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「学生に戻れるなら歴史を学びたい」

サントリーホールディングス社長 新浪剛史氏

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NIKKEI STYLE

学生が将来を考えるヒントとして一流の経営者や著名人に「20歳の頃」を聞く連載第1回は三菱商事ローソン社長を経てサントリーホールディングス社長に就任した新浪剛史氏。日本を代表するプロ経営者が学生に戻るなら何をするのか、どんなキャリアを目指すのか――。

20歳の私米スタンフォード大へ、友人にも「NO」という気風に憧れ。学生は海外と接点を

1年間の米国生活で感じたのは自由な議論のカルチャーですね。友達同士なのに議論を飛ばす、「NO」と言う姿を見て、日本との違いを感じました。僕は慶応大学で体育会にいて、上下の厳しい組織で生きていましたから。

先輩・後輩関係なく、自由に発言ができて、そして夢を語れるのはいいなあと、日本でもこうあるべきだなということを、20歳のときにすごく感じました。そして必ず戻ってこようと思い、就職する先は必ず留学制度のあるところにしようと決めました。

今の学生さんにも海外の人ともっと接点を持ってもらいたいなと思いますね。僕の学生時代と違って、海外からたくさん留学生も来ているじゃないですか。異なるものは面白いと思って、学生時代からそういう接点を持っておくと、考え方も広がっていくと思います。

もう一つ、経営者人生に生きていると感じるのは体育会での経験ですね。器械体操部の主務という裏方の仕事をしたことです。高校時代はバスケットボールの国体選手だったのですが、膝を壊してしまって。花形選手から急に裏方に行った。もしあのまま花形選手だったら違う人生だったんじゃないかな。華やかな世界を支えてくれている、本当に重要なのが裏方だということを実感することができた。

後で考えるとそういう裏方ができたのは、僕にとってよかったなと思うんですよね。そこは実際の現場ですから。合宿するにしたって、お金が足りないからと先輩のところへ集めに行ったり。組織運営や予算ということもやりましたし、そういう意味では小さい経営をやるわけですよね。

20歳に戻れるならリベラルアーツ、特に歴史を勉強したい。グローバルリーダーは日本を知るべきだ

慶応では経済学部で、三菱商事では米ハーバード大ビジネススクールに留学して経営学修士号(MBA)を取得しましたが、実は経済学って嫌いなんですよね。経済というのは実務をやって初めてわかる。しかもシェアリングエコノミーなどが登場すると、既存の経済学の前提も崩れてきますよね。

むしろリベラルアーツ、特に歴史をもっと勉強しておけばよかったなと反省します。もともと高校時代から世界史・日本史に興味はあって、京都大学文学部へ行って歴史を学ぼうと思ったこともありました。

ローマ人の物語や司馬遼太郎の「坂の上の雲」など、40代を超えてから様々な歴史の本を読みましたが、旧日本軍の敗因を分析している「失敗の本質」という本は経営書としても良著です。なぜ大戦を起こしてしまったかを探るなかで、日本という国、日本人というものについても考えさせられる。

グローバル時代だからこそ、リーダーは日本の歴史・文化というものを知る必要がある。もっというと文化人類学ですね。

日本人ってどんなものかがわからないと上に立てないし、一方で世界とのギャップをどう超えるかという点でもそれぞれの国の歴史や文化を知って違いを認識することは重要です。海外から帰ってきたけど意外に使い物にならないなあと思う人は、「Who are we?」をわかっていないことが往々にしてあります。

当社は米国企業を買収しました。サントリーは日本をベースにして日本人に合う商品をつくってきた。一方でビーム社のスピリッツ、バーボンというのはザ・アメリカの文化。これと一緒になるのはすごいチャレンジなんです。むしろ一緒にはなれない。違いを認識した上で一緒に共鳴できるものをつくることが大事です。

バーボンのつくり方にしても「いいもの」を持っているのですが、その「いいもの」は人に帰属しているんです。我々は投資家ではない。ただ数字をなめて収益改善だ、効率化だと言っていると、「いいもの」を失ってしまう。

実はローソンの社長になって3年目くらいから家庭教師をつけて哲学を勉強したことがありました。詳細はもう覚えていないのですが、それよりも物の考え方ですかね。例えば日本は多神教だったのに対して、西洋は一つの神のもとに考えていくっていう、それぞれの発想の違いの根本が何なのか、なぜこんなに違うのかに興味が出てきた。人の上に立つのに、そういう基本的なことを知らなくていいのかなという疑問があったのです。

例えばルサンチマン(哲学者ニーチェの用語で、弱者が強者に対して持つコンプレックス)がいかに人間に影響しているかとかね。そう考えるとますます経済学って意味がなくなる。経済というのは基本的に合理的に動く、でも人間は合理性がないことがある。そういうものをどうマネージしていくか、すごく難しいですね。日本はルサンチマンそのものですし。そういう学びは現在、経済財政諮問会議でも役に立っています。

経済も経済史という見方をすれば面白い。経済学者シュンペーターのイノベーションの理論では、同じようなことが繰り返されるといいます。だとすると今は人工知能(AI)を使える時代だけど、実は人間が人間らしく生きたいなという発想に戻るんじゃないでしょうか。AI自体は技術ですが、AIを使ってどう人間らしさを追求するかは文化人類学的な側面があります。そしてやはり人間というものを見つめるのが経営だと思うのです。

20歳のあなたへもう一度就活するならリクルート。人生の設計図を自分で書くために、鍛えてくれる会社選べ

もう一度就活するなら? 面白そうだと思うのはリクルートですね。ずっと残るんじゃなくて、人材が巣立って活躍していく、あのパワーはすごいと思います。そして起業したいですね。

起業するならヘルスケア分野かな。例えばテクノロジーを使ってがんを早期に発見できるとか、世の中の役に立ちますし、いいなと思います。今でも、65歳とか70歳近くなっても、起業ってありかなって思うことはありますよ。

とにかく若い方にお勧めしたいのは、自分を鍛えてくれる、そういう企業を見つけることです。大手だから面白いことができるってわけではなくて、逆に大きいから上の指示に従わなければいけなくて、自由がないという面もある。

僕が三菱商事に入った頃は、例えば砂糖の部門に入ったらずっと一生、砂糖なんですよね。出資先の製糖会社かどこかへ行って社長か幹部やって終わる人生だというのが見えて、それが嫌だから留学に手を挙げた。自分の人生を自分で決めるためには、何か資格が必要だと。

25歳のときに勉強会で竹中平蔵さんやアジア開発銀行総裁の中尾武彦さんなどと出会ったことも大きかった。会社や組織に依存しなくても自分で生きていける、そういう人たちを目の当たりにして、ああ、自分もこうあるべきだなと。やっぱり留学しないといけないと強く思ったんです。会社でなかなか行かせてくれなかったから、最後は辞めても自分で行く覚悟をしてハーバードを受けたんですよね。結局は会社から行かせてもらえることになりましたが。

何かしらのノウハウ、知識を得ることによって、次の道が開けるようになりますから。鍛えてから次へ行くということがいくらでも昔に比べたらできる社会ですよね。やっぱり後悔しないためには、自分で決められるはずの人生をどう設計していくかだと思います。

新浪剛史(にいなみ・たけし)
1959年横浜生まれ。横浜翠嵐高校から慶応大学へ。1981年、三菱商事に入社。91年に米ハーバード大の経営学修士号(MBA)を取得。43歳で三菱商事からローソン社長に。2014年、サントリーホールディングス社長に就任。60歳。

(安田亜紀代)

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