ルンバにヘルシオ、主役は白物 平成家電で暮らし進化

平成16年発売のシャープ「ヘルシオ」(AX-HC1)。余分な油や塩分を落とすという健康志向のコンセプトが注目を集めた

ヘルシオの特徴はオーブンレンジにスチーム(過熱水蒸気)を搭載した点。マイクロ波加熱による料理の乾燥を防ぎおいしく仕上げるのが目的だった。しかしオーブンレンジに初めてスチームを搭載したのは、実はパナソニックのほうが早かった。

後発だったヘルシオがヒット商品になったのは、「水で焼く!」という斬新なキャッチフレーズに加え、過熱水蒸気により減塩・減脂ができると「健康」をアピールしたから。まさに、健康を気にし始めたシニア世代、定年を機に外食から家メシへと移行する定年組の心をつかんだのだ。

その後、油を使わず揚げ物ができる「ノンフライヤー」の大ヒットや、低速回転で栄養素を壊しにくい「スロージューサー」、免疫力をアップする「発酵食品メーカー」(ヨーグルト・塩こうじ・甘酒など)など、「健康」をアピールした調理家電が次々と登場した。健康志向が高まった平成時代の象徴といえるだろう。

家電の主役は娯楽から生活へ

こうやって平成を振り返ると、画期的な白物家電は平成後半に登場していることに気づく。

その背景にはもちろん、平成3年(1991年)のバブル崩壊による景気低迷がある。多くの企業がそうだったように、 家電メーカーも以前ほど開発に力を注ぐ余裕がなくなったのだ。さらにこの頃から「省エネ」志向も強まり、製品開発の方向性が省エネ一色になっていく。買う側にも、バブル時代のように派手なAV家電を短期間で買い替えていくというムードは薄くなっていった。

しかし平成も後半に入ると、バブル時に購入した家電製品が買い替え時期を迎える。そろそろ新しい家電を買いたいという気持ちも高まってくる。とはいえ、娯楽品である黒物家電でぜいたくするのは少し気が引ける。そこで、家族全員の毎日の生活に役立つ白物家電が注目された。特に、省エネ性能を見直し環境に配慮された生活家電なら 後ろめたが少なく買いやすいということもあったのだろう。

家電にとって平成は、ぜいたく品が「娯楽」から「生活」へ移行した時代だといえる。最近では40インチを超えるテレビも数万円で買えるが、家族で使う冷蔵庫の価格は20万円を超えるものが主力になっている。5万円を超える掃除機も、10万円を超える炊飯器も、以前は想像できなかったものだ。

今回取り上げた5つの製品は、その流れの中で注目されたシンボリックな存在。これらの家電が、それぞれの分野で「高級家電」という新市場を切り開くきっかけとなった。平成の次の元号では、どのような家電が生まれるのだろうか。いまからとても楽しみだ。

戸井田園子
大手プレハブメーカーでインテリアコーディネートを担当し、インテリア研究所を経て商品企画部へ。その後、インテリア&家電コーディネーターとして独立。現在は、情報ポータルサイトAll Aboutをはじめ、雑誌・新聞・テレビなど幅広いメディアで活動中。家電業界出身ではない中立的な立場と消費者目線での製品評価や、分かりやすい解説に定評がある。

(構成 井上真花=マイカ)

MONO TRENDY連載記事一覧
注目記事
MONO TRENDY連載記事一覧