株暴落は一時的 リスク過大視されている(武者陵司)武者リサーチ代表

しかし、中国に過剰な生産集積を認めないということは他に供給地を求めるということになる。今後は中国以外の地域での供給力増強投資の広がりが期待される。

中国経済は景気対策によって上向く

実際、例えば日本電産は中国以外の地域における生産拠点投資を加速させると表明している。この先は中国の落ち込みが世界全体の落ち込みにつながるということではなく、他の地域への投資に代替されることが見えてくると思う。ただ中国だけが落ち込むという不安が18年後半には支配的であったが、貿易摩擦の一定の決着により、状況は明るくなっていくだろう。春先以降、中国経済には景気対策による上向きな兆候がある程度出てくると予想する。

アベノミクス以降、外国人は累計で一時20兆円を超える日本株をネットで取得したが、そのほぼ7割を売却したもようである。外国人の日本に対する若干ネガティブな姿勢の背景には、日本経済が米中摩擦や中国景気後退のダメージを受けやすいとの評価があるとみられる。

しかし、かねて武者リサーチが主張しているのは中国が米国によって叩(たた)かれれば、むしろ日本にプラスの影響が出てくるということである。

漁夫の利で日本株投資のスタンスは変化も

かつて日米貿易摩擦に際して、韓国、台湾、中国は日本の犠牲により漁夫の利を得たが、今度は日本の番である。このことが共有されるようになれば、対日本株投資スタンスはガラッと変わり得る。日本の優位性がそこかしこに見られるようになっている。

米自動車企業の苦境とは対照的に、日本の自動車企業は対中投資を増加させている。米国車シェアの停滞とは裏腹に、日本車シェアが上昇しているためである。トヨタ自動車はプラグインハイブリッド車(PHV)の技術供与によりシェア拡大を狙っている。

消費財分野では日本製品の人気が高く、「made in Japan」熱が高まっている。中国での対日批判が静まったことで、底流にあった高品質で洗練されている日本製品へのあこがれが強まっている。中にはmade in Japanのラベル表記のために、日本で製造を始める中国の消費財製造企業も登場している。特にmade in Japan人気が高いのは化粧品市場だ。対中輸出は17年に前年比50%増となり、18年も同ペースの伸びが続く。

また、ハイテクで日本企業は有利な立場を築いている。中国、台湾、韓国のハイテク・ハードウエアのメガプレーヤーを支える基盤技術、周辺技術の圧倒的部分を日本企業が担っている。株式投資の対象としても日本のプレゼンスが高まるだろう。

武者陵司
武者リサーチ代表。1949年長野県生まれ。73年横浜国立大学経済学部卒業。大和証券入社。企業調査アナリストを担当。大和総研アメリカでチーフアナリスト。97年ドイツ証券入社、調査部長兼チーフストラテジスト、2005年副会長。09年武者リサーチ設立。著書に「超金融緩和の時代」(日本実業出版社)など。
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