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食のリーダー

愛情うれしいけどマヨラー増えないで キユーピー会長 キユーピー会長 中島周氏(下)

2019/2/9

「うちのブランディング活動は、控えめです」と中島会長

ーーごく当たり前のことをやってきた結果、ブランドがキープできたとのことですが、具体的には何を?

うちのブランディング活動は、控えめですよ。力を入れているのは、「3分クッキング」というテレビ番組。そして、全日本合唱連盟と朝日新聞社が主催する「全日本おかあさんコーラス大会」で、42年目を迎えました。コーラスには毎年2万人くらい参加してきたと思います。うちが単独スポンサーです。連盟の皆さんから「どうしてもっと宣伝しないの?」と聞かれますが、「いや、うちは皆さんがコーラスをエンジョイすることを支える活動をするだけだから」と答えるだけです。

もちろん、少しは宣伝しますよ。会食があるときは、うちのサラダやドレッシングを提供します。でも、パンフレットなど、販促物は配りません。コーラスのお母さんたちからは、「キユーピーが言わないなら、私たちが言いますよ」と。お母さんたちが応援団としてやってくださるほうがイメージがいいですよね。

ーー今後、世界マーケットへはどう展開していくのでしょう?

基本はローカライズですね。欧米の食品企業のように、世界中どこでも同じ味を提供するのではありません。日本の食文化は、ラーメンにしてもカレーにしても、日本に入ってきたものを独自の食文化に作り上げてきました。これが日本の特徴だし、我々が得意とするところです。海外ではその国の文化や嗜好に合わせて、きめ細かく商品開発し、その国の人々が健康で長生きできるよう貢献していきたいのです。競合相手が欧米企業だとうちとは戦い方が違うので、アドバンテージがあると感じますね。

海外展開は、中国と東南アジアに注力しています。うちは企業規模からいって、出られる範囲は限られます。今成長しているのは、アジア、アフリカ、南米。たぶん南米をやろうとすると米国に強い基盤がないと攻められないですし、アフリカをやるためには欧州に強い基盤が必要です。ということで、中国と東南アジアになります。まだグローバル企業ではなく、リージョナル企業でしょうか(笑)。

一方、成熟市場として先進国マーケットはどう攻めればよいのかというと、大量生産・大量消費の食べ物ではなく、ワインやコーヒー、チョコレートといった、より深い知識が必要で、強いこだわりの対象となる食べ物や飲み物でしょう。先進国では収入の多い人が増え、そういう人がたしなむ嗜好品は、成長の可能性が高いマーケットです。

ただ、うちとしては嗜好品のゾーンは、取り組み例がまだ少ないですね。そんな中でも評価されているのが「卵を味わうマヨネーズ」です。こういった商品は会社の数字で見るとごくわずかで、なかなか力が入りにくいのですが、価値が高く、意味があります。ピラミッドのてっぺんではありませんが、プレミアム商品として、特に先進国マーケット向けとしては大事に育てていくべきものです。

先進国マーケットの攻め方は、もう一つあります。食の機能性です。今、ただの長寿ではなく、健康で人生を全うする健康長寿が求められています。食品企業としては、こうした社会課題に対するソリューションを提供することで、貢献していきます。特にうちでは、卵のたんぱく質のさらなる解明や減塩の研究といった課題に取り組んでいきたいと思っています。

中島周(なかしま あまね)
1959年生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部卒業。1983年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行、1989年米国コーネル大学経営大学院修了、1993年同行退職。1993年中島董商店入社、1997年キユーピー取締役、2005年同常務CSR担当、2010年中島董商店社長(現任)、2014年キユーピー専務 ブランド・コンプライアンス担当、2016年同会長 ブランド・コンプライアンス担当(現任)。

(中野栄子)


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