無意識に対しては意識で対応するしかないと話すパク・スックチャさん

無意識の偏見による上司の配慮は部下の成長機会を奪いかねず注意が必要だ。だが、配慮が不要なのではない。「『育児中の女性だから』といった画一的な対応こそ避けるべきだ」(パクさん)

「大切なのは、キャリア意識や働くうえでどんなニーズがあるか、個人として相手を知ること。知らないから個別対応ができなくなる」と意思疎通の大事さを説く。

「人間は皆、バイアスだらけ。その分、『ちょっと待って。本当なのか』と確認することが大事」とパクさん。例えば、社内アンケートで人事評価に男女差はないか管理職と一般社員の意識を比較したり、男女の異動機会や配属先から仕事の与え方を確認したりするなどデータや客観的事実の把握がその助けとなる。

「気付き」日々意識を~取材を終えて~

永野毅・東京海上ホールディングス社長は研修で「多様な属性の違いを認めて尊重し合う」といったインクルージョンの大切さを説いた。それには無意識の偏見の低減が必須。自身の偏りを知る一つに、米ハーバード大学の教授らが開発した「IATテスト」がある。「科学と男性」など無意識レベルでの概念間の結びつきを心理科学的に測定するものでネット上で日本語版も無償で公開。「ジェンダー」「年齢」など複数受けると実感しやすかった。

同テストのネット上での実施や研究に協力するフェリス女学院大学の潮村公弘教授は、ジェンダーでのゆがみの低減に生かすには自身の偏りに思いを巡らせてから受けることを勧める。テスト後に偏りを自覚しやすい。「その『気付き』を日々、生かすことが大切」という。管理職が「男性部下にも同じ物言いをするか」と振り返るなど日常から意識し続けることが求められる。(女性面編集長 佐々木玲子)

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「リーダー向きの特性」に性差 大手25社2500人調査