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北極圏のイヌイット 極夜のなかの彩りある暮らし

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

カナダ、バフィン島北部に位置するアークティック・ベイは、毎年11月の初めになると、地平線に太陽が沈み、空は紫と青に染まる。それから3カ月間、太陽は姿を消し薄闇に包まれる。極夜だ。写真家のアカシア・ジョンソン氏は、極寒の暗い冬をイヌイットと4カ月間過ごし、彼らと自然との変わりゆく関係を撮影した。

◇  ◇  ◇

ツンドラと海に囲まれたヌナブト(イヌイットの言葉で『私たちの土地』という意味)は、カナダ最大かつ最北の準州である。国内のイヌイットは、多くがこの辺境の海沿いに固まって暮らしている。

「元々は風景を撮影するプロジェクトをやるつもりだったのですが、現地へ行ってみると、想像していたのとは全く違っていました。それよりも、ここで起こっている文化の移り変わりに焦点を当てるほうが重要であると感じたのです」と、ジョンソン氏は語る。

かつての同化政策やグローバリゼーションがきっかけとなり、イヌイットは過去50年間で政治的、経済的、文化的に急速な変化を遂げてきた。これは、世界各地の先住民族が繰り返しさらされてきた現実だ。

イヌイットの中には、独立した半遊牧生活から、政府指定の居留区へ強制的に定住させられた記憶を持つ者たちもいる。そこで彼らはアイデンティティーをはく奪された。今では、そうした扱いは人権や自治権、尊厳の侵害だったとカナダ政府が認めている。

現代のイヌイットは、祖先から受け継がれてきた生活様式と、他者から押し付けられたものとが複雑に絡まり合ったなかで、進むべき道を探っている。そこから新たに生まれようとしている暮らしぶりを、ジョンソン氏は独自の視覚的アプローチで、社会問題としてではなくむしろ前向きな目でとらえたいと考えた。

「人々が北極圏に対して抱いている既成概念を払拭したいと思っています。多くの人は、北極圏と言えば白くて、平坦で、何もない場所を想像するでしょう」とジョンソン氏は語る。今回の撮影プロジェクト「Under the Same Stars」では、それとは反対に冬の真っただ中にあって生命が脈動し、色彩のある風景を写し出す。スマートフォンの人工的な明かりに照らされた10代の少女たち、ピンクに染まった空の下で獲物を探す狩人、星空の下ぼんやりと赤く色づいた雪などだ。

「長い間太陽が昇らないと、人の目は明かりに敏感になります」。昔から、暗闇は生命を寄せ付けないと考えられてきたが、実はそれを増幅させる効果がある。「月や星が、これまで思っていたよりもずっと大きく感じられました。圧倒されるような明るさなのです」

ジョンソン氏にとって最も印象的だった体験は、伝統的なアザラシ猟について行ったときのことだった。「狩りは、イヌイット文化の中核です。主な狩猟対象は海洋哺乳類で、特にこの地域ではワモンアザラシが何より重要です」

商業用のアザラシ猟はカナダで広く批判を受けているが、イヌイットの生活に欠かすことのできない狩りはそれとは大きく異なる。先住民社会は、アザラシを狩り、その肉を食べ、皮で衣服を作るという生活を遠い昔から続けてきた。恒常的な食料不安や輸入品の超インフレに直面している現代も、伝統的なアザラシ猟は命を支え続けている。

「こうした背景を私たちが認識することが重要です。この風景、海の豊かさ、海氷との関わり、それらは今も息づいていて、原始的だとか時代遅れだなどと片づけられるべきではありません。むしろ前へ向かって進んでいるんです。そこに私は魅力を感じました」

その先住民たちの暮らしは今、気候変動という脅威にさらされている。伝統的な狩りを行う人々が数十年にわたって目にしてきたことを、科学が裏付けている。北極の氷が、かつてないほどの速さで溶け出しているのだ。気温の上昇と異常気象によって、海岸浸食や永久凍土の融解も急速に進んでいる。これらの現象は、自然に頼る先住民の生活と健康に深刻な影響を与える恐れがある。

ジョンソン氏は自分の写真について、究極的にはイヌイットの適応力や柔軟な強さへ賛辞を送るものだと話す。こうした力が人々の絆を強くし、予測不能でも共に生きる未来へとヌナブトを導いて行くだろうと信じている。

次ページでも、ジョンソン氏がとらえた極夜の下で暮らすイヌイットの人の暮らしを写真で紹介しよう。

(文 Gulnaz Khan、写真 Acacia Johnson、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2017年4月25日付記事を再構成]

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