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写真はイメージ=PIXTA

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今どきの若手社員を、自分で考え、創意工夫し、動けるように育て上げるにはどうすればよいか。リクルートのグループ会社でトップクラスの営業成績をあげてきた的場正人氏の著書「自分で動く若手営業の育てかた」から紹介します。今回は若手と上司のコミュニケーションの典型的なすれ違いの事例です。

◇   ◇   ◇

入社1年目で営業部門に配属された東さん。担当することになったのは町の中心部から少し離れた、住宅地が多いエリアです。商材はオフィス機器なので、ターゲットとなるのは企業。しかし、この地域にあるのは中小企業が中心です。

「それって、私たちの都合ですよね……」

東さんはここ数カ月、訪問件数が目標に達していません。訪問数が足りないので、見込み商談もほとんどありません。オフィスでパソコンの前に座っている時間が長いのも気になります。

営業マネジャーの神田さんは、なぜ東さんがお客様訪問をしないのかが理解できません。「営業の基本は足だ。お客様先を訪問しないと何も前に進まない。成績は行動量に比例する。とにかく回れ」と、ことあるごとに東さんに言っています。東さんは、神田さんの言葉をまじめに聞き、そのときには「はい」と言うものの、相変わらずほとんど足が動きません。

神田さんは東さんを呼び出し、会議室で面談をすることにしました。

「東さん、最近の営業って、スマートで汗をかかないイメージがあるかもしれないけど、そんなことはないんだよ。やっぱり基本は足なんだ。いくらインターネットでいろいろ調べたり考えたりしても、それだけじゃダメだ」

これに対して東さんは重い口を開きました。

「神田さんはそうおっしゃいますが、受注目標や訪問目標って、私たちの都合ですよね。このエリアを担当するようになって、最初に何件か回ってみたんですが、みなさん忙しそうで、私が行くと迷惑そうにされるんです。そもそもうちの商品を欲しいかどうかわからないのに、やみくもに訪問する意味があんまりよくわからないんです」

神田さんはあきれてしまいました。

「東さん、それじゃ営業の意味がないだろう。うちの商品を欲しいかどうかわからないからこそ、僕たち営業担当者がいるんだ。訪問しないでそれがわかるわけがないじゃないか。とにかく足を使って、たくさん回れば、だんだんどういうお客様にうちの商品が刺さるのか、わかるようになるから。いろいろ考える前にまず行動してみてよ」

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