2019/1/30

インデックス型ファンドの値動きは、ベンチマークとなっている指数の採用銘柄(ファンドのへの組み入れ銘柄)に配当金を加えて信託報酬を差し引いた騰落率とおおむね一致する。

配当金がファンドの運用成績を押し上げ

トレーディングなどのオペレーションコストもかかるが、基準価格への影響は軽微だ。現在、日経平均採用銘柄の配当利回り2%程度、連動型ファンドの信託報酬が0.5%程度なので、配当金がファンドの運用成績を押し上げているといえる。

配当金の効果が大きいのにもかかわらず、多くのインデックス型ファンドは配当込みの日経平均でなく、「配当なし」の一般的な日経平均をベンチマークにしている。このため、インデックス型ファンドの運用成績は指数の値動きと単に同じと思われがちだ。

しかしながら、多くのインデックス型ファンドの実際の運用成績は配当込みであり、インデックス型ファンドは手数料の安さに加えて、配当込みでのパフォーマンスの良さも魅力といえよう。

少し専門的になるが、インデックス型ファンドは投資対象により様々な運用手法がとられる。日経平均型のファンドは「完全法」という運用手法が多い。完全法はベンチマーク通りの銘柄構成ウエートで運用する手法だが、日経平均は銘柄数が225と少ないため全銘柄をそろえやすい。完全法はファンドとベンチマークの銘柄が全く同じなので、連動性は高くなる。

一方、東証株価指数(TOPIX)を対象としたファンドは「準完全法」や「最適化法」という運用手法を使うケースも少なくない。TOPIX型を完全法で運用する場合、約2100銘柄を購入する必要があり、全銘柄をそろえるには相当な金額が必要になる。

信託報酬の引き下げで採算割れのファンドも

準完全法では、信用リスクの高い銘柄や指数への影響が小さい銘柄などを除いたポートフォリオを構築する。最適化法では、計量モデルを用いベンチマークとの連動性を保てるように一部の銘柄を抽出し先物取引などの活用で組み入れ比率を調整する。この方法を使うと、少額からでもポートフォリオを構築できるメリットがある。

このようにインデックス型ファンドは工夫して運用することで、信託報酬などのコストを下げている。

ただ、運用会社が金融庁の指導の下、「顧客本位の業務運営」を重視するあまりにインデックス型ファンドは信託報酬引き下げ競争が過熱し、採算割れするファンドも出てきている。

過度な信託報酬の引き下げが運用会社や販売会社の収益力を悪化させ、良い商品やサービスが提供できなくなると、結果的に投資家に不利益が生じるリスクもある。