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何がパワハラか悩む管理職 企業に防止策義務付けへ

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NIKKEI STYLE

上司からの過剰な要求や執拗な叱責といったパワーハラスメント(パワハラ)について厚生労働省が対策強化に乗り出します。企業にパワハラ防止を義務付ける労働施策総合推進改正法を2019年の通常国会に提出予定です。これまでパワハラを直接規制する法制度はありませんでした。成立すれば職場環境の改善に一歩前進します。

「上司に殴られたり暴言を言われたりする」「社長に『売り上げのない人間はいらない』『古い人間はできが悪い』と言われる」。連合が主催する「なんでも労働相談ダイヤル」に18年中に寄せられたパワハラ相談の一部です。18年に受け付けた全相談約1万5千件のうち、「パワハラ・嫌がらせ」は約15%を占め、相談内容で最も多かったといいます。

パワハラは働く人の尊厳を傷つけるだけでなく、企業にとっても経営課題として見過ごせません。職場の雰囲気が悪化したり被害者が退職したりしては経営上の損失になります。21世紀職業財団は厚生労働省の委託を受け、企業向けパワハラ対策セミナーを全国で開いています。「18年度は約60回開催し、いずれも申し込みは定員超過。企業の関心が急速に高まっている」(同財団)

難しいのはどんな言動がパワハラに当たるのかという判断基準です。暴力は明らかに許されませんが、職場での怠慢をきつく叱ってもパワハラなのか? 業務上の指導との線引きが明確ではありません。パワハラを過剰に恐れて管理職が指導を控えては業務に差し障ります。

厚労省の審議会は昨年12月にパワハラとは(1)優越な関係に基づき(2)業務上必要かつ相当の範囲を超えた言動により(3)身体的もしくは精神的な苦痛を与えること――と定義しました。法制化に向けて、厚労省はより分かりやすい具体例を今後指針にまとめます。指針では「適正な範囲内の指導」はパワハラに当たらないと明記する意向です。

ただ、文言による説明は限界があります。21世紀職業財団の客員講師、吉田仁氏は「あれもダメ、これもダメとしゃくし定規にとらえてはマネジメントはできない。自分がやられたり言われたりして嫌な言動をしないことが基本」と話します。

管理職の多くは仕事上の成功体験を持っていて、それが仕事をやり遂げる自信の源にもなっています。吉田氏は「管理職は『自分ができたのだから、部下もできる、できないのはおかしい』といった発想に陥りがち。それが過剰な指導につながる一因でもある。自分の価値観を押しつけず、部下一人ひとりに寄り添う姿勢がパワハラ防止に欠かせません」と助言します。

吉田仁・21世紀職業財団客員講師「想像力を働かせる」

21世紀職業財団は、厚生労働省の委託事業を含めて年間900回程度もパワーハラスメントに関するセミナー・企業内研修を開いています。社会保険労務士でもあり、ハラスメント関連の講師を多数務める同財団客員講師の吉田仁氏に管理職の心得を聞きました。

――企業が一番関心を持っていることはなんですか?

「どんな言動は許されないのか。パワーハラスメントの具体的な基準・定義を人事担当者や管理職は知りたがります。ただこれが難しい。適正な範囲を超えた指導はいけないと言われても、適正の範囲を言葉で漏れなく説明はできません。そもそも何が適正なのかは、業種や職種、企業文化、時代によっても異なり、すべての企業に共通する統一基準は示せません」

「例えば危険が伴う建設現場でヘルメットも着用せずに立ち入ろうとした部下を上司が咄嗟(とっさ)に『バカヤロー、危ないだろ。ヘルメットをかぶれ』と怒鳴ったとします。身を危険にさらす確率が高い場面であれば、言葉がきつくとも適正な指導に当たるでしょう。でも同じ上司と部下の組み合わせでも、差し迫った危険もないオフィスの会議室で『バカヤロー』と大声を張り上げたらアウトです」

「部下に過重な業務を課す行為もパワハラに値しますが、どこからが過重なのかを数字で示すことは不可能です。例えば営業ノルマで考えてみましょう。右肩上がりで急成長している業界ならば前年比2割増のノルマを課しても過重とはいえないかもしれません。でも市場全体が縮小している業界で2割増の販売を部下に求めるのは無理なノルマです」

「今後、国は法制化に向けてパワハラの定義を指針などで明確にしていく方針ですが、どこまでセーフでどこからがアウトなのかを、言葉で説明し尽くせません。企業や管理職はパワハラと適正な指導の境界線を知りたがりますが、残念ながら、これから先も明確な線引きはできないと考えておくべきです」

――だけど線引きがないと管理職は怖くて指導もできません。

「適正の範囲は業種や職種、企業文化によって異なります。理想は各企業が、自分たちの業種特性や職場環境・風土を考慮し、どこまでが適正なのかを独自ガイドラインにまとめることです。このとき一方的に会社側が示してはいけません。社員と丁寧に対話し、互いに納得できるガイドラインをまとめるといいでしょう」

「好ましくないのは社外から行動べからず集を持ってきて『これはいかん』『あれは許されない』などを管理職にそのまま求めること。先述した『バカヤロー』ではないですが、同じ言動であっても時と場合によってパワハラか否かの判断は分かれます。やってはいけない行為を羅列するだけでは管理職は萎縮し、十分な指導ができなくなる恐れもあります」

――とはいえ独自にガイドラインを作る企業は多くなさそうです。

「目の前の部下を叱ったり、業務命令を出したりする前に想像力を働かせてみるように研修では勧めています。これから発しようとする言葉を、自分の子どもやパートナーが勤務先の上司から浴びている場面を想像してみてください。あなた自身は納得して見ていられるでしょうか。不快に思うようでしたら、その言動はパワハラに当たる可能性大です。目の前の部下を社長の子どもだと想像してみるのも有効です。パワハラ行為は職場内の上下関係に基づき、相手が弱い立場だからこそしてしまう行為です。社長の子どもであっても、同じようにためらわずに叱ったり、指示できたりすれば問題ないでしょう」

「パワハラが職場で広がる背景には人材の多様化もあります。かつての日本企業は仕事の価値観を共有する一枚岩の組織でした。そうした組織であれば『仕事はこう進めるべき、こう取り組むべきだ』といった"べき論"で指導しても上司と部下の間で軋轢(あつれき)は生じにくかったはずです。でも今は1つの職場に様々な人が働いています。正社員と非正規社員では会社への帰属意識も違うでしょうし、正社員という立場が同じでも仕事を最優先にできる社員もいれば、子育てや介護などの事情を抱えて家庭を重視せざるを得ない社員もいます。"べき論"で指導しようとすれば価値観の衝突が起きて当然です。価値観の相違が生じた場面で、上下関係を盾に力で押さえ込もうとしたときにパワハラは起きやすくなります」

「パワハラは許されない行為ですが、どんなに気を付けていても上司と部下の絶対的な関係の下で部下を傷つけたり不快にさせたりする言動は起きてしまいます。その場では気付かなかったとしても、後で『言い過ぎた』『やり過ぎた』と思ったら、素直に謝る姿勢も管理職には大切です。パワハラは指示内容が正しかったのか間違っていたのかという問題ではありません。指示内容が正しければ上司は部下に謝るのを避けてしまいがちです。でもパワハラを受けた部下は仕事へのモチベーションが下がり、管理職との信頼関係も壊します。それがひいては職場全体の生産性低下につながります。管理職は、部下が気持ちよく働き、成果を上げる環境を整える責任があることを忘れてはいけません」

(編集委員 石塚由紀夫)

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