乃木坂46の清楚なかわいさ 上海ライブで中国を魅了
2018年12月1日に中国・上海メルセデス・ベンツアリーナで開催した、「NOGIZAKA46 Live in Shanghai 2018」は乃木坂46にとって初めての海外単独公演となった。この上海公演は、中国のプロモーター・スターグループと日本のエンタテインメントコンテンツの中国展開を手掛けるアクセスブライトによる共催。映画『君の名は。』の配給や、RADWIMPS、きゃりーぱみゅぱみゅの公演を中国で展開した実績を持つ、アクセスブライトの柏口之宏代表取締役に、乃木坂46の上海公演が実現するまでの取り組みを聞いた。
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かつて日本企業が中国でビジネスを展開するといえば、映画は日本から1年以上後に公開するなど、日本では旬を過ぎたコンテンツの二次利用が多かった。しかし、もはや中国市場は日本の流行に敏感で、これでは通用しません。海賊版が蔓延してしまっているという状況もあり、音源や映像のデータではなく、日本で一番の人気者をリアルに近くで見られるという「体験」に価値を見出します。
当然、日本でトップアイドルグループの乃木坂46の知名度は高い。一方、乃木坂46の運営さんは「初の単独海外公演はしっかりした会場で開催したい」という希望をお持ちでした。そこで、ザ・ローリング・ストーンズやテイラー・スウィフトらがライブを開催してきた、中国最大級のアリーナ、上海メルセデス・ベンツアリーナでの開催を決めました。
中国での公演を継続したい
チケット代は日本ではほぼ均一ですが、今回はステージからの距離で4段階に設定、一番近い席は1812人民元(約3万円)です。高すぎるのでは、と心配する声もありましたが、30分で1万席は完売。しかも、ステージに近く価格の高い席から売れていきました。
日本のアーティストが中国でライブを行う際は、セットリストにある楽曲の歌詞をすべて中国語に翻訳して、事前に提出する必要があります。我々が手掛けたのは、その翻訳、メンバーのビザ取得や現地でのアテンド、サイリウムなどグッズの現地での製造、中国の消防法を前提とした現地の舞台設計会社との調整などです。会場の確保、我々が翻訳した歌詞の中国政府への提出、チケットの発券・回収などは、今回のパートナーであるスターグループが担当と、役割分担をしっかり決めています。
乃木坂46の中国公演は、今回1回きりではなく継続して、19年にはより大きな会場で開催したいですね。中国市場では、少女時代などK‐POPグループが先行して展開していたこともあり、現在は"きれい"が人気の要素です。ただ、乃木坂46の強みである"清楚なかわいさ"は中国市場に親和性が高いはず。継続して中国公演を開催することで、その魅力をより浸透させていければと思っています。
(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎)
[日経エンタテインメント! 2019年2月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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