ライトライトは本当にペンの先端が光るから余分な影ができず、光量も十分過ぎるほど明るい。この小さな部分に、これだけの明るさのライトが仕込めることに時代の進歩を感じる。そんな製品が500円で買えてしまうのだ。

光らせるためのボタンを用意せず、ノックボタンだけでオンオフできる構造は、現場での利用をよく考えて作られたからだろう。光量も十分

さらにすごいのは、見た目も使い心地も普通に書きやすい油性ボールペンだということ。本当に何の違和感もなく、ボールペンとして使える。ノックボタンを1回押すと芯が出て、もう一回押すと引っ込む。さらにもう一回押すと芯が出てライトがつき、もう一回押すと芯が引っ込みライトも消える。特別な操作なしで使える操作性はよく考えられている。ライトがついている時は必ず書けるし、ライトが消えている時は芯は必ず引っ込んでいるのだ。

ライトライトは「暗いところで書けるペンがほしい」という運送会社で働く人の希望で開発が始まった製品なのだが、考えてみると、建築現場、看護師、取材記者など。暗いところで書く必要がある職業は意外に多い。夜中に思いついたことをすぐにメモしたいという人にも光るペンは役立つだろう。

女性を意識して開発

最後にもう一つ、未来を見据えたボールペン、ゼブラの「ブレン」も紹介しておきたい。

ゼブラ「ブレン」。150円。一般事務用ボールペンの領域に、女性向きのデザインを投入した

これまでのボールペンは男性中心のビジネスの現場向きにデザインされていた。しかしブレンは働く女性向きにデザインした製品だ。現在、ボールペンを仕事で使っているユーザー数は、実は女性の方が多い。それなら女性が手に取りやすいデザインのボールペンを150円の価格帯で出す意味は大きいのではないだろうか。

ブレンは、ノック式ボールペンの宿命ともいえる、筆圧を掛けると微妙にペン先がブレる問題も、振動を制御する新機構で解決。サラサラと書けるエマルジョンインクと組み合わせることで、カッチリとソリッドな書き心地を実現している。先を見た未来志向の製品だけに、すぐに売れるというものではないかもしれないが、一度は試す価値があるボールペンといえるだろう。

ノック式ながら、ペン先の微妙なブレがなく、ストレスなくカッチリとした書き味が味わえる

このように、ざっと見ただけでも、筆記具はかなり進化している。万年筆でも、ペン先を少しインクにつけるだけでインク吸入ができるプラチナ万年筆の「プロシオン」のような、確実に新しい時代を見据えた製品が登場している(記事「万年筆にカッター 2018は文具バージョンアップの年」参照)。地味ながらも少しずつ確実に、筆記具も時代とともに歩んでいるのだ。

納富廉邦
 佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人のカバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。

連載 ステーショナリー進化形バックナンバー(筆記具)
消耗品から「高級実用品」へ ボールペン、進化の秘密
最新「多機能」ペン 価格、替え芯で製品の幅広がる
仕事の筆記具変えた、本当に芯が折れないシャープペン

(写真 渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)