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カリスマの直言

株暴落は一時的 リスク過大視されている(武者陵司) 武者リサーチ代表

2019/2/4

写真はイメージ=123RF
「世界的な株の波乱の原因をファンダメンタルズに求めるとすれば一つは米中の貿易摩擦、もう一つは米金融政策と推測されるが、いずれもリセッションを引き起こすほどのリスクとは思えない」

2018年10月から12月のクリスマスまでの世界的株式暴落について、筆者はもっぱら市場のテクニカル(技術的)な要因であり、一時的なものだと主張してきた。

実際、クリスマス暴落で大底を付けるまで高値から約20%下落した米ダウ工業株30種平均はその後の3週間で急反発し、下落幅のおよそ半分を取り戻した。テクニカルに売られたものはテクニカルに買い戻される。今はその買い戻し局面に入ったと考えられる。

18年12月の暴落はまさしくリーマン・ショック級の下落であった。大きな要因の一つはコンピューターによるアルゴリズム取引や人工知能(AI)を使ったトレーディングだ。人間の裏の裏をかくAIトレーダーが猛威を振るい、人間の定石が全く通用しない投機市場を演出している。

米株式投資信託、上場投資信託(ETF)からは18年12月、リーマン時を大きく上回る過去最大の資金流出が起きた。一時的に投資家が恐怖に震えて全く買いの手が出なくなる異常空間が出現したのである。

■景気後退を引き起こすほどのリスクとは思えない

だが、リーマン級の大不況が来ないとすれば、これは極端な反応であり、空前の買いチャンス到来ともいえる。日経平均採用銘柄のPBR(株価純資産倍率)は18年12月末に約1倍と歴史的低水準に落ち込んだ。

さらに12月末の裁定買い残高も歴史的低水準である5000億円台まで減少した。それは外国人主体の投機家による先物売りが収まりつつあることを示している。過去の事例では裁定買い残が5000億円台を付けると、相場大反転のシグナルとなった。

この世界的な株の波乱の原因をファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に求めるとすれば一つは米中の貿易摩擦、もう一つは米金融政策と推測されるが、いずれもリセッション(景気後退)を引き起こすほどのリスクとは思えない。リスクがいかに過大視されているか見ていこう。

米長期金利が一時3.2%まで上昇し、信用循環を暗転させるのではないかと投資家は身構えたが、この金利水準そのものは決して経済にネガティブな影響を与える水準ではない。名目国内総生産(GDP)成長率は6%近い状態であり、企業収益が2桁の拡大を続けている。しかも、インフレの沈静化により、米連邦準備理事会(FRB)の利上げの必要性がないことがはっきりしてきた。

■FRBは景気拡大と株価維持にどんな手も打てる

今のFRBは景気を拡大させ、株価を維持するために必要ならどんな手でも打てる状態である。量的金融緩和を再開することもできるし、利下げもできる。なぜそれができるかというと、インフレが抑制されているからである。

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