「学生に戻れるなら歴史を学びたい」サントリーホールディングス社長 新浪剛史氏

2019/3/4

経済も経済史という見方をすれば面白い。経済学者シュンペーターのイノベーションの理論では、同じようなことが繰り返されるといいます。だとすると今は人工知能(AI)を使える時代だけど、実は人間が人間らしく生きたいなという発想に戻るんじゃないでしょうか。AI自体は技術ですが、AIを使ってどう人間らしさを追求するかは文化人類学的な側面があります。そしてやはり人間というものを見つめるのが経営だと思うのです。

■20歳のあなたへ
もう一度就活するならリクルート。人生の設計図を自分で書くために、鍛えてくれる会社選べ

もう一度就活するなら? 面白そうだと思うのはリクルートですね。ずっと残るんじゃなくて、人材が巣立って活躍していく、あのパワーはすごいと思います。そして起業したいですね。

起業するならヘルスケア分野かな。例えばテクノロジーを使ってがんを早期に発見できるとか、世の中の役に立ちますし、いいなと思います。今でも、65歳とか70歳近くなっても、起業ってありかなって思うことはありますよ。

とにかく若い方にお勧めしたいのは、自分を鍛えてくれる、そういう企業を見つけることです。大手だから面白いことができるってわけではなくて、逆に大きいから上の指示に従わなければいけなくて、自由がないという面もある。

僕が三菱商事に入った頃は、例えば砂糖の部門に入ったらずっと一生、砂糖なんですよね。出資先の製糖会社かどこかへ行って社長か幹部やって終わる人生だというのが見えて、それが嫌だから留学に手を挙げた。自分の人生を自分で決めるためには、何か資格が必要だと。

25歳のときに勉強会で竹中平蔵さんやアジア開発銀行総裁の中尾武彦さんなどと出会ったことも大きかった。会社や組織に依存しなくても自分で生きていける、そういう人たちを目の当たりにして、ああ、自分もこうあるべきだなと。やっぱり留学しないといけないと強く思ったんです。会社でなかなか行かせてくれなかったから、最後は辞めても自分で行く覚悟をしてハーバードを受けたんですよね。結局は会社から行かせてもらえることになりましたが。

何かしらのノウハウ、知識を得ることによって、次の道が開けるようになりますから。鍛えてから次へ行くということがいくらでも昔に比べたらできる社会ですよね。やっぱり後悔しないためには、自分で決められるはずの人生をどう設計していくかだと思います。

新浪剛史(にいなみ・たけし)
1959年横浜生まれ。横浜翠嵐高校から慶応大学へ。1981年、三菱商事に入社。91年に米ハーバード大の経営学修士号(MBA)を取得。43歳で三菱商事からローソン社長に。2014年、サントリーホールディングス社長に就任。60歳。

(安田亜紀代)

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