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ボールペンでハライ・女性用… 筆記具知られざる進化

納富廉邦のステーショナリー進化形

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NIKKEI STYLE

スマートフォンやAV機器のように次々と新機能を搭載した製品が出てくるジャンルと異なり、筆記具は大きな進化が見えにくい分野だ。しかし、長年筆記具を見続けている納富廉邦氏は「進歩を遂げている製品も確実に登場している」という。意外な進化を遂げていた筆記具を紹介する。

◇  ◇  ◇

文房具や筆記具は、電化製品やデジタル製品と違って、そうそう新しいものが出てくる業界ではない。筆記具の新製品は基本的に、軸の色の新色が出るとか、グリップの素材が変わるといったあたりが定番で、キャップ式がノック式になるだけでも「すごく新しい製品が登場した」と考えられるようなジャンルなのだ。

だから、三菱鉛筆の「ジェットストリーム」とパイロットの「フリクションボール」は、近年でもまれな、とても大きな筆記具の進化だった。重い書き味が当たり前だった油性ボールペンが、まるで水性ボールペンのようにサラサラ書けるようになるなんて、ほとんどの人は想像もしていなかったし、書いた文字が擦るだけでキレイに消せるボールペンの登場は、本当に衝撃的だった。

そこまで大きな進化は、それこそ何十年に一度の話なのだけど、ここ数年、日本の筆記具は本当に使いやすくなった。ジェットストリーム以降、油性ボールペンはサラサラ書けるのが当たり前になったし、150円のボールペンが個体差なく、インクが詰まらず快適に書けるのが当たり前、という状況だけでも、20年前と比べたら、格段の進歩といえる。

筆ぺんも使いやすくなっていた

例えば呉竹の「くれ竹美文字 完美王」という筆ぺんがある。

筆ぺんは通常、本体軸が柔らかくなっていて、そこを押すことで筆先へ墨インクを送る仕組みになっている。そうやって墨インクの量を調整することで、「筆を墨につけて書く」という実際の感覚をシミュレートしているのだ。しかし、本体軸を押して墨インクを供給するという作業は慣れていないとなかなか難しい。

「完美王」では墨インクの量のコントロールを自動的に行うことで、誰が書いても安定して筆先に墨インクが送られる構造になっている。この方式なら、筆の先を持たなくても書けるので、絵筆のような使い方もできる。この進化も、筆記具として相当大きな変化だったと言えるだろう。

線の太さが変えられるボールペン

2015年に発売された三菱鉛筆の水性ボールペン「ユニボール エア」もボールペンの常識を変えた製品だ。

 ボールペンにもかかわらず、筆圧やペンの角度によって、線の太さが変えられる。これにより、従来のボールペンではできなかった、トメハネハライといった、日本語の文字の表現が可能になった。

さらにペン先が柔らかい素材でできていて、書き続けていると削れてくるのだが、書く人の書き癖に合わせて削れるため、書くほどに手になじんだ書き味になっていく。

そのソフトな書き味や、軽く書いてもクッキリとした文字が書ける性能は、他のボールペンにはなかったもの。その使い勝手や書き味が斬新過ぎて、今はまだ「いまだ知る人ぞ知るボールペン」といった位置付けなのだけれど、それだけ新しい筆記具だということでもある。

早く乾き、紙も選ばず

新しい筆記具という点で忘れてはいけないのが、ゼブラの「サラサ」シリーズだ。ベースとなるのはゲルインクボールペンの「サラサクリップ」だが、そこから派生して、様々な「書く」シチュエーションに合わせた製品を投入している。

例えば「サラサドライ」は、名前の通り、速乾性のサラサだ。

ゲルインクは乾くのが遅いインクではないけれど、それでも書いた直後に指で擦ると流れるし、ツルツルした紙に書くと乾きが遅かったりはした。それを解決するインクを開発して搭載したのが「サラサドライ」なのだ。これが、本当に速く乾く。さらに、ツルツルした紙でも素早く乾くようにしたことから、カラーコピー用紙など、ボールペンのインクの乗りが良くなかった紙でさえ、「サラサドライ」だとクッキリとキレイに書ける。つまり、速乾性でありつつ、書く紙を選ばない筆記具になっているわけだ。

一方、「サラサスタディ」は、インクが入ったリフィルに残量が分かる目盛りが付いている製品。目盛りを見ればどのくらい書いたか、つまりどのくらい勉強したかが分かるボールペンなのだ。

記事「万年筆にカッター 2018は文具バージョンアップの年」で紹介した、「サラサマークオン」もバリエーションの一つ。書いた文字の上から蛍光ペンでなぞってもインクがにじまないというゲルインクボールペンだが、にじまないのはすばやく乾くからではなく、紙への固着性と耐水性を高めたインクを使っているからだ。そんなところまで、「書く」というシチュエーションを想定して製品作りをするメーカーに対して、感動すら覚える。

暗いところでも書ける

個人的に2018年に出た筆記具のナンバーワンではないかと考えているほど気に入っているのが、ゼブラの「ライトライト」だ。ペン先が光ることで暗い中でも筆記ができる油性ボールペンなのだ。

こういう筆記具は昔からあるにはあったのだが、しかしLED以前の時代は実用的とは言いがたかった。豆電球が使われていたので光も暗く、ペン先というよりはペンの真ん中あたりにライトがついており紙まで光が届かなかった。さらに特殊用途の筆記具だったため、価格も高かった。

ライトライトは本当にペンの先端が光るから余分な影ができず、光量も十分過ぎるほど明るい。この小さな部分に、これだけの明るさのライトが仕込めることに時代の進歩を感じる。そんな製品が500円で買えてしまうのだ。

さらにすごいのは、見た目も使い心地も普通に書きやすい油性ボールペンだということ。本当に何の違和感もなく、ボールペンとして使える。ノックボタンを1回押すと芯が出て、もう一回押すと引っ込む。さらにもう一回押すと芯が出てライトがつき、もう一回押すと芯が引っ込みライトも消える。特別な操作なしで使える操作性はよく考えられている。ライトがついている時は必ず書けるし、ライトが消えている時は芯は必ず引っ込んでいるのだ。

ライトライトは「暗いところで書けるペンがほしい」という運送会社で働く人の希望で開発が始まった製品なのだが、考えてみると、建築現場、看護師、取材記者など。暗いところで書く必要がある職業は意外に多い。夜中に思いついたことをすぐにメモしたいという人にも光るペンは役立つだろう。

女性を意識して開発

最後にもう一つ、未来を見据えたボールペン、ゼブラの「ブレン」も紹介しておきたい。

これまでのボールペンは男性中心のビジネスの現場向きにデザインされていた。しかしブレンは働く女性向きにデザインした製品だ。現在、ボールペンを仕事で使っているユーザー数は、実は女性の方が多い。それなら女性が手に取りやすいデザインのボールペンを150円の価格帯で出す意味は大きいのではないだろうか。

ブレンは、ノック式ボールペンの宿命ともいえる、筆圧を掛けると微妙にペン先がブレる問題も、振動を制御する新機構で解決。サラサラと書けるエマルジョンインクと組み合わせることで、カッチリとソリッドな書き心地を実現している。先を見た未来志向の製品だけに、すぐに売れるというものではないかもしれないが、一度は試す価値があるボールペンといえるだろう。

このように、ざっと見ただけでも、筆記具はかなり進化している。万年筆でも、ペン先を少しインクにつけるだけでインク吸入ができるプラチナ万年筆の「プロシオン」のような、確実に新しい時代を見据えた製品が登場している(記事「万年筆にカッター 2018は文具バージョンアップの年」参照)。地味ながらも少しずつ確実に、筆記具も時代とともに歩んでいるのだ。

納富廉邦
 佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人のカバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。

連載 ステーショナリー進化形バックナンバー(筆記具)
消耗品から「高級実用品」へ ボールペン、進化の秘密
最新「多機能」ペン 価格、替え芯で製品の幅広がる
仕事の筆記具変えた、本当に芯が折れないシャープペン

(写真 渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)

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