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訪日客が雪合戦に熱 各地で大会、将来は五輪種目?

2019/2/5 日経MJ

雪合戦はウインタースポーツになじみの薄いアジアの旅行客も楽しめる(1月28日、群馬県みなかみ町)=JTB提供

雪を固めた玉をぶつけ合う雪合戦。子供の遊びと思いがちだが、雪になじみの薄いアジアの旅行客を呼び込むためのスポーツイベントになりつつある。JTBは群馬県みなかみ町で訪日客向けの大会を初めて開催。北海道壮瞥(そうべつ)町では2万人以上を集める国際大会に育った。競技として国際的な知名度が高まれば、将来は五輪の正式種目になるかもしれない。

オーストラリアや北欧からの訪日客にはスキーやスノーボードが人気だ。それに対し東南アジアなど雪が降らない地域からの観光客はウインタースポーツの経験が少なく、顧客として取り込みにくい。そこでJTBは初心者でも楽しめる雪合戦に目をつけた。

「雪合戦アジアカップ」には7カ国・地域から8チームが参加した(1月28日、群馬県みなかみ町)=JTB提供

「雪合戦アジアカップ」と名付けた大会は1月28日、みなかみ町のスキー場ゲレンデで開催。中国(北京・上海)、台湾、フィリピン、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシアの計8チーム、77人が参加した。JTBの海外店舗が集客。東京からのバス代やホテルの宿泊代(1泊2日)、雪合戦の体験料などをセットにして、1人1万5千円のツアーにした。

スポーツとしての雪合戦は日本が発祥で、国際ルールも定められている。JTBの大会は簡易版のルールで実施した。7人対7人で、90個の雪玉を投げ合う。相手チーム全員に雪玉を当てるか、相手陣地のフラッグを奪ったら終了。1セット3分で、先に2セットをとった方が勝ちだ。

年齢や男女の区別なく雪で遊べるうえ、地元やほかの国・地域からの旅行客とも交流できることから参加者に好評だったという。JTBは「訪日客向けの新たな商品として継続的に展開したい」としており、来シーズンは同じみなかみ町でさらに規模を大きくして開く計画だ。

北海道壮瞥町の「昭和新山国際雪合戦」には2万人以上が来場する=実行委員会提供

ほかの地域でも、雪合戦は交流人口の拡大に役立っている。北海道壮瞥町では1989年から昭和新山のふもとで国際大会を開催している。もともと冬期に観光客が落ち込むことを防ぐ狙いがあった。いまでは観戦客や選手を含めて世界各国から2万6千人が集まる大会へと成長した。

今年2月23、24日の大会には中国のチームなども参加を予定する。昭和新山国際雪合戦実行委員会の担当者は「競技観戦はもちろん、近隣の飲食店による出店なども人気」という。会場周辺のホテルや観光施設の利用客が増えるため、町おこしにつながっているようだ。

雪合戦を本格的なスポーツとして五輪競技にしようという動きもある。一般社団法人日本雪合戦連盟(長野市)は22年の北京冬季大会での採用を目標に掲げて、普及活動に取り組んでいる。3月には、第6回となる日本雪合戦選手権大会を長野県白馬村で開く。

「スポーツ雪合戦の海外での認知度はまだまだ低い。インバウンドの機会を通じて、多くの外国人の方に面白さを知ってもらえたらうれしい」と同連盟の高橋敏樹事務局長は話す。

ウインタースポーツを楽しめない訪日客にとって、これまで冬の観光は札幌市の雪まつりや北海道網走市の流氷観光などに限られていた。気軽に体験できる雪合戦は冬の誘客策として今後広がりそうだ。

[日経MJ2019年1月28日付を再構成]

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