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料理ごとに合わせ新しい魅力 広がる日本酒ペアリング

世界で急増!日本酒LOVE(7)

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NIKKEI STYLE

酒と料理のペアリングを楽しめる店が増えている。日本酒とのペアリングの店「赤星とくまがい」(東京・麻布十番)は外国人客にも喜ばれる提案をする店として有名だ。米ニューヨーク帰りの2人、酒ソムリエを務める赤星慶太氏とシェフの熊谷道弘氏がタッグを組んだ日本酒バーの魅力を紹介する。

「外国人にワインと同じ感覚で日本酒を楽しんでもらうには、酸を中心とした説明をしながらペアリング提案することが大事だと思います」と話す赤星氏。1998年から約18年間、ワイン文化の定着しているニューヨークで日本酒を売る仕事をしていた。その経験から、従来の外国人への日本酒の勧め方、つまり大吟醸酒・純米酒といったカテゴリー分けや、「獺祭」や「新政」など外国人に人気の特定銘柄だけを訴求していては、「日本酒の価値をなかなか理解してもらえない、本当の日本酒ファンは増やせない」と考えているからだ。

「酸とは飲んだ後のキレのこと。後味の余韻のこと」と赤星氏。ワインを味わう文化が根付いている欧米では、酸をベースにその味のタイプを理解する。だから赤星氏は現在も「温めるとおいしいコハク酸と乳酸、冷やすとおいしいりんご酸とクエン酸…」と酸の種類や特徴を常に意識して提供している。

だから同店では、デザートにあえて辛口の日本酒を合わせることもある。キレのいい辛口と合わせる意外性や驚きで、「こんなペアリングもあるの?」と衝撃を与えるのだ。その絶妙なペアリングに外国人客を始め、日本人客も感動するという。

現在、客の半分は外国人。ニューヨーク時代に出会った食通の米国人が来日する際に立ち寄るほか、その紹介でくる米国人客などが多い。最近ではメディアに取り上げられたこともあり、30~40代の日本人女性客にも人気だ。女性客は全体の6割ほど。通りすがりの客ではなく、「ペアリングを楽しみたい」とはっきり目的を持つ客が多いという。

料理はコース1種のみ。バーとは言え、しっかり食事を楽しめる。月替わりの「赤星の日本酒ペアリング」(コース8品、ペアリング込みで1万3000円、税別)はイタリアンをメインに和・洋・中とジャンルを超えた料理で、赤星氏が皿ごとにペアリングを提案する。アルコールの強さや好みにもよるが、料理に合わせて8種前後の日本酒を少量ずつペアリングする。途中で必ずぬる燗(かん)や熱燗も提供するので、様々な日本酒とのペアリングを発見できる。そのスタイルが外国人客にも大好評なのだ。

「海外では1皿に1酒をペアリングしてじっくり味の取り合わせを堪能するのが普通です」と赤星氏は話す。日本では魚料理なら何となく白ワイン、という人が多いが、ニューヨークでは高級店でなくても1皿に1酒のペアリングが楽しめるのが一般的なのだ。

「赤星とくまがい」ではビールやワインも取り扱うが、もちろんメインは日本酒で、その数は450種。吟醸酒は香りが飛びやすいので3日以内に売りきる方針で、やや少なめにそろえる。逆に料理に合わせやすく、開封してからも熟成を楽しめる純米酒や生酛(きもと)・山廃仕込みといった酒などを種類豊富にラインアップする。

「酒を生かすも殺すもペアリング次第。初めて日本酒を飲んで、まずいと思ったお客さまは一生、日本酒を飲まなくなることもあるでしょう。ペアリングはお客さまの価値観を大きく変えるもので、とても重要なミッションを持っています」と真剣な表情で赤星氏は語る。

同店は「日本酒を飲み慣れない方でも楽しめるペアリング」がコンセプト。客によって酒の経験や知識が異なるので、相手に合わせながら、初心者からコアな日本酒ファンまでそれぞれが満足するようにペアリング提案している。

「日本酒のペアリングに正解・不正解はない」(赤星氏)と考えている。どんなに秀逸なペアリングでもおいしいと思わない人がいる可能性があるが、それでも大半の人が「このペアリングはすごい」と感動してくれるよう、1日1酒は試飲してオリジナルの酒カルテを作成する。酒の味や製法の特徴、合わせるべき料理のアイデアをびっしりとカルテに記入するのだ。その努力があるからこそ、客の好みに合わせて最適な提案ができるのだろう。

赤星氏が理想とするのは、酒がうまいだけでなく、料理と酒が一体化してスルスルと食が進み、気がついたら料理も酒もいつの間にかなくなってしまう、というペアリングだ。日本酒がメインで、つまみが脇役という発想ではない。

赤星氏によると、ニューヨークも東京も香りの良いタイプの酒や生酒、無ろ過を好む人が多いという。一方、米ロサンゼルスや大阪では、どっしりとした純米酒の方が好まれると話す。そしてロサンゼルスや大阪の酒の好みは5年後に、東京やニューヨークのものに近くなるのだという。

ただ日本と米国は全く違う部分もある。例えば、米国では店員も客と一緒に飲んだり、客同士がすぐ仲良くなったりするが、日本では店員は接客中にはあまり飲まず、初対面の客同士が気軽に話すことは少ない。そうした違いも理解しながら、外国人と日本人の両方に満足してもらえるよう気配りしながら接客している。

赤星氏は渡米した20年ほど前は、ほとんど英語を話せず、ジェスチャーを交えながら必死に真剣に日本酒のおいしさを伝えたという。

当時の米国は和食人気に火がついた時期で、大吟醸酒が大流行し、日本酒を飲むことが米国人のステイタスにもなっていた。しかしリーマン・ショック後、日本酒とともに高級な和食を楽しむ人が少なくなった。「サンフランシスコで日本酒イベントを開催した時、1人しか客が来ない時もありました」と赤星氏は苦い思い出を振り返る。

そんな状況でも、日本の蔵元や関係者は投げやりにならずに「これは営業じゃない、日本酒普及の啓蒙活動だ。地道に一歩ずつ、長い目で日本酒の魅力を伝えていこう」と活動を続けてきたのだ。

再び和食がブームになりつつあるが、赤星氏は「外国人にも日本人にも、日本酒のペアリングを通して日本酒に対する価値観をさらにいい方向に変えていきたい」と、地道で丁寧な取り組みを続けていくという。

(GreenCreate 国際きき酒師&きき酒師 滝口智子)

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