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デジタル・フラッシュ

携帯はすべてスマホに 平成後半を席巻した名機たち 携帯・スマホ30年史(下)

2019/1/31

携帯電話の平成史をひもとくこの連載の後編では、いよいよスマートフォン(スマホ)の歴史を振り返る。「佐野正弘のモバイル最前線」を連載している佐野氏が、自ら購入した端末を中心にスマホの礎を築いた端末や、市場の変化を象徴する端末を紹介する。

■真のスマホ市場の開拓者「W-ZERO3」

日本におけるスマホの歴史は、iPhoneから始まったものと思っている人が多いことだろう。だがiPhoneの発売の約3年半前となる2004年12月、日本でスマホの市場を切り開いた企業があった。それは当時、KDDIから独立したばかりのPHS事業者であるウィルコム(現在はソフトバンクのワイモバイルブランド)で、同社が投入したシャープ製の「W-ZERO3」こそが、日本でスマホ市場を確立した最初の端末だったのだ。

iPhoneより前にスマホ市場開拓に挑戦していた「W-ZERO3」。モバイル機器向けのWindows「Windows Mobile」を搭載し、タッチ操作が取り入れられている
PDAなどを意識してか、タッチパネルだけでなくスライドするとキーボードが現れる機構を備え、文字入力がしやすい仕組みを整えていたのも特徴だ

当時、既に海外ではパソコンと携帯電話の機能を兼ね備えた「smartphone」と呼ばれる端末がいくつか登場していた。だが日本ではiモードなど携帯電話によるインターネットサービスが広く普及していたのに加え、パソコンと同様にアプリが利用できるようになると、意図しない大容量通信が発生する可能性があるとして、携帯電話事業者は導入に消極的だったのだ。

しかしながらウィルコムは、データ定額をいち早く実現し、パソコン向けのデータ通信サービスにも力を入れるなど、大容量通信を売りとしていた。そこで、他社が消極的だったスマホに果敢に挑戦したのである。その結果、W-ZERO3はスマホを待望していたビジネスパーソンらの関心を一点に集め、量販店には予約のために行列ができるほどの人気を獲得したのだ。

初代W-ZERO3は大きなディスプレーとスライドするキーボードを搭載するなど、携帯情報端末(PDA)に近い形状を採用していた。だが後継機ではより多くの人に利用してもらうべく、小型化され携帯電話のサイズに近づいていった。そしてW-ZERO3シリーズはウィルコムが経営破綻する2010年まで5機種が継続的に投入されており、同社を象徴する端末の一つとなったのである。

■爆発的なブームをもたらした「iPhone 3G」

W-ZERO3以降も国内ではいくつかのスマホが投入されていたのだが、本格的なスマホ時代の幕開けをもたらしたのは、やはりアップルの「iPhone」シリーズだった。全面がディスプレーでタッチによる操作を取り入れるなど、従来の携帯電話とは全く異なる画期的なインターフェースが注目されたiPhoneだが、通信方式の問題から、日本市場に投入されたのは2代目の「iPhone 3G」からとなる。

日本で初めて販売されたiPhoneとなる「iPhone 3G」。3.5インチディスプレーを搭載した現在ではコンパクトなモデルだが、当時はその大画面ぶりが注目されていた
背面にはもちろんアップルのロゴも用意。タッチパネルとカメラというスマホの基本スタイルを作り上げたという意味でも、iPhoneがもたらした影響は大きい

初代iPhoneの発表から日本でのiPhone 3G発売まで約1年かかったことから、日本におけるファンの期待は大きく膨らんでいた。その膨らんだ期待が爆発する形で、2008年7月11日の発売日には、独占販売だったソフトバンクモバイル(現在のソフトバンク)のショップや量販店に1000人規模の大行列ができ、ブームになったのである。

だが発売当初のiPhone 3Gは、当時の他の携帯電話に比べて端末価格が高かったし、音楽を入れるためにはパソコンに接続する必要があった。また、文章のコピー・ペーストができないなど、機能的にはかなり粗削りな部分があった。iPhoneに関心を寄せていたファンが端末を一通り手に入れたところで、販売の伸びはぱたりと止まってしまい、ブームは長続きしなかったのである。

iPhoneの販売が再び伸びるきっかけとなったのは、翌2009年にソフトバンクモバイルが実施した「iPhone for everybodyキャンペーン」で、最も安いモデルが実質0円で購入できるようになったこと。端末価格が安くなりiPhoneを購入しやすくなったことが、後に日本を「iPhone大国」にする要因となったのである。

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