未来のジョブズ、AIで発掘 人材採用・育成の革新力ビジッツテクノロジーズの松本勝CEOに聞く

リーマン・ショックを機に金融界を去り、アルゴリズムを極める道に

デリバティブの敏腕トレーダーとして業界では有名になり、高収入を得た。しかし、松本氏は「金もうけに関心があったわけではなく、アルゴリズムの研究を極めたかった」。08年のリーマン・ショックを機に金融界を去り、世界を巡る旅に出た。人生を一度リセットするためだ。

注目のAI、学生のキャリア支援に

「次は何をやろうか。アルゴリズムを使って何かできないか」と考えるうち、突き当たったのがAIだった。早くも10年には、AIを利用する投資ファンドを設立。同じころ、東大の恩師から「学生のキャリア支援で力を貸してほしい」といわれた。

かつての東大生には判で押したようなエリート街道が見えていた。官僚、法曹界、金融業界、マスコミ、研究者、エンジニア、医師……。しかし、人気職業のピラミッドは次々崩れ、後輩の東大生たちもキャリアに迷い始めていた。

松本氏は工学部出身だが、理系の「主流派」ともいえるメーカーや研究機関でなく、外資系投資銀行という道を選び、独自のキャリア構築に挑んだ。悩む後輩にとことん向き合おうと、13年にNPO法人「キャリア大学」を立ち上げた背景には、そんな経験があるのかもしれない。

キャリア大学は、企業の社員が先生となって「キャリア教育」を行うもの。三井住友銀行やアクセンチュア、博報堂、EYジャパン、住友商事などの大企業に加え、経済産業省なども参画した。

受講する学生の枠も東大から全国の大学へと広げたが、ユニークなのは就活の主役である3~4年生でなく、「キャリアとは何か」を考え始める1~2年生を対象にしたことだ。志望者は3年目には3万人を超え、人気講座の倍率は20倍を超えた。就活という目的をあえて外し、ビジネスの現場を語れる社会人と学生の対話を生み出すという試みが新鮮だった。

学生と先輩、「ビジョン」でマッチング

14年にはビジッツを設立し、松本氏が磨き上げてきたAIのノウハウを活用したキャリア支援サービスを開始した。それが先輩と学生をマッチングさせる「VISITS OB」だ。事業の内容や待遇を紹介する従来型の就活支援サービスと異なり、AIを使って「ビジョンに共感しあえる人」のつながりを生み出すのが特徴だ。

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