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ブラッドムーンにハプニング 隕石衝突を世界が目撃

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/2/11

ナショナルジオグラフィック日本版

1月20日の皆既月食の様子。左に見える白い光の点が、隕石が月に衝突した地点を示している。2ページ目にクローズアップ写真(PHOTOGRAPH BY CHRISTIAN FRÖSCHLIN)

米国時間の2019年1月20日、皆既月食で赤銅色に染まった「ブラッドムーン」を人々が見上げていたとき、予期せぬ幸運に恵まれた人たちがいた。隕石(いんせき)が月にぶつかった閃光を目にしたのだ(衝突のクローズアップ写真は2ページ目)。

「めったに起きない出来事がそろいました」と、米ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の博士号候補生、ジャスティン・カワート氏は話す。「このくらいサイズの物体は、だいたい週に1回は月にぶつかっています」とカワート氏。だが、この観測が事実だと確認されれば、月食の間にこのような衝突が記録された初の例となるかもしれない。

月食の最中に、観測していたある人が衝突らしき瞬間を発見。ソーシャルニュースサイト「Reddit」の宇宙コミュニティーに投稿し、他のユーザーたちの反応を待った。このニュースはソーシャルメディアでたちまち拡散し、その間にも、皆既月食を見られる地域の人たちが、小さな光の瞬きをとらえた画像や動画を投稿した。

当初、多くの科学者は半信半疑でニュースに接した。カナダ、トロント大学の惑星科学者サラ・マズルーイー氏は、ツイッターで話題になっているのを目にして、「局地的な現象なのか、あるいはカメラに関係があるのだろうかと思いました」と語る。

衝突による閃光はかすかな上、すぐに消えるため、画素のエラーと混同しやすい。しかし、次々ともたらされる写真は同じ事実を示していた。皆既月食が始まったばかりの世界時(UT)4時41分、月の西側にある直径85キロほどのクレーター「ビュルギウス」の南で、ごく小さな光の点がきらめいていたのだ。

「どの画像も、同じ画素が明るく光っているようです」とマズルーイー氏は言う。この一致は、閃光が実際に衝突だったことを強く示唆している。

NASAゴダード宇宙飛行センターの科学研究員、ノア・ペトロ氏は、「みんなが一斉にこれを目撃するとは、世界中の誰も思っていなかったでしょう」と話す。

■かすかな閃光を探して

観測していたのは、アマチュア天文家たちだけではない。スペイン、ウェルバ大学の天体物理学者、ホセ・マリア・マディエド氏は、月面衝撃検出・分析システム「MIDAS」の共同ディレクターを務めている。皆既月食のとき、マディエド氏はまさに隕石の衝突が観察できないかと職場に残り、プロジェクトで使う望遠鏡8台を月に向けていた。

MIDASチームは普段、地球の仲間である月に降り注ぐ大量の隕石について調べようと、衝突を示すサインであるかすかな閃光を探して月に目をこらしている。しかし、満月のときには、こうした光はたいてい弱すぎて見つけられない。そこでチームは、観測の大半を新月の前後5日間に行っている。一方、いつもは明るい満月の光も月食のときには鈍るため、ごく小さな一瞬の光をとらえる貴重な機会となる。

これまでの月食では衝突を見つけられずにいたが、マディエド氏は望みを捨てていなかった。「自分の中の何かが、今がそのときだと告げていた」からだと彼は振り返る。そしてやはり、努力は報われた。

「本当にうれしいご褒美をもらいました」とマディエド氏。

■月への衝突からわかること

次のステップは、多くの観測結果を集めて事象を詳細に調べ、できるなら月面に形成された新しいクレーターの画像を得ることだと科学者たちは話している。

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