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恐竜以前の古生物、歩き方を解明 CGやロボット活用

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/2/4

ナショナルジオグラフィック日本版

ドイツで発見されたオロバテス・パブスティの化石の完全さは驚異的だ(PHOTOGRAPH BY PHIL DEGGINGER / ALAMY STOCK PHOTO)

3億年近く前の地球に、小型犬ほどの大きさの「オロバテス・パブスティ」(Orobates pabsti)という風変わりな生物がいた。ほとんどの人は初めて聞く名だと思うが、科学者の間では、爬虫類、恐竜、鳥類、哺乳類の、最後の共通祖先に近いところに位置づけられる重要な古生物として知られている。

2019年1月17日付けで学術誌『ネイチャー』に発表された研究で、この古生物が陸上をどんなふうに歩いていたかが判明、想定以上に高度な歩き方をしていたことがわかった。

オロバテスは、保存状態の良い骨格化石と足跡化石の両方がそろう一番古い生物という点でも特別だ。骨格と足跡の両方がそろっていたおかげで、研究者はコンピューター・シミュレーションとリアルなロボットを使って、この生物の歩行を蘇らせることができたのだ。

この研究は、生物の歩行という移動運動の様式が進化してきた時期と、その理由の解明を助けることになる。さらには、私たちの祖先が海から陸に進出した過程を明らかにする大きな一歩になる可能性も秘めている。

今回の研究で、現在のドイツにあたる地域を堂々と歩くオロバテスの姿は、中南米に生息するワニのカイマン(アメリカ大陸に生息するアリゲーター科のワニ)に似ていたと推定された。ドイツ、フンボルト大学の進化生物学者で、今回の論文の筆頭著者であるジョン・ニャカトゥラ氏は、意外な結論だったと話す。というのも、この時代の古生物はサンショウウオのように、足を外側に伸ばして腹を地面にするような姿勢で歩いていたと、これまで考えられていたからだ。

カイマンはというと、体をぐっと持ち上げ、地面から腹部を浮かして歩行する。これはより高度な歩き方で、科学者の多くはオロバテスよりも後の時代、有羊膜類(胚が羊膜をもつグループ、爬虫類や哺乳類を含む)が繁栄し始めて初めて登場した歩行法と考えていた。

■足跡と骨格モデルでオロバテスの歩行を調べる

では、今回の研究ではどのように、オロバテスの歩き方を解明したのだろうか? 研究者は、まずオロバテスの骨格の三次元モデルをコンピューター上に作成。次に、実際のオロバテスの足跡の化石に合わせて、様々な歩き方をしたときにオロバテスの体に何が起きるのかをコンピューター・シミュレーションで調べた。

論文の共著者で、スイス連邦工科大学ローザンヌ校のバイオロボティクス研究者であるカミロ・メロ氏は、オロバテスの足跡に合わせて歩けそうな現生の動物はたくさんいるが、細かく見ると歩き方が違っていると説明する。例えば、トカゲは全身を低くして歩行するし、イグアナは前半身を高くした状態で歩く。

512回のシミュレーションを重ねた結果、解剖学的に不可能な歩行もいくつかあることも判明した。ニャカトゥラ氏によると、オロバテスにそうした歩き方を当てはめると、骨どうしが当たったり、手首の関節が折れてしまったりしたという。

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