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辛酸なめ子 バレンタインはイケメン映画で脳内恋愛

恋する映画 『わたしを離さないで』『キング・オブ・エジプト』…

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NIKKEI STYLE

いよいよ間近に迫ったバレンタインデー。今年に勝負をかけている人も、そうではない人も、この時期にオススメしたいのがイケメンが登場する映画です。漫画家でコラムニストの辛酸なめ子さんは、洋画専門CSチャンネル「ザ・シネマ」のバレンタイン企画でイラストを担当。辛酸さんと、同企画に携わったザ・シネマ女子さんのおふたりにオススメのイケメン映画、イケメンとの脳内恋愛、バレンタインデーの思い出についてお話ししていただきました。

――まずは、今回の企画の経緯を教えてください。

ザ・シネマ女子(以下、シネ女):実は「ザ・シネマ」では、数年前までバレンタインに合わせてイケメン俳優が出演している映画特集を毎年放送していました。ただ、今回特集を復活させるにあたり、映画でイケメンを見せるだけではなく、特集が始まる前に視聴者に映画に登場するイケメンスターとの恋愛を妄想する「脳内恋愛」を楽しんでもらえたら面白いという話になったのです。さらに、イケメンをただ紹介するだけでなく、辛酸なめ子さんのイラストと言葉で表現したら面白いのではということになりました。

――辛酸さんは、企画の内容を聞いたときはどのようにお感じになりましたか?

辛酸なめ子(以下、辛酸):今回は「イケメンとの脳内恋愛」というのがテーマですが、多くの女性たちがそういう妄想をしているんじゃないかなと思ったので、共感しやすいテーマだと感じました。

シネ女:今回は、ブラッド・ピットやライアン・ゴズリング、ユアン・マクレガー、コリン・ファース、ブラッドリー・クーパー、ロバート・ダウニー・Jr、ジェイソン・ステイサム、ニコライ・コスター=ワルドー、アンドリュー・ガーフィールドという9人のイケメンスター軍団をそろえてみました。私のイチオシは『キング・オブ・エジプト』(2016)のニコライですが、辛酸さんのタイプはどの方ですか?

辛酸:旬のイケメンでもあるライアンと『わたしを離さないで』(2010)のアンドリューがいいですね。

――辛酸さんはイケメンスター軍団のイラストをそれぞれ描かれていますが、こだわったところを教えてください。

辛酸:企画チームのみなさんとお話をしているなかで、「女性は完璧で隙がないイケメンたちの『ギャップ』が好き」というのがわかったので、映画を見たり、実際の彼らのことを調べたりしながらイラストにしました。そのなかで、アンドリューがライアン・レイノルズとキスしていたり、ブラッドリーがお母さんのことが大好きで手をつないでイベントに出席していたりという新たな発見もあり、おもしろかったです。

『わたしを離さないで』
ある秘密を持って生まれた子どもたちの過酷な運命を描いた『わたしを離さないで』。メインキャストのひとりを演じたアンドリュー・ガーフィールドは、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズで大ブレイクを果たし、人気俳優として知られている。2017年に行われたゴールデングローブ賞授賞式では、受賞を逃したライアン・レイノルズと熱いキスを交わして話題に。

――放映される作品のなかでオススメはありますか?

辛酸:『白い帽子の女』(2015)は、ブラピがいまは別れてしまったアンジェリーナ・ジョリーと共演している作品。倦怠期に陥るカップルの様子が実際の彼らの関係性を想起させるものがあって興味深かったですね。

『白い帽子の女』
元祖イケメン俳優と言われ、日本ではブラピの愛称で長年愛されているブラッド・ピット。『白い帽子の女』では、現在離婚調停中のアンジェリーナ・ジョリーと冷え切った関係の夫婦を演じている。南フランスのリゾートホテルを舞台に繰り広げられる本作で、ブラピとアンジーの2人が隣室に泊まる新婚カップルの情事をのぞき見するシーンは見どころのひとつ。

シネ女:私は『普通じゃない』(1997)です。ユアンがまだ若い頃の作品ですが、すごくかっこよくておしゃれなのに、ものすごいダメ男。でも、そこがまたいいんですよね。

バレンタインデーの思い出もいまでは黒歴史

――では、この9人のなかで、バレンタインデーにチョコをあげるとしたら誰がいいですか?

辛酸:アンジーとのことではいろいろと傷心だと思うので、やっぱりブラピです。「お疲れさま」みたいな癒しを与える感じであげたいですね(笑)。グルテンフリーの体にもよさそうなチョコなんかがぴったりかなと思います。

シネ女:私はニコライ一筋なので、彼にあげたいですが、「ありがとう」だけさらっと言われて玉砕したいです(笑)。ちなみに、私はバレンタインデーにチョコをあげた経験があまりないのですが、辛酸さんは忘れられない思い出などありますか?

辛酸:私は小学校6年生のときにサッカーが上手かった男子に、サッカーボール柄の包み紙に入ったチョコをあげたことがありました。そのとき、一緒に手紙も渡したんですが、そこに「お返しは、〇〇くんの童貞が欲しいです」と書いてしまったんです(笑)。もちろん、相手からは何のリアクションもなく、そのまま卒業してしまいました。いまではただ自分のなかの黒歴史になっただけ、という思い出ならあります……。

――早熟な少女時代だったんですね(笑)。ちなみに、バレンタインデーは毎年チョコをあげる習慣もありますか?

辛酸:バレンタインの前後に会う人にはあげたり、作ったりすることもあります。ただ、メディアに踊らされているところもあり、デパートに行くとつい買ってしまいますし、イベントでは来日しているパティシエの方と写真を撮ったり、サインをもらったりしてしまうんですよね(笑)。

イケメンと日本でデートするならチームラボ(笑)

――そんな辛酸さんが今年注目しているチョコはありますか?

辛酸:さっきもお話したグルテンフリーのように、最近は食べても罪悪感のない「ギルティフリー」といわれるスイーツが注目されているので、体にいい成分が入っているチョコを見つけたいなと思っています。

――ちなみに、お気に入りのイケメンたちと脳内恋愛でデートするならどこに行きたいですか?

辛酸:日本だったら、海外のセレブたちにも人気が高いデジタルコンテンツ制作会社、チームラボの施設に連れていってあげたいですね。薄暗いので、そこでロマンスも生まれそうかなと(笑)。

シネ女:それはいいですね!

――そのあとはホワイトデーも楽しみなところですね。

辛酸:私は誰かにものをあげる方に精神的な快感があるので、人からもらうものは忘れてしまいがちなんです。それよりも毎年驚くのは、3月14日前後になるとデパ地下にいままで見なかったような男性たちでいっぱいになること。しかも、ついでに食料品を買い漁っていくので、総菜がなくなっていつも困るんですよね(笑)。

妄想は楽しいけど、エネルギーも浪費する

――でも、そんな風に男性たちが普段は見せない部分を垣間見るというのも、おもしろいところではないでしょうか?

シネ女:そうなんです。たとえば、ニコライは外見が美しいだけでなく、私生活も充実している完璧なイケメン。でも、映画のなかでは脱いだらブリーフだった、みたいなギャップがあると、意外な一面に女性はキュンとするのでは、と思ったのです。あくまで全て妄想ですが。それが今回の「脳内恋愛」という企画につながっているところでもあります。実際、私も映画を見ていて、「こんな風にされたいな」と思うことがありますが、辛酸さんはいかがですか?

『キング・オブ・エジプト』
古代エジプトを舞台に、王座をかけた激しいバトルを描いた冒険スペクタクル『キング・オブ・エジプト』。ニコライ・コスター=ワルドーは天空の神ホルスを演じ、彫刻のような肉体美で多くの女性たちを虜にしている。北欧の映画界にとどまらず、英語圏の作品にも出演しており、大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』でも注目を集めているところ。

辛酸:私も以前は脳内恋愛していましたが、「妄想すると脳が勘違いして、それを現実のことだと思ってしまい、実際にかなわなくなる」という話を聞いてからやめています。それに、妄想は楽しいんですけど、エネルギーも浪費してしまいますからね。でも、今回のイラストを描くにあたって、妄想を復活させたんですが、妄想すると気が散ってしまうこともあり、道で転んだりしていました。やっぱり妄想は危険なものだなと感じているので、しばらくは静かな生活に戻ろうと思っています(笑)。

――妄想が日常生活にも影響を与えているようですが、ちなみにご自身の恋愛事情が仕事に反映されるようなこともありますか?

辛酸:それはあまりないですね。ただ、穏やかな状態の方が仕事を滞りなくこなせるというのはあると思います。とはいえ、私は仕事を始めたときから、7:3で恋愛より仕事を重視している方なんですけどね。

シネ女:私は恋愛が仕事に影響することも多少ありますが、それよりも見る映画を相手の趣味に合わせることはありますね。ちなみに、デートに合うようなオススメの作品は何かありますか?

辛酸:デートで見る場合、濡れ場があると気まずくなることってありますよね。なので、そういうものがなくて、どんな男性でもテンションが上がるような作品という意味で、ゲームのキャラクターたちが登場する『ピクセル』(2015)みたいな映画はぴったりじゃないでしょうか。特に、男性が貧乏だった場合、チケット代の1800円は高いと思うかもしれないので、それなら相手がお金を払っても楽しめる作品の方がいいですよね。

シネ女:確かにそうですね(笑)。

脳内恋愛で女性ホルモンを活性化

――では、女性が一人で見るのにオススメの作品もあれば教えてください。

辛酸:2人の青年が繰り広げるひと夏の恋を描いた『君の名前で僕を呼んで』(2017)は、女性にとっては目の保養になる作品。美青年がパンツ一枚になる姿は、シルエットも楽しめますし、ずっと見ていたくなるんですよね(笑)。一人でしっとり見るのにはいい映画だと思います。

バレンタインということで、いろいろと勝負をかける女性も多いと思いますが、世の中にはステキな男性も大勢いるので、もしうまくいかなかったとしても、心の穴はこのイケメンスター軍団が埋めてくれるはずです。それに、彼らを見ていると、自分を振った男性がしょぼく思えてきますから(笑)。

シネ女:バレンタインというとリア充イベントのように思われがちですが、たとえ現実で恋愛していなくても、映画のなかにイケメンはたくさんいますし、脳内恋愛なら自分の好きなようにできるもの。ぜひ、それを生かして女性ホルモンを活性化してもらいたいと思っています。

辛酸なめ子
漫画家、コラムニスト。東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部卒業。海外セレブから皇室、スピリチュアルにオカルトと、幅広いジャンルを対象に企画連載を持ち活躍中。

ザ・シネマ女子
洋画専門CSチャネル「ザ・シネマ」で働く、公私ともに映画好きなアラサー。実生活ではイケメンを極力避けて過ごしているが、本当は美しい生き物が大好物。
洋画専門CSチャンネル「ザ・シネマ」
「脳内恋愛・王座決定戦 バレンタインの陣~ザ・シネマ女子 vs イケメンスター軍団~」
放送:2月11日(月・祝)21:00~2月14日(木)21:00~

(ライター 志村昌美、写真 小川拓洋)

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