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食のリーダー

愛情うれしいけどマヨラー増えないで キユーピー会長 キユーピー会長 中島周氏(下)

2019/2/9

「信頼が築けたのは、細かいところをきっちりやっているからでは」と中島会長

しかし、うちはマヨラーとは距離を置く方針です。マヨラーが増えることはよくないと思ったのです。「〇〇を食べるとやせる」とか「長寿の人は△△を食べている」とメディアが報じると、翌日には食品スーパーの棚からそれが消えてしまうといった現象がしばしば見られ、そればかり食べる人が続出しました。健康的な食生活を送るためには、あくまでもカロリーと栄養バランスに配慮し、多様な食品を少量づつ食べることが重要です。特定の食品の過剰な摂取は、逆に健康を阻害することにもなるのです。

また、ブランドを長くキープするという観点でも、瞬間的な現象には追随しないほうがよいと思いました。うちも仕掛けませんし、そういう人がいれば「そこそこにお願いします、適度な消費をお願いします」と言いたいですね。そういう姿勢がブランドの長期発展につながるのではないでしょうか。

--ブランドは信頼の証しとも言えます。食品企業にとって信頼を損なうのは安全安心問題でしょう。2004年の「第1回日経BP食の安全安心ブランド調査」では総合1位になりました。

手ごたえがあるわけじゃないですが、細かいところをきっちりやっているからではないでしょうか。お客様相談センターには毎日100件以上の意見が寄せられます。細かい意見でもないがしろにすることなくきっちり拾っていますね。それから、うちで看板車と呼んでいるのですが、キユーピー、アヲハタとロゴが描かれた車を営業マンが運転しています。いわば、営業マンがブランドをしょって走っているわけで、運転のマナーもよいとの評判です。食品企業で看板車を使っている会社は減っている中、うちではこうした細かいことの積み重ねが奏功しているのかと思います。

品質に関しては、昔ほど差がなくなっています。家族経営の総菜店などと違って企業であれば、品質管理に対しては皆、それなりに費用をかけています。微生物の専門家もいて、食中毒対策も行っています。あとは会社のシステムとして不適切な行為があったときに、きちんとくみ上げられるようになっているかです。今は、会社の中も外もありません。パートの人は半分消費者であり、半分会社員。不祥事があって「こんな会社、嫌だな」と思えば、友達や家族にも言うでしょう。

食品偽装についても、普通はどこかの段階で気が付いて止まるものではないでしょうか。我々も、偽装とはいわないけど、特定の産地のものが手に入らなくて、ほかの産地のものに切り替えたとき、表示を変えるのを失念して使いそうになったということがゼロかといえばそんなことはないです。現場で「ちょっと待ってください、それはこのように表示しているのでまずいですよね」といえば、「そうか分かった」と言って踏み誤ることはないはず。上司に上申して、上司が「そのままでいいんだ」と言わなければいいのです。

一方、信頼へのよりどころとなる食の安全についての科学的アプローチにも注力しています。2010年に義父が資金を投じて、東京大学大学院農学生命科学研究科に食の安全研究センターの研究棟を設置しました。食品そのものについての研究センターはこれまでにもありますが、食の安全に特化した研究センターは初めてではないでしょうか。食の安全の研究をやっていただくことは世の中のためになるので良いこととはいえ大きな金額でしたので、中島董商店がひっくりかえるのではと思ったくらいです(笑)。

大学の寄付講座でこれだけの規模はそうあるものではありません。そもそも、食品の研究者は常に研究費不足です。微生物の研究は医薬品が中心で、製薬会社からの資金に頼るばかりで、食品企業は研究費をあまり提供してこなかったのです。うちでは生卵に発生しがちなサルモネラ食中毒がメインとなる食の安全研究ですね。何しろ、日本で一番卵を使う会社ですから。また、最近の大きなビジネスの一つのパッケージ入りの野菜サラダは洗った野菜をカットして袋に詰めているものですが、食中毒発生予防には細心の注意を払っており、研究センターの成果が役に立っています。

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