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白河桃子 すごい働き方革命

外務省の新人は半数が女性 働き方改革は必然 河野太郎外務大臣

2019/3/22

白河 大臣の号令の下、事務方のトップ層がリーダーシップをとって動けるようにするということですね。

河野 すると、役所の現場からもいろいろ意見が出てくるはずなんですよ。普段から「これちょっとおかしいよね」「無駄だよね」と思っている業務の改善案はきっと誰もが持っている。その知恵を出し合えるきっかけをつくって、出てきた知恵をちゃんと拾うというのがトップの役割でしょうね。

■「失敗ありき」でトライ&エラーの働き方改革

白河 霞が関の方たちから「うちの組織でも働き方改革の案は出るけれど、提言だけで実効性がないんだよね」という不満はよく聞くんです。実効性を高めるには、やはりトップの本気度が不可欠なのですね。ただ、気になるのは、今後河野大臣が外務省を去られることがあれば、改革は後退してしまうのでしょうか?

河野 そんなことはないと思いますよ。働き方改革というのは、現場で働く人たちがプラスを実感できるはずなので、一度良い方向に動き出せば逆戻りはしないのではないでしょうか。

白河 先ほど女性の職員の方と立ち話をしていたら、「省内の雰囲気が確実に前向きに変わってきている」とおっしゃっていたので希望が持てました。「霞が関全体で30代職員のモチベーションが最も低い」という人事院の調査結果をみたことがあります。全体調査をした後、30代のスコアが低いので、さらに30代だけの調査をするぐらいだったそうです。

河野 そうですか。30代というのはそれこそ国会対策にも追われて一番忙しい時期ですからね。

白河 モチベーション低下の要因は、「長時間労働で新しいチャレンジができない」「ワークライフバランスに不満」というものでした。ですから、トップが「働き方を変えていく」と明言することは、若い世代にとってのモチベーション維持にもつながるのではと思います。

河野 現場の管理職任せだと限界があるでしょうね。管理職からすると、「何か変えようとするとかえって現場の新しい仕事を増やして不満が出るんじゃないか」と考えるから「だったら黙っていよう」と静観することになる。トップ自ら「私の責任で改革を進めるから、やってほしい」と号令をかけないと動きづらいと思いますね。

あと、私が気をつけてきた点としてもう一つ、「失敗ありき」と最初に伝えています。つまり、改革にはトライ&エラーはつきものなのだから、一度試してやめることも込みでやっていこうと。じゃないと、「人数半減したのに、今までと同じクオリティーで」なんて無理。もちろん、メリハリはつけますけれど、よほど重要事項にかかわることでなければ「ボールを落としたっていい」と私が言うようにしています。

白河 「失敗してもいい」なんて、完璧を期する霞が関では聞いたことないです(笑)。挑戦できるように心理的安全も担保している。心理的な安全性は生産性の高い職場の条件ですから、素晴らしいですね。

河野 それで実際に失敗するのかというと、実はほとんどないんですよ。かえって頑張ってくれているのでしょう。責任をもって号令をかけ、現場の工夫に任せる。それが一番いいように思いますね。私自身も職員も、業務の無駄を省くことで、本来集中すべき外交にしっかり向き合える。これが最終的なゴールでしょう。

白河 確かに河野大臣になって外遊が増えている。それでも回るのは効率化でより外交に集中できる環境を作っているのですね。他の省庁でも課題はどんどん複雑になり仕事は増える。ここ数年で、霞が関の至る所で若手や女性たちが中心となったワーキンググループが、危機意識をもって立ち上がっています。ぜひそのエネルギーを結集して霞が関全体の働き方が変わっていくように期待しています。ありがとうございました。

あとがき:霞が関の働き方の問題は一般企業にも通じるところがあります。国会対応(顧客との関係)においてままならない長時間労働と、自分たちで改善できる長時間労働がある。どこの職場に聞いても「XX(外部)のせいでうちの業界は無理」というのですが、外部ではなく内部にも長時間労働の要因は必ずある。そこをつぶしていこうと、大臣というトップ自らまず号令をかけているわけです。ほかの省庁でも「長時間労働をなんとかしたい」「今のままではまずい」という機運は高まっているのですが、トップの号令は大事。ぜひほかの大臣も率先して旗を振っていただきたいですね。

白河桃子
少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「『婚活』時代」(共著)、「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)。

(ライター 宮本恵理子)

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