ルンバにヘルシオ、主役は白物 平成家電で暮らし進化

しかし、どうしてもドラム式に移行できない人も少なくなかった。

その理由のひとつが、洗濯機の出し入れ問題。ドラム式のドアは真横に開くので、洗濯物を出し入れするときに腰をかがめなくてはならない。毎日の家事で、身体的な負担が大きくなることは避けたいと根強い抵抗があったのだ。

これを解決したのが、パナソニック(当時はナショナル)の「ななめドラム」という提案だった。

平成15年に発売された、「ドラム式洗濯乾燥機」(NA-V80)。世界初の「ななめ30度ドラム」を採用し、使用水量を削減した

ドラムを斜めに配置することで、洗濯物を出し入れするドアも斜めになった。これなら横型ドラム式のように腰をかがめる必要がなくなる。

ドラム式に移行できないもう一つの理由は、洗濯開始後にドアが開けられないということ。縦型洗濯機に慣れ親しんでいた日本人にとって、洗濯の途中で扉を開けて洗濯物を追加投入できるのが当たり前だった。しかし、ドラム式だと洗濯水があふれるため運転中に扉は開けられず、不便を感じる。でも、ドラムを斜めにすれば、途中で扉を開けても洗濯水があふれることはないため、洗濯の途中でも扉を開けられるようになった。

このように、憧れのドラム式洗濯機に、少しだけ日本人向けにアレンジした「ななめドラム」というアイデアは大ヒット。「NA-V80」をきっかけに、日本でのドラム式洗濯機の普及が始まった。

団塊世代から「家メシ」改革

調理家電も平成で大きく進化した。そのきっかけとなったのは、「団塊の世代」のライフスタイル変化だ。平成も半ばを過ぎると団塊世代も定年が見えてくる。定年後のことを考えると、健康も気になるし、外食ばかりをしているわけにもいかない。そこで、家でおいしいごはんが食べたいという「家メシ志向」が大きくなってくる。

そのニーズとうまくタイミングがマッチしたのが、平成18年(2006年)に発売した三菱電機の「本炭釜」だった。

平成18年に発売された、三菱電機「本炭釜」(NJ-WS10)。純度99.9%の炭釜でふっくら炊き上げる

大きな炭の塊から内釜を削りだすという凝ったつくりで、おいしいごはんが炊けるが、その分、価格も高い。当時の炊飯器の売れ筋価格は2万~3万円だったのに、この製品は10万円を超える価格がつけられた。

それでも、お金もあり、食へのこだわりもある団塊の世代に支持され大ヒット。「本格派炊飯器の走り」と言って間違いないだろう。

以降、各社から相次いで10万円を超える炊飯器が登場。従来のなんでもできる多機能タイプではなく、炊飯に特化し、極上のおいしいごはんが炊けるとうたう高級炊飯器は、今では一つのジャンルになっている。

もうひとつ記憶に残るのが、平成16年(2004年)に登場したシャープの「ヘルシオ」だ。

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