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ブラッドムーンにハプニング 隕石衝突を世界が目撃

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ナショナルジオグラフィック日本版

米国時間の2019年1月20日、皆既月食で赤銅色に染まった「ブラッドムーン」を人々が見上げていたとき、予期せぬ幸運に恵まれた人たちがいた。隕石(いんせき)が月にぶつかった閃光を目にしたのだ(衝突のクローズアップ写真は2ページ目)。

「めったに起きない出来事がそろいました」と、米ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の博士号候補生、ジャスティン・カワート氏は話す。「このくらいサイズの物体は、だいたい週に1回は月にぶつかっています」とカワート氏。だが、この観測が事実だと確認されれば、月食の間にこのような衝突が記録された初の例となるかもしれない。

月食の最中に、観測していたある人が衝突らしき瞬間を発見。ソーシャルニュースサイト「Reddit」の宇宙コミュニティーに投稿し、他のユーザーたちの反応を待った。このニュースはソーシャルメディアでたちまち拡散し、その間にも、皆既月食を見られる地域の人たちが、小さな光の瞬きをとらえた画像や動画を投稿した。

当初、多くの科学者は半信半疑でニュースに接した。カナダ、トロント大学の惑星科学者サラ・マズルーイー氏は、ツイッターで話題になっているのを目にして、「局地的な現象なのか、あるいはカメラに関係があるのだろうかと思いました」と語る。

衝突による閃光はかすかな上、すぐに消えるため、画素のエラーと混同しやすい。しかし、次々ともたらされる写真は同じ事実を示していた。皆既月食が始まったばかりの世界時(UT)4時41分、月の西側にある直径85キロほどのクレーター「ビュルギウス」の南で、ごく小さな光の点がきらめいていたのだ。

「どの画像も、同じ画素が明るく光っているようです」とマズルーイー氏は言う。この一致は、閃光が実際に衝突だったことを強く示唆している。

NASAゴダード宇宙飛行センターの科学研究員、ノア・ペトロ氏は、「みんなが一斉にこれを目撃するとは、世界中の誰も思っていなかったでしょう」と話す。

かすかな閃光を探して

観測していたのは、アマチュア天文家たちだけではない。スペイン、ウェルバ大学の天体物理学者、ホセ・マリア・マディエド氏は、月面衝撃検出・分析システム「MIDAS」の共同ディレクターを務めている。皆既月食のとき、マディエド氏はまさに隕石の衝突が観察できないかと職場に残り、プロジェクトで使う望遠鏡8台を月に向けていた。

MIDASチームは普段、地球の仲間である月に降り注ぐ大量の隕石について調べようと、衝突を示すサインであるかすかな閃光を探して月に目をこらしている。しかし、満月のときには、こうした光はたいてい弱すぎて見つけられない。そこでチームは、観測の大半を新月の前後5日間に行っている。一方、いつもは明るい満月の光も月食のときには鈍るため、ごく小さな一瞬の光をとらえる貴重な機会となる。

これまでの月食では衝突を見つけられずにいたが、マディエド氏は望みを捨てていなかった。「自分の中の何かが、今がそのときだと告げていた」からだと彼は振り返る。そしてやはり、努力は報われた。

「本当にうれしいご褒美をもらいました」とマディエド氏。

月への衝突からわかること

次のステップは、多くの観測結果を集めて事象を詳細に調べ、できるなら月面に形成された新しいクレーターの画像を得ることだと科学者たちは話している。

「地球と月の距離は近いため、月への天体衝突を観察すれば、地球への衝突の頻度についても多くを知る手がかりになりえます」とマズルーイー氏は説明する。氏はこのほど発表した論文で、大きな天体が月、ひいては地球に降り注ぐ頻度が太古の時代に急増したことを詳細に研究している。

普段からたくさんの小さな隕石が太陽系を突っ切っていくが、私たちは地球の大気によって守られている。ただし、地球を周回する多数の人工衛星は影響を受けることがある。こうした衛星は、ナビゲーションや通信、天気予報など、さまざまな機能を維持するのに欠かせない。

「科学者にとっては、月への小さな衝突を調べることで、地球に大きな衝突が起きたときの影響を知る手がかりになります」とマディエド氏は話す。

新クレーターは見つかるか

とはいえ、すでに穴だらけの月面で今回の衝突でできた新しいクレーターを見つけるには、多少の作業が必要だろう。このプロセスに不可欠な探査機が、NASAの月探査衛星「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」だ。2009年に打ち上げられて月の周回軌道に入ったLROは、その表面を驚くほど詳細に調査している。これまでに、月面の地形に起こった変化を数百も記録し、その中には新しいクレーターも20個以上含まれている。

LROは過去に、衝突を示す閃光の第1報を受けてクレーターを発見した実績もある。2013年3月17日、NASAマーシャル宇宙飛行センターの研究者たちは、今回同様の微弱な光が月面で明滅するのを目撃したと報告。LROの3台のカメラが閃光の前後に撮った月面の画像を比較して、衝突による破片の流れを追跡、関連するクレーターを突き止めた。

ただし、LROのカメラを担当するチームは、月面を撮影する際に特定のクレーターを目標にはしていない。LROプロジェクトに携わるノア・ペトロ氏によると、LROは本来、ある期間中の平均衝突数を算出できるよう、月面の状態をランダムに撮影している。新しいクレーターを特定の目標にすると、統計用のサンプリングが妨げられるだろう。

それでも、研究者らは、新しいクレーターの位置を徐々に絞り込み、衝突についての情報を一つひとつ明らかにすることで、クレーターがあるはずの範囲を探査機が通過するかどうか知ることができる。マディエド氏らのチームは、予想されるクレーターの大きさと位置を計算できるよう、衝突のエネルギーと質量の推定に乗り出している。同氏の最初の計算では、隕石の大きさはアメリカンフットボールくらい、できたクレーターは直径7~10メートルほどという結果が出た。

冒頭のカワート氏も、アマチュア天文家クリスチャン・フレシュリン氏の写真を使い、隕石の落下地点を特定しようと試みている。カワート氏は、クレーターが月面の南緯29.47度、西経67.77度の地点周辺にあると推定しているが、精度には注意しなければならない。画像の1ピクセルは、幅約4キロの範囲を表すからだ。

「ですから、もし1ピクセルずれたまま、その位置を目標にすれば、クレーターを完全に見逃す可能性があります」とカワート氏。

この探査機が最終的に新しいクレーターを見つけるかどうかはともかく、一連の出来事は、ソーシャルメディアが果たせる役割を知らしめたとペトロ氏は話す。自然現象に関するデータ収集という、重要だが見過ごされがちな役割だ。

ペドロ氏は続けた。「月食を迎えるとき、ブラッドムーンはすごく面白いと言いましたが、今回の観測はまさに血(ブラッド)が沸き立つ面白さだとあらためて教えてくれています」

(文 Maya Wei-Haas、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年1月24日付]

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