携帯はすべてスマホに 平成後半を席巻した名機たち携帯・スマホ30年史(下)

カメラ進化の方向性を決定づけた「HUAWEI P9」

平成の末期を迎え、急速にスマホ市場で人気を高めているのが中国のメーカーだ。中国メーカーは低価格を武器として販売シェアを伸ばしつつ、そこで得た利益を研究開発に積極投資することで魅力的なハイエンドモデルを開発できる体制を整え、競争力を高めているのだ。

その中国メーカーの進化を強く印象付けたのが、2016年にファーウェイがSIMフリースマホとして投入した「HUAWEI P9」である。最大の特徴は老舗カメラメーカーのライカと共同開発したデュアルカメラ機構で、カラーとモノクロの2つのカメラを組み合わせて、一眼レフのようなボケ味のある美しい写真を簡単に撮影できることが、大きな驚きをもたらした。現在、スマホに2つ以上のカメラが搭載される「複眼化」が進んでいるが、P9のヒットが大きく影響したといえる。

ファーウェイ、ひいては中国メーカーの印象を大きく変えるきっかけとなった「HUAWEI P9」。日本のSIMフリー市場でも人気を博している
背面にライカと共同開発したカメラを2つ搭載し、ボケ味のある写真を簡単に撮影できる。スマホに複眼カメラを搭載するムーブメントをつくり出した端末でもあるのだ

それまで中国メーカーのスマホといえば、低価格だが質が悪いという印象が強く、ファーウェイも国内携帯電話大手からの支持をなかなか得られなかった。だがP9の登場以降その評価は大きく変化し、2018年には大手3社にスマホを提供。国内市場でも躍進を遂げている。

ちなみに平成初期の携帯電話販売シェアでは、無線技術に強みを持つ米モトローラが高いシェアを獲得していた。だがそのモトローラの携帯電話端末部門であるモトローラ・モビリティは、2014年に中国企業のレノボに買収される一方、2018年の第2四半期には、複数の調査でファーウェイがスマホの販売シェア2位を獲得するに至っている(1位は韓国サムスン電子)。

そうした推移を見ても、30年のうちに、いかに携帯電話市場が劇的に変化したかというのが理解できるのではないだろうか。

現在のスマホトレンドの象徴「iPhone X」

約10年にわたって多くのスマホが投入されてきたが、日本で最も人気が高いスマホであり、現在もなお、トレンドをけん引する存在として注目されているのはやはりiPhoneだ。その中でも、現在のトレンドを作り上げたモデルが「iPhone X」だ。

日本未発売の初代iPhoneの発売から10周年を記念したモデルとして登場した「iPhone X」。ホームボタンをなくすなど大胆な方向性の転換がなされている
ディスプレーからフロントカメラなどのセンサー部分を切り欠いた「ノッチ」は注目されたポイントの1つ。iPhone Xの登場以降、多くの機種がノッチのあるデザインを取り入れるようになった

iPhone Xは2017年に登場し、ディスプレーに発色の豊かな有機ELを採用し、さらに従来のiPhoneの象徴的存在であったホームボタンをなくすなど、大幅なモデルチェンジを行った。中でも顔認証システム「Face ID」はひときわ注目を集めたが、それとともにiPhone Xに導入され、その後のトレンドとなった要素がいくつかある。

一つは「AI」だ。iPhone Xは機械学習処理を高速にこなす仕組みを備えた「A11 Bionic」というチップセットを搭載し、それを活用することでFace IDでは日々の顔の変化を覚えて認識するという高度な仕組みを実現した。それ以後多くのスマホがAI機能を活用するようになり、今やスマホの進化にAIは欠かせないものとなっている。

そしてもう一つは「ノッチ」だ。iPhone XにはFace IDの実現のため本体前面にカメラや多くのセンサーを搭載しているが、ディスプレー占有率を高めるため、ディスプレーからセンサー部分を切り欠いた、ノッチのあるデザインを採用した。そのデザインを他のスマホメーカーが追随して採用したことで、ノッチのあるデザインが現在のスマホのトレンドとなっている訳だ。

最近では販売の不調が伝えられているiPhoneだが、スマホのトレンドをけん引する存在として、今もなお大きな注目を集めるのは確かだ。元号が変わった後もiPhoneがけん引役となるのか、それとも他のメーカーが台頭することになるのか、次の世代の変化を見守りたい。

佐野正弘
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。
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