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転ばぬ先の不動産学

不動産価格は転換点か 都心の中古マンションは下落へ 不動産コンサルタント 田中歩

2019/2/6

次のグラフは、都心3区(千代田・中央・港)の中古マンション売買単価と賃料単価の推移を示したものです。12年末以降、売買単価は右肩上がりとなっていますが、賃料単価はここ数年で持ち直したもののリーマン・ショック前の水準に戻ったにすぎず、不動産価格を強力に押し上げるほどのものとはなっていないことがわかります。つまり価格を押し上げたのは表面利回り(金利+リスクプレミアム)の低下が原因と考えられます。

東日本不動産流通機構 「市場データおよび首都圏賃貸取引動向」より筆者作成

実際、同じ期間の住宅ローン金利は下がっていました。次のグラフはフラット35の平均的な金利の推移を示したものですが、これを見ても金利低下が著しかったことは一目瞭然です。

住宅金融支援機構 「フラット35 借入金利の推移」より筆者作成

未曽有の超低金利なので金利がいつ上がるかに留意すべきですが、日銀が一気に金利を上昇させたり、市場で国債の利回りが近いうちに急騰したりすることは今のところ考えにくいでしょう。となると、近い将来を考える際、留意すべきはリスクプレミアムではないかと筆者は考えています。

■都心3区は平均で2.8%程度の下落か

08年3月以降の都心3区の表面利回り、金利(フラット35)、リスクプレミアムの推移をグラフにしてみました。金利と賃料がしばらくは変動しないと仮定すれば、リスクプレミアムの動きを注視することになります。過去の動きをみると、2.5%程度から3.5%程度の間を行き来していることがわかるでしょう。

筆者は、リスクプレミアムはその時の経済状況を踏まえ、リスクを積極的に取りに行くか回避しようとするかという意識や、将来に対する不安感の強弱などで変化し、上下動を繰り返していると考えています。

08年のリーマン・ショックでも不安心理が高まり、リスクプレミアムは上昇しました。11年3月の東日本大震災の際も建物を保有するリスクが高いと感じる人が多くなった結果、リスクプレミアムは上がりました。16年前半は年初の人民元安や英国の欧州連合(EU)離脱決定から積極的にリスクを取ろうとしないトレンドとなり、リスクプレミアムが上昇しました。

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