須藤氏は、メモをとるとき「『自分は何に反応したのか』を意識し、思考を磨く訓練を重ねるといい。そうすればアウトプットの質も上がる」と話す。「読書メモ、食事メモなど生活の様々なシーンで書き留める癖をつけると、物事と主体的に向き合う意識が高まる。メモ自体が充実し、その後の読み返しやデータ活用にも深みが出る」(須藤氏)

膨大なメモは、自分を理解するのにも役立つ。たとえば、過去のメモを一気に流し読みすれば、自分の思考パターンが見えてきそう。普段から自然体で書き留めているメモには「素」の自分が投影されているから、それが自分の「棚卸し」の手掛かりにもなるというわけだ。須藤氏は「無制限に書き込める懐の深さを最大限に生かし、自分の発想をスマホに預けてしまおう」とすすめる。

特別なメモアプリ、今は不要

普段からメモをとりまくっている須藤氏だが、使っているのはiPhoneの基本的なメモ機能。現状では特別なメモ専用ソフトを使うには及ばないという。それでもクラウド環境に保存したメモは紙のようになくす心配はない。ほかのデジタル機器やソフトとの連動性でも便利さを実感するという。たとえば、電子書籍を読みながら、気づいた点をメモする場合、スマホならアプリを切り替えるだけで済む。パソコンを使わない人が増えるなか、「スマホだけで大半の知的作業をこなせるのは、ストレスが少ない」(須藤氏)。

メールと並ぶ連絡手段として、スマホで使える「スラック」などのチャットツールを導入する企業も増えている。普段からスマホで書く習慣をつければ、そうした場でもスムーズに発言できるようになるという。「チームで動く際、デジタル情報共有を使うことが増えて、短い表現で意思疎通するスキルが求められている」(須藤氏)

年度替わりを控えた2~3月は、手帳がよく売れる時期だ。様々に進化した手帳や文具が売り場で「紙派」を迎える。一方、「スマホ派」向けのメモ関連アプリの開発も盛り上がる。須藤氏は「分析ツールなどが増えれば、スマホメモの使い勝手はさらによくなる。先に行けば行くほど優位性がはっきりしてくる。過渡期にある今が、紙から離れるチャンス」と決断を促していた。

須藤亮
 マーケティングプランナー。TOM(トップ・オブ・マインド)社長。1980年に早稲田大学法学部を卒業し、博報堂に入社。マーケティング職、ストラテジックプランニング職として35年勤め、2015年に退社。企業コンサルティングや地方創生業務を手掛けている。

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