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LGBTの65%、誰にも明かさず 職場もサポート不足

2019/2/26 日経MJ

日本でもLGBTの認知度は上がっているが…(2017年5月、東京都渋谷区のパレード)=AP

性的少数者(LGBT)の6割強が周囲にカミングアウトしていないことが、電通ダイバーシティー・ラボの調査で分かった。伝える必要がないと考えるLGBTが多かった一方、「偏見を持たれたくない」といった理由も目立った。LGBTへの理解も進むなか、企業にとってはLGBTが働きやすい環境の整備などが急務となっている。

「ダイバーシティ&インクルージョン」を研究している電通ダイバーシティ・ラボは2012年から3年ごとに「LGBT調査」を実施している。このほど、3回目の調査結果をまとめた。

自分のセクシュアリティーを正確に認識していない人がいることも踏まえ、多様な性の在りようを便宜上簡易に図式化した「セクシュアリティーマップ」を提示した上で調査した。

「生まれ持った身体の性別」「性自認」「好きになる相手の性別」をそれぞれ質問し、「生まれ持った身体の性別と、性自認が一致する異性愛者」をストレート層、それ以外の回答者をLGBT層と定義した。「男性と女性のどちらかひとつとはいえない」「わからない」との回答者もLGBT層に含めている。

調査対象の全国20~59歳の6万人のうち、LGBT層に該当する人は8.9%だった。15年の前回調査から1.3ポイント上昇した。ここ数年でLGBTに関する情報が増えたことで理解が進み、自分のセクシュアリティーを考える機会や、正しく向き合う機会が増えたことが、該当者の増加につながったとみられる。

「LGBTは性的少数者の総称のひとつ」であることを知っているかどうか聞いたところ、「知っている」「なんとなく知っている」の合計が68.5%に達し、前回調査から30.9ポイント上昇した。またストレート層の76.0%が「LGBTについて正しく理解をしたい」と回答している。

認知や理解が進む一方、課題も山積している。LGBT層に対して「LGBTであることをカミングアウトしているか」を聞いたところ、65.1%が「誰にもカミングアウトしていない」と回答。前回調査と比べて、カミングアウトしていない比率は高まった。

カミングアウトに抵抗がある理由(複数回答)については、「特に伝える必要がない」(49.0%)が最多だった。「偏見を持たれたくない」(43.5%)、「理解してもらえない」(36.4%)といった周囲の環境に対してネガティブな理由も目立った。

カミングアウトは、当事者の意思に委ねられるべきだが、公表してもしなくても、当事者に不利益が生じない環境をつくることが求められる。だが実際には「職場に十分なサポート制度がある」と考えるLGBT層は5.5%にとどまった。

社会全体でLGBT層をサポートしたい機運を、企業も無視できない状況にある。LGBT層の73.6%が条件付きも含めて「LGBTをサポートしている企業で働きたい」と回答した。

また、ストレート層の68.7%もLGBTをサポートしている企業で働きたいと答えた。性的少数者にフレンドリーな企業は多くの人にとって、魅力的な職場といえる。人口減少が進むなか、LGBTが働きやすい職場環境や企業風土をつくることは、優秀な人材を確保したい企業にとって重要な課題といえる。また、社会の共感を得ることにもつながることを理解しておくべきだろう。

前回調査の15年はLGBTが広く認知されていなかったが、ここ3年間で認知度は大幅に高まった。こうしたなか、当事者は暮らしやすいのか、具体的にどんな課題があるのか――。多様な人々が暮らしやすい環境づくりへ、具体的なアクションを起こすフェーズに入ってきたといえる。

(電通ダイバーシティ・ラボ リサーチャー 吉本妙子)

調査の方法
2018年10月26~29日にインターネットで全国20~59歳の男女6万人を対象に調査した。このうちLGBT層該当者は589人だった。それ以外のストレート層については5640人を抽出した。

[日経MJ2019年2月4日付]

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