AI空気清浄に床拭きロボ… 花粉対策家電はこう使え
白物家電 意外に知らない基礎知識
そろそろ花粉が気になり始める季節。花粉問題を解決するとうたう家電も多いが、家電コーディネーターの戸井田園子さんは「1つの家電ですませようと考えず、複数の家電を組み合わせることがポイント」とアドバイスする。どんな家電が有効なのか。
エアモニターで花粉を可視化
「花粉やPM2.5は目で見ることができません。まずはエアモニターを使い、室内の空気の状態を可視化することが、花粉対策の第一歩です」
エアモニターとは、室内の空気を観測し、微粒子やニオイ、温度、湿度などを記録する機器。スマートフォン(スマホ)アプリや空気清浄機と連動するものもある。
ブルーエアーの「Blueair Aware」は、エアモニターの代表格。観測データはリアルタイムに記録され、スマホアプリを使うことで、日・週・月単位での確認も可能。同社製のWi-Fi対応空気清浄機と連動するので、空気が汚れてきたら自動的に室内の空気もきれいにする、といったこともできる。
「アプリを使えば外出先からでも室内の空気の状態を確認可能。空気が汚れていると分かれば、空気清浄機を稼働させて帰宅時までにはクリーンな状態にする、といった使い方ができます」
空気清浄機の中にはエアモニター機能を内蔵したモデルもあるので、それらを利用してもいいだろう。
最新エアコンはAIで花粉対策
空気中の花粉を取り除く機能を持つ家電は空気清浄機だけではない。
「花粉対策には、空気清浄機能が強化された最新エアコンも有効です」
最新エアコンの特徴は、気象情報などと連動して運転を「最適化」することだ。
パナソニックのエアコン「エオリア X」シリーズは、「AI先読み空気清浄」機能を搭載。ウェザーニューズ社が提供する気象情報を取り込み、未来の空気の汚れをAIが予測。その予測に沿って、自動的に空気の清浄を行うことができる。
「エオリア Xは花粉の予測だけでなく、空気清浄運転のスタートもしてくれます」
シャープの「J-X」シリーズは、シャープ独自のプラズマクラスターを使って空気清浄を行う。エアコンの内部をケアし、ほこりやカビの発生も抑える。
「エアコンと連携するクラウドサービス『COCORO AIR』が、地域の天気予報情報から花粉の飛散量の予報などを分析。エアコンの運転を最適化します。起床時間や外出時間などの生活パターンや、部屋の暖まりやすさなどを判断し、エアコンがフル回転しないで済むように省エネ運転をしてくれるのもポイント」
マンションなら加湿器導入
「マンションなど、機密性の高い住宅に住んでいるなら、加湿器が有効です。部屋を加湿することで人の粘膜を守るほか、花粉を早く床に落下させる効果が期待できます」
加湿器には、超音波を使って水を霧状にして加湿する「超音波式」、ヒーターで水を蒸発させ湯気を放出して加湿する「スチーム式」、水を浸透させたフィルターに風を当てて気化させることで加湿する「気化式」など、いくつか方式がある。
超音波式は、電気代は安いが、水中の雑菌や汚れ、カルキ分なども一緒に放出してしまうリスクがある。スチーム式は、水を加熱しているため、雑菌などを放出するリスクは少ないが、電気代がかかること、加熱部に白い粉がつくことなどがデメリット。菌や電気代の問題をクリアしているのが気化式だが、立ち上がりが遅いことが弱点だ。最近は、それら弱点を補うため、2つの方式を組み合わせた「ハイブリッド式」も登場している(記事「冬の乾燥を撃退 最新ハイパワー加湿器4選」参照)。
ダイニチ「RX」シリーズは、気化式にヒーターを搭載したハイブリッド加熱気化式を採用。気化式の立ち上がりの遅さを温風でカバーし、湿度が安定したら送風に切り替える。
「静音性にこだわって作っており、最小の運転音は13dBと非常に静かです。ハンドルがついているので、片手で楽に移動できます。デザイン性も高いので、置く部屋を選ばない点もポイントです」
三菱重工冷熱の「roomist(ルーミスト)」はスチーム式の加湿器だが、フィルターにすわせた分だけを加熱するため、電気代を抑えることに成功した。
「水を加熱することで清潔さを維持しながら、蒸発口から出る湯気も熱くない。小さな子どもがいる世帯におすすめです」
床に落ちた花粉は拭き掃除が有効
加湿器で床に落ちた花粉もそのままにしておくと、再び舞い散る可能性もある。
「加湿器で床に落ちた花粉を除去するのに効果的なのが拭き掃除です。しかし、雑巾を使った拭き掃除はかなり大変で、毎日するのは難しい。そこでお勧めなのが、拭き掃除をするお掃除ロボットです」
ルンバと同じアイロボットの「Braava jet」(ブラーバジェット)は、拭き掃除をするお掃除ロボット。クリーニングパッドを装着するタイプなので、パッドを変えれば、から拭きと水拭き、どちらでも可能だ(記事「雑巾がけロボット掃除機の実力 部屋も片付く一石二鳥」参照)。
「面倒なふき掃除もBraava jetがあれば毎日してくれますし、フローリングの汚れやべたつきもふき取れます。5万円を超えるロボット掃除機も多い中で、お試し感覚でも購入できる価格も魅力です」
(文 秋葉けんた=マイカ)
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