自由と責任学んだ広島皆実高 メダリスト為末氏の原点元陸上選手 為末大氏が語る(下)

元陸上選手でスポーツ関連ビジネスを手掛ける会社「侍」の社長を務める為末大氏
元陸上選手でスポーツ関連ビジネスを手掛ける会社「侍」の社長を務める為末大氏

元陸上選手の為末大氏は現役時代の後半、コーチを付けず、一人で練習内容や健康管理の方法を決めていた。自由に考え、自分で責任を取る独自の思考法は、引退後に出版した『走りながら考える』『諦める力』など多くの著書にも一貫する。自由、責任を尊ぶ広島皆実高校の校風に大きな影響を受けたという。(前回の記事は「18歳の挫折が自分変えた 為末大氏の広島皆実高時代」)

広島皆実の校訓は勤勉、強行、責任、自由だった。

中でも責任、自由の2つは陸上部の活動の中で強く意識しましたね。顧問の先生が上下関係なくフラットな組織を志向していて、自由な雰囲気がありました。練習内容も生徒の自主性を尊重してくれました。そのかわり、結果はきちんと出そう。そういう雰囲気が自然にできあがっていたと思います。

印象に残っているのは、体育科と普通科の生徒を分け隔てなく練習させたことです。体育科は県内各地から実績のある生徒を集めていますから、どうしても普通科の生徒とは能力に差があります。他のクラブでは別々に練習するところもあったようです。

当時はなぜ一緒に練習するのか深く考えませんでしたが、今振り返ると、体育科の生徒にエリート意識を植え付けないためだったのかなと思います。お互い、自然に接することができて仲も良かった。今でも陸上部の同級生たちとは時々会いますよ。

もう一つ、一緒に練習することで学んだのが、「がんばってもうまくいかないこともある」ということ。同じ練習量をこなしても、タイムがよくなる選手とそうでない選手がいます。スポーツではよく「努力が足りないからだ」と言うけれど、そうじゃない場合もある。努力と才能について、深く考えるきっかけになりました。

考えるといえば、私は引退後に多くの著書を出し、ブログでも積極的に発信しています。高校時代にほとんど勉強しなかった私を知っている同級生からは「後ろにシナリオライターがいるんだろ」などとよく言われます。まあ、言われても仕方ないのですが(笑)。ただ、陸上競技に関する本は高校のときから読んでいました。分厚いものも含めて。やはり強くなりたかったですからね。

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