オスカー最有力『ROMA/ローマ』 映画館は反発

日経エンタテインメント!

1月22日、第91回米アカデミー賞のノミネートが発表された。最多10部門で候補になった『ROMA/ローマ』は、動画配信サービス大手、ネットフリックスの製作映画で初めて作品賞候補になった。受賞すれば動画配信の作品として初の快挙になるが、対立が続いている映画館側からの反発も強まりそうだ。

『ROMA/ローマ』はネットフリックスで独占配信中

今回最多10部門でノミネートされたのが『ROMA/ローマ』と『女王陛下のお気に入り』の2作。過去10年間の作品賞受賞を見ると、最多ノミネート作品が4回、それに次ぐ作品が4回受賞している。その傾向から見ると、この2作が最有力候補といえる。結果は2月24日(現地時間)にロサンゼルスで開催される授賞式で発表される。

『ROMA/ローマ』は、政治的混乱に揺れる1971年、メキシコシティのローマ地区に住む中流家庭の若い家政婦と雇い主一家の日常を描く。全編スペイン語のメキシコ映画で外国語映画賞の候補にも入った。アルフォンソ・キュアロン監督が脚本・撮影も手がけ、自身の幼少期の体験を交えて5年ぶりに製作した。出演者の多くにプロではない素人を起用。若い家政婦と雇い主の子どもたちとの家族愛、白黒ながら鮮明で深みのある映像、その場にいるように四方八方から聞こえてくる自然や雑踏の音などの音響効果。そうした映画としての芸術性が高く評価されてのノミネート結果だが、もうひとつ映画業界で論議の的となっているのが、動画配信という公開形態の是非についてだ。

配信系作品が作品賞候補になるのは『ROMA/ローマ』が初めてではない。アマゾンが製作した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』が2017年に作品賞候補になっている。実はアマゾンは映画業界で受けがいい。同社は映画をまず劇場で公開し、一定期間をあけてから配信するからだ。17年のアカデミー賞授賞式では、司会者がオープニングトークで「アマゾンの作品が候補になりました。ジェフ・ベゾス社長、おめでとうございます」とわざわざコメント。その後、会場にいた社長がテレビに映し出された。アカデミー会員がアマゾンを歓迎していると読み解ける1コマだ。

国際映画祭では対応が二分

一方、ネットフリックスが作る映画は劇場公開と同時時期、もしくは公開を経ずに全世界で配信される。そのため、映画業界の中でも映画館側が同社を敵視している。

18年の国際映画祭ではネットフリックスと『ROMA/ローマ』に対する対応が分かれた。カンヌ国際映画祭では、同社の作品を全てコンペティション部門から排除。実は17年に同社の作品がコンペ部門に選出され、フランスの映画館側が反発。フランスでは「映画の動画配信は劇場公開開始から3年後」とする規定があり、ネットフリックスの配信戦略とは相いれないからだ。これをきっかけに映画祭事務局ではコンペ部門のルールを改正し、コンペ作はフランスでの劇場公開を義務付けた。このため、劇場公開が決まっていなかった同社の作品がコンペ部門に選ばれなかった。

一方、ベネチア国際映画祭では同社の作品をコンペ部門の対象に含め、『ROMA/ローマ』が金獅子賞、同じく同社作品のコーエン兄弟監督作『バスター・スクラッグスのバラード』が脚本賞を受賞した。

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