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転ばぬ先の不動産学

不動産価格は転換点か 都心の中古マンションは下落へ 不動産コンサルタント 田中歩

2019/2/6

このようにリスクプレミアムが上昇する時期は、不動産価格は下がることになるわけです。

08年3月から18年12月までの都心3区の中古マンションに対するリスクプレミアムの平均値は約3%です。仮に、金利も賃料も不変のまま、大きな経済不安が発生しない前提で不動産価格が調整局面に入るとすれば、まずリスクプレミアムの平均値を目指す動きとなるのではないかと予想しています。

それが正しいとすれば、現在のリスクプレミアムは2.87%ですので、リスクプレミアムが今より0.13%アップしたとして計算してみると、都心3区の中古マンションは現状の価格から2.8%程度下落すると考えられます。

■地域によって推定下落率は異なる

住宅ローンなどの金利の変化は不動産価格に一様に影響すると考えられます。一方、リスクプレミアムは経済環境によって不動産価格に一様に影響する面があるものの、立地の良しあしなどによってもその値が大きく異なります。人気のある地域の価格がより高くなるのは、価格が下がりにくいため、上乗せしたいリスクプレミアムをそれほど大きくする必要がなくなるからです。

今回、都心3区の他に、城東地区(台東・江東・江戸川・墨田・葛飾・足立・荒川の各区)、城南地区(品川・目黒・世田谷・大田の各区)、城西地区(新宿・渋谷・杉並・中野の各区)、城北地区(文京・豊島・北・板橋・練馬の各区)、東京都下、横浜市、川崎市、埼玉県、千葉県について調べました。

都心3区が最も推定価格下落率が低くなっており、郊外に行くほど下落率が高くなっていることがわかります。これまでの価格上昇は金利低下の影響が大きかったとは思いますが、都心3区以外はリスクプレミアムの低下による影響も大きかったようです。

この調査結果はあくまで平均値なので、建物のグレードや管理状況の良しあしなど、それぞれのマンションの個性によって値下がりのしにくさは変わってきます。また、大きな経済不安が起こった場合、リスクプレミアムはもっと高くなりますので価格下落は大きくなります。今回の結果を立地選びの一つの参考としていただければと思います。

田中歩
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。

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