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低体重で生まれた赤ちゃん 元気に育てる3つの処方箋

2019/2/6

小さく生まれてしまったら、どうすればいい?(写真はイメージ=PIXTA)

日本では約10人に1人の赤ちゃんが2500g未満の低出生体重児として誕生している。その割合は、先進国の中で最も高い。「低出生体重児として生まれた赤ちゃんは将来、糖尿病や高血圧などの生活習慣病になるリスクが高くなる」――。日本DOHaD(ドーハッド)学会代表幹事として、この現状に警鐘を鳴らし続けてきた早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所招聘研究員で、福島県立医科大学特任教授の産婦人科医の福岡秀興さんに、小さく生まれた赤ちゃんを元気に、健康に育てるコツを聞いた。

■処方箋その1・スキンシップでストレスと耐糖能異常を軽減

「小さく生まれた赤ちゃんをいかに心身共に健康に成長させるかは、『ドーハッド』研究の最大のテーマです。今分かってきている対処法の一つは、スキンシップです。そのいい機会になるのが母乳育児。しかし、人工乳育児の場合も、心配は不要です。折に触れ、とにかく赤ちゃんを抱きしめて肌と肌とのスキンシップをしてあげることが大切なのです」と福岡さん。

「スキンシップをすると、赤ちゃんの脳から分泌されるオキシトシンという愛情ホルモンの分泌が高まります。また動物実験ですが、スキンシップを積極的に行う母ラットに育てられた赤ちゃんラットはストレスに強く、寿命も長く、糖尿病になりにくいことが知られています。積極的なスキンシップにより、記憶中枢である海馬ではストレスホルモンであるグルココルチコイドの受容体の発現量が多くなります。強いストレスを受けてもストレスホルモンが過剰に分泌されず、ストレスに対する抵抗性が高まるのです(※1)。つまり、ストレスに強い子になるというわけです。また、このストレスホルモンは血糖値を上昇させるホルモンでもあります。小さく生まれた赤ちゃんは、将来、糖尿病になりやすくなることが分かっていますが、ストレスを受けてもストレスホルモンが過剰に分泌されなければ、高血糖になるリスクも軽減すると考えられます。米国でスキンシップ教室が盛んなのはこのような理由によるものです」と福岡さんは話す。

(※1)Science. 1997 Sep 12;277(5332):1659-62

低出生体重児の多くは、お母さんのおなかの中にいる時に栄養が少ない状態で育つため、少ない栄養量であっても生き抜くことができる体質に変わるとされる。そのために、普通の体重で生まれた子と同じ量の栄養を取っても肥満になりやすく、その結果、生活習慣病のリスクも高まる。しかし、小さく生まれてもお母さんが生まれた直後から積極的にスキンシップをたくさんして育てれば、ストレスに強くなり、糖尿病などの生活習慣病になるリスクを減らせる可能性が高まるというわけだ。

DOHaD(ドーハッド)説って何?
「ドーハッド説」は、英語のDevelopmental Origins of Health and Diseaseの頭文字からDOHaD説と呼ばれており、生活習慣病のおおもとは、受精時、胎児期から生後2~3年という人生の最初の短時間につくられるという説だ。これまで明らかでなかった生活習慣病の成り立ちが、この考え方で説明できるようになり、世界的に注目されている。具体的には、赤ちゃんの受精時から胎児期、出生後の発達期の低栄養状態や強いストレスなどの環境要因が、成長後の健康や病気の発症リスクを決めているというもの。

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