保湿で手荒れ防ぐ ハンドクリームは症状別に使い分け
手荒れを手湿疹にしない(下)
手荒れを予防、改善するには、どうすればよいのか――。洗浄力の強い石けんで頻繁に手を洗う、湿ったハンカチで手を洗うといった、手指を刺激する習慣をやめ、こまめな保湿で皮膚のバリア機能を守りたい。今回は、症状別に最適なハンドクリーム選びを紹介する。
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ケアの2大柱は水や乾燥からの「防御」と徹底した「保湿」だ。手洗いや水仕事は生活上避けられないゆえ、「洗い方」を見直したい。
手洗いは「石けんを使う場合はよく泡立て、よくすすぐ。水滴が残っていると気化するときに潤いを奪うので、タオル地など吸水性の高いハンカチでしっかり拭くとよい」(野村皮膚科医院の野村有子院長)。なお、公共施設などのハンドドライヤーは「長時間使うと皮膚に必要な水分も飛んでしまう恐れがある」と、野村院長は注意を促す。殺菌作用の強い石けんの使用もほどほどに。
食器を洗う際は「"ぬるま湯でため洗い"がお勧め。流しっ放しだと皮脂が奪われやすい。手袋の使用や、洗剤選びも大切」(埼玉県済生会川口総合病院皮膚科の高山かおる主任部長)。洗う前に食器の油汚れを拭きとるなど、洗剤や水量を減らす工夫もしたい。
そして手が水に触れた後は必ずハンドクリームで保湿を。"こまめにたっぷり"が鉄則だ。「よく手を洗う人は、『塗ってもすぐ洗い落とされるから意味がない』というが、クリームは塗った直後から角層に浸透していくので、洗って多少落ちたとしても無駄にはならない」(高山主任部長)。
クリームは気になる症状別に選ぶと効果的だ。フェイスケアと同じ発想で「全体は保湿系をつけ、気になる部分に症状別のものを重ねづけするのもお勧め」(野村院長)。
塗り方も大事。「ごしごしすり込まず、大事なものに塗るように。手の線に沿って伸ばすと成分が浸透しやすい。ささくれ対策に爪周囲も塗るとよい」と、高山主任部長はアドバイスする。
なお、ステロイドを含む市販の皮膚炎治療薬は強いかゆみに有用だが、「用法用量を守り、短期間にとどめて。症状のある部分にだけ使うようにしてほしい」(高山主任部長)。
野村皮膚科医院(横浜市神奈川区)院長。日本皮膚科学会皮膚科専門医。慶應義塾大学医学部皮膚科教室を経て1998年開業。手荒れのケア指導に力を入れており、メディアにも数多く登場。
埼玉県済生会川口総合病院皮膚科(埼玉県川口市)主任部長。日本皮膚科学会皮膚科専門医。東京医科歯科大学医学系研究科博士課程修了後、同大学勤務を経て2018年より現職。
(ライター:渡邉真由美、構成:日経ヘルス 中西奈美)
[日経ヘルス2019年2月号の記事を再構成]
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