な行使である。会社の最高意思決定機関である株主総会は、取締役会の決定をすべてオーバーライドする(覆す)ことができる権限を持っている。詳細の説明は省くが、世界の主要国の中で会社法上の株主の権限は日本が最強である。ところが、株主総会改革はあまり進んでいない。

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