何がパワハラか悩む管理職 企業に防止策義務付けへ

21世紀職業財団が1月に開いたパワハラ研修に企業の人事担当者らが多数参加した(東京・文京)
21世紀職業財団が1月に開いたパワハラ研修に企業の人事担当者らが多数参加した(東京・文京)

上司からの過剰な要求や執拗な叱責といったパワーハラスメント(パワハラ)について厚生労働省が対策強化に乗り出します。企業にパワハラ防止を義務付ける労働施策総合推進改正法を2019年の通常国会に提出予定です。これまでパワハラを直接規制する法制度はありませんでした。成立すれば職場環境の改善に一歩前進します。

「上司に殴られたり暴言を言われたりする」「社長に『売り上げのない人間はいらない』『古い人間はできが悪い』と言われる」。連合が主催する「なんでも労働相談ダイヤル」に18年中に寄せられたパワハラ相談の一部です。18年に受け付けた全相談約1万5千件のうち、「パワハラ・嫌がらせ」は約15%を占め、相談内容で最も多かったといいます。

パワハラは働く人の尊厳を傷つけるだけでなく、企業にとっても経営課題として見過ごせません。職場の雰囲気が悪化したり被害者が退職したりしては経営上の損失になります。21世紀職業財団は厚生労働省の委託を受け、企業向けパワハラ対策セミナーを全国で開いています。「18年度は約60回開催し、いずれも申し込みは定員超過。企業の関心が急速に高まっている」(同財団)

難しいのはどんな言動がパワハラに当たるのかという判断基準です。暴力は明らかに許されませんが、職場での怠慢をきつく叱ってもパワハラなのか? 業務上の指導との線引きが明確ではありません。パワハラを過剰に恐れて管理職が指導を控えては業務に差し障ります。

厚労省の審議会は昨年12月にパワハラとは(1)優越な関係に基づき(2)業務上必要かつ相当の範囲を超えた言動により(3)身体的もしくは精神的な苦痛を与えること――と定義しました。法制化に向けて、厚労省はより分かりやすい具体例を今後指針にまとめます。指針では「適正な範囲内の指導」はパワハラに当たらないと明記する意向です。

ただ、文言による説明は限界があります。21世紀職業財団の客員講師、吉田仁氏は「あれもダメ、これもダメとしゃくし定規にとらえてはマネジメントはできない。自分がやられたり言われたりして嫌な言動をしないことが基本」と話します。

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