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『FACTFULNESS』著者に聞く 世界を正しく見る習慣 アンナ・ロスリング・ロンランド氏×堀正岳氏(上)

2019/1/31

アンナ・ロスリング・ロンランド氏

「思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る」。そんなものの見方を提唱し、2018年、欧米で大ベストセラーになった『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』の日本語版が日経BP社から刊行された。日本語版も発売10日で15万部を超えるヒットとなっている。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏やオバマ前米大統領が激賞したという本がどのように生まれ、どこが読みどころなのか。研究者・作家の堀正岳氏による背景の解説と、共著者の一人、アンナ・ロスリング・ロンランド氏との対談を2回に分けてお届けする。

◇  ◇  ◇

皆さんはハンス・ロスリング氏をご存じでしょうか? 医師であり、公衆衛生学者のハンスが有名になったのは「魔法の洗濯機」のTEDトーク(Technology Entertainment Designが開く世界的カンファレンスでのプレゼンテーション)がきっかけでした。70億人以上の世界人口のうち、洗濯機を使って衣類を洗えるのは何割の人々なのか? このまま世界の人口が増え、エネルギーの使用が増えた場合に世界はどうなるのか? といった疑問に対して、わかりやすい図で説明した魅力的な講演です。

環境意識の高い人が「世界中の人々が洗濯機を使うほど経済発展をしたらエネルギーが足りなくなり、温暖化が止められなくなる」と危機感を抱きがちなのに対して、ハンスは「エネルギーのほとんどは先進国の一握りの人間が消費している」ことを痛烈に指摘した上で、実は省エネ技術を含む経済発展こそが問題解決の鍵なのだと、鮮やかに聴衆の先入観をひっくり返してしまいます。講演の最後のメッセージは涙さえ誘う感動的なもので、名プレゼンテーションとして広く知られています。

既に15万部を超えた『FACTFULNESS』(日経BP社)

思い込みや偏見を排除して「ファクト」を素直な目で見れば、世界はまったく別の姿を見せてくれる。そんなハンス・ロスリングの哲学が凝縮したのが本書『FACTFULNESS』です。データを見る時に私たちが陥りがちな落とし穴を10個の本能に分けて説明する実践的な本でありながら、ハンスの半生の体験や逸話が魅力的で、読む人を飽きさせません。

全世界で100万部を超えるベストセラーとなっている『FACTFULNESS』ですが、本書はハンスの息子であり統計学者のオーラ・ロスリング氏(TEDのプレゼンテーションでも使用された美しいアニメーションを作成)と、その妻でデザイナーのアンナ・ロスリング・ロンランド氏との共同プロジェクトでもありました。2017年にハンスが亡くなったのち、2人は彼の遺志を継いで本書を完成させました。

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