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ルンバにヘルシオ、主役は白物 平成家電で暮らし進化

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2019年5月1日の改元とともに、30年間続いた「平成」が終わる。この30年間、多くの家電が誕生した。そこで、家電コーディネーターの戸井田園子さんが、平成に登場した製品の中から、生活を変えた家電を振り返る。

ルンバが他の家電と違ったこと

平成は、掃除や洗濯の概念が大きく変わった時代。いずれも、そのきっかけとなったのは画期的な新製品だった。その代表選手が、平成19年(2007年)に登場した掃除ロボット「ルンバ」だ。

ルンバ以前は、当たり前に人が掃除機を動かしていた。掃除するときは、掃除機を取り出し、コンセントにコードを挿して掃除機を連れて部屋中を歩かなければならない。しかしルンバは、自走して掃除をする。

画期的だったのは「人が何もしなくても家事をしてくれる」ことだ。たとえば全自動洗濯乾燥機は洗濯から乾燥まですませてくれるが、作業を始めるときには電源スイッチを押さなければならない。しかし、スケジュール機能を持つルンバなら、スイッチを入れる必要すらない。決まった時間になれば部屋中を走り回って掃除をし、掃除が終われば充電ドックまで自力で戻っていく。単なる「新型家電」ではなく「ロボット」が登場したという意味で、白物家電にとって画期的な製品だった。

「高くても売れる」を証明したダイソン

平成16年(2004年)に登場したダイソンの「DC12」も掃除機の概念を変えた製品だ。

ダイソンが日本で掃除機を発売したのが平成11年(1999年)。当時の掃除機は「紙パック式」が主流だったが、そこに「サイクロン式」という新しい方式が登場。紙パック式と違い、ゴミがダストカップに直接たまるため、ゴミと一緒に紙パックを捨てる必要がない。また、ゴミが外から丸見えということもあり「ゴミは、その都度捨てる」というスタイルが定着した。「DC12」はダイソンが日本向けに開発した最初のモデルだ。

ダイソンは掃除機の評価軸も変えた。掃除機を選ぶときに重要なスペックが「吸込仕事率」。これはJIS規格が定めた、掃除機の風量や風圧などモーター自体のパワーから導き出した数値で、ゴミを吸う「吸引力」の目安とされていた。しかしサイクロン式の場合、その構造から、風量や風圧で導き出す「吸込仕事率」は高い数値が出ない。そのためDC12も吸込仕事率の数値が紙パック式より低かった。しかし、実際にホコリを吸い込む力はとても強く、高い評価を得ることになる。これにより、日本のJIS規格「吸込仕事率」にこだわる必要はないという認識が広まった。そんな市場の評価を受け、この後国内メーカーも追随し、サイクロン式の製品が続々と発売される。

ダイソンがもう一つ画期的だったのはその価格だろう。当時、掃除機の価格は1万~2万円程度と考えられていたが、ダイソンは7万円を超える価格をつけ、それがユーザーに受け入れられた。機能やデザインが優れていれば価格が高くても支持されると明らかになったのは、当時、価格競争で疲弊していた国内メーカーにとっても朗報だった。この高級化のトレンドはあらゆる白物家電に波及し、炊飯器などでも「高級」ブランドが生まれていく。DC12の登場は「高級白物家電」というカテゴリーを生み出すきっかけとなったのだ。

ドラム式洗濯機に日本風のアレンジ

平成15年(2003年)には、洗濯機に大きな転換期が訪れた。この時期、乾燥機を搭載したドラム式の洗濯乾燥機が登場していた。海外家電を連想させるデザインも含め、多くの人が憧れる存在だった。

しかし、どうしてもドラム式に移行できない人も少なくなかった。

その理由のひとつが、洗濯機の出し入れ問題。ドラム式のドアは真横に開くので、洗濯物を出し入れするときに腰をかがめなくてはならない。毎日の家事で、身体的な負担が大きくなることは避けたいと根強い抵抗があったのだ。

これを解決したのが、パナソニック(当時はナショナル)の「ななめドラム」という提案だった。

ドラムを斜めに配置することで、洗濯物を出し入れするドアも斜めになった。これなら横型ドラム式のように腰をかがめる必要がなくなる。

ドラム式に移行できないもう一つの理由は、洗濯開始後にドアが開けられないということ。縦型洗濯機に慣れ親しんでいた日本人にとって、洗濯の途中で扉を開けて洗濯物を追加投入できるのが当たり前だった。しかし、ドラム式だと洗濯水があふれるため運転中に扉は開けられず、不便を感じる。でも、ドラムを斜めにすれば、途中で扉を開けても洗濯水があふれることはないため、洗濯の途中でも扉を開けられるようになった。

このように、憧れのドラム式洗濯機に、少しだけ日本人向けにアレンジした「ななめドラム」というアイデアは大ヒット。「NA-V80」をきっかけに、日本でのドラム式洗濯機の普及が始まった。

団塊世代から「家メシ」改革

調理家電も平成で大きく進化した。そのきっかけとなったのは、「団塊の世代」のライフスタイル変化だ。平成も半ばを過ぎると団塊世代も定年が見えてくる。定年後のことを考えると、健康も気になるし、外食ばかりをしているわけにもいかない。そこで、家でおいしいごはんが食べたいという「家メシ志向」が大きくなってくる。

そのニーズとうまくタイミングがマッチしたのが、平成18年(2006年)に発売した三菱電機の「本炭釜」だった。

大きな炭の塊から内釜を削りだすという凝ったつくりで、おいしいごはんが炊けるが、その分、価格も高い。当時の炊飯器の売れ筋価格は2万~3万円だったのに、この製品は10万円を超える価格がつけられた。

それでも、お金もあり、食へのこだわりもある団塊の世代に支持され大ヒット。「本格派炊飯器の走り」と言って間違いないだろう。

以降、各社から相次いで10万円を超える炊飯器が登場。従来のなんでもできる多機能タイプではなく、炊飯に特化し、極上のおいしいごはんが炊けるとうたう高級炊飯器は、今では一つのジャンルになっている。

もうひとつ記憶に残るのが、平成16年(2004年)に登場したシャープの「ヘルシオ」だ。

ヘルシオの特徴はオーブンレンジにスチーム(過熱水蒸気)を搭載した点。マイクロ波加熱による料理の乾燥を防ぎおいしく仕上げるのが目的だった。しかしオーブンレンジに初めてスチームを搭載したのは、実はパナソニックのほうが早かった。

後発だったヘルシオがヒット商品になったのは、「水で焼く!」という斬新なキャッチフレーズに加え、過熱水蒸気により減塩・減脂ができると「健康」をアピールしたから。まさに、健康を気にし始めたシニア世代、定年を機に外食から家メシへと移行する定年組の心をつかんだのだ。

その後、油を使わず揚げ物ができる「ノンフライヤー」の大ヒットや、低速回転で栄養素を壊しにくい「スロージューサー」、免疫力をアップする「発酵食品メーカー」(ヨーグルト・塩こうじ・甘酒など)など、「健康」をアピールした調理家電が次々と登場した。健康志向が高まった平成時代の象徴といえるだろう。

家電の主役は娯楽から生活へ

こうやって平成を振り返ると、画期的な白物家電は平成後半に登場していることに気づく。

その背景にはもちろん、平成3年(1991年)のバブル崩壊による景気低迷がある。多くの企業がそうだったように、 家電メーカーも以前ほど開発に力を注ぐ余裕がなくなったのだ。さらにこの頃から「省エネ」志向も強まり、製品開発の方向性が省エネ一色になっていく。買う側にも、バブル時代のように派手なAV家電を短期間で買い替えていくというムードは薄くなっていった。

しかし平成も後半に入ると、バブル時に購入した家電製品が買い替え時期を迎える。そろそろ新しい家電を買いたいという気持ちも高まってくる。とはいえ、娯楽品である黒物家電でぜいたくするのは少し気が引ける。そこで、家族全員の毎日の生活に役立つ白物家電が注目された。特に、省エネ性能を見直し環境に配慮された生活家電なら 後ろめたが少なく買いやすいということもあったのだろう。

家電にとって平成は、ぜいたく品が「娯楽」から「生活」へ移行した時代だといえる。最近では40インチを超えるテレビも数万円で買えるが、家族で使う冷蔵庫の価格は20万円を超えるものが主力になっている。5万円を超える掃除機も、10万円を超える炊飯器も、以前は想像できなかったものだ。

今回取り上げた5つの製品は、その流れの中で注目されたシンボリックな存在。これらの家電が、それぞれの分野で「高級家電」という新市場を切り開くきっかけとなった。平成の次の元号では、どのような家電が生まれるのだろうか。いまからとても楽しみだ。

戸井田園子
 大手プレハブメーカーでインテリアコーディネートを担当し、インテリア研究所を経て商品企画部へ。その後、インテリア&家電コーディネーターとして独立。現在は、情報ポータルサイトAll Aboutをはじめ、雑誌・新聞・テレビなど幅広いメディアで活動中。家電業界出身ではない中立的な立場と消費者目線での製品評価や、分かりやすい解説に定評がある。

(構成 井上真花=マイカ)

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