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家が被災、所得税全額免除も 雑損控除は繰り越し可能 確定申告のポイント(3)

2019/2/8

昨年は大阪北部地震や西日本豪雨など自然災害が相次いだ。地震や台風、豪雪などにより家が損壊したり浸水したりした場合、確定申告することで税金面で救済される。火災による被害も対象。「雑損控除」「災害減免法」という2つの制度があり、有利なほうを選べる。

■2つの制度、有利なほうを選ぶ

雑損控除は、損失の度合いに応じて一定額を、所得から差し引ける仕組みだ。課税所得が減って税額は安くなる。住宅・家財のほか、通勤用の自動車など、生活に必要な資産が対象だ。

もう一方の災害減免法は、住宅・家財の損失額が、時価(後述)の50%以上にのぼった場合に適用できる。その年の所得が1000万円以下の場合、所得税の全額か、一定の割合が免除される。

被災者がどちらの制度を選ぶにせよ、はじめに損失額を計算する必要がある。最終的には税務署と相談して申告するのがよいが、計算法をおおまかに見ておこう。

■損失額、被災直前の時価をもとに計算

住宅の損失額は、被災直前の時価をもとに計算する。全壊した場合は時価の100%、半壊したときは50%相当が損失額となる。一部破損であれば5%相当だ(雑損控除の場合)。被害の割合は浸水した場合も細かく定められている。自治体が発行した罹災証明書をもとに税務署が被害割合を判定する。

家の時価は売買契約書などに記された取得価格から求める。記録が残ってない場合、国税庁が定める1平方メートルあたりの工事単価に総床面積をかけたものが取得価格。そこから経年劣化による減価分を引くと時価になる。火災保険などから保険金を受け取った場合はその分を差し引く。

損失額の基本的な計算は両制度で同じだが、雑損控除に限り、「災害関連支出」を損失額にカウントできる。壊れた家を取り壊したり土砂を除去したりする費用だ。

損失額が分かったら、どちらの制度の適用が有利かを判断する。国税庁は所得が600万円、もともとの所得税が28万200円などと、一定の条件を例に試算している。

雑損控除を選んだときの税額は、損失額が100万円のとき21万円台、200万円のとき11万円台、300万円なら5万円台。一方、災害減免法では一律14万100円。つまりこの例では損失額が100万円なら災害減免法、200万円、300万円なら雑損控除を選ぶのが有利だ。

■雑損控除、損失の繰り越しが可能

雑損控除では損失の繰り越しが可能なことを覚えておこう。損失額が膨らみ所得から控除し切れなかった場合、その分を翌年に繰り越してその年の所得から差し引ける。繰り越しは最長3年可能で節税効果が続く。「一般に損失額が多いときは雑損控除が有利だ」(浅川典子税理士)

両制度とも原則、納税者自身の資産が被災した場合が対象だが、例外がある。年金暮らしの親の家に同居していて被災したようなケースだ。吉岡幸治税理士は「所得が38万円以下で生計をともにしていた家族の資産については申告すれば救済を受けられる」と助言する。

(川鍋直彦)

[日本経済新聞朝刊2019年2月2日付]

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