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北朝鮮で寝台列車の旅 車窓巡る手つかずの自然と農村

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ナショナルジオグラフィック日本版

英国国鉄の職員だったマーク・ドラン氏。少年時代から蒸気機関車が大好きだった同氏が2018年に選んだ列車は、平壌から北東へ向かって北朝鮮の海岸線を旅する寝台列車だ。外国人が見ることが許されなかった車窓からの風景と人々の生活を、自らも北京から平壌へ赴いてドラン氏の旅に同行したダビデ・モンテレオーネ氏の写真で見ていこう。

◇  ◇  ◇

ドラン氏が参加したツアーは2018年9月に平壌を出発し、ロシアと中国との国境に近い羅先(ラソン)特別市までの鉄道旅を体験した。北京の旅行会社「高麗(コリョ)ツアーズ」によると、1年前まで外国人旅行客には許可されていなかった旅程だという。

ドラン氏を含めたツアーの参加者は合計12人。全行程36時間の列車の旅だ。普通は、自由を楽しむために旅に出るものだが、北朝鮮観光は自由が制限される。ツアー客には政府のガイドがピタリとはりつき、監視の目を光らせる。外国人は、体制が見せたいものだけを観光する。

だが、このツアーは、北朝鮮の農村部も通過する列車の旅だ。高麗ツアーズの創業者ニコラス・ボナー氏は、2004年にマスゲームの訓練を積む2人の若い体操選手を追ったドキュメンタリー番組を制作中に、この路線に乗った。その後、国の開発は遅々として進まず、風景は今も当時とほとんど変わっていないと、ボナー氏は語る。

「近代的な建物はなく、手つかずのビーチや小さな入り江が連なる、東アジアでも数少ない美しい海岸線です。貧しくはありますが、この風景には目を奪われます」

列車はかなり旧式だ。「1950年代か60年代の旧ソ連のものでした。それ以来ほとんど変わっていないと思います」。一緒に旅行したブリトン・ルース・クラーク氏はそう語る。「でも車内はきれいですよ。トイレも清掃が行き届き、トイレットペーパーも切れることはありませんでした。コンパートメントも快適で、寝具も清潔。みんなよく眠れたようです」

国際列車の車両と比べると、国内用の車両は「みすぼらしかった」とドラン氏は表現する。クラーク氏は、「今回実際にかかったのは34時間でした。列車での長旅は大変そうに聞こえますが、窓の外には見るものがたくさんありますから、時間はあっという間に過ぎてしまいました」と感想を述べた。

「中央の高地には手つかずの森に覆われた丘や谷が広がり、豊かな自然は世界のどこと比べても引けを取らない美しさです。収穫を待つ畑では、人々が農作業をしていました。ほこりっぽい道を行き交うのは自転車ばかりでしたが、たまに牛に引かれた荷車も見かけました。これが100年前の世界ではなく、本当に2018年なのだと確信させてくれるものはほとんど見当たりませんでした」

ドラン氏とツアーガイドのイアン・ベネット氏は、清津(チョンジン)市に短時間停車した際、運よく機関庫に入っていた本物の蒸気機関車に遭遇した。「世界でも残り少ない今も現役で活躍する蒸気機関車です」

国際車両に乗っていた外国人旅行客は、北朝鮮人と完全に切り離される。「客室のなかに閉じ込められて、地元の人との接触はほとんどありませんでした」と、クラーク氏。

羅先に到着すると、車内で検査があった。「市民が無許可で乗車していないか調べるためです。私たちのパスポートも調べられました。数人の乗客が列車から降ろされていましたが、私たちのグループは全員無事でした。警備員たちも、厳しい態度を取って外交問題にでもなったら大変だと思っていたのでしょう。私たちより彼らの方が明らかに緊張していましたね」

いったん列車を降りると、意外にも自由行動が少しばかり認められた。羅先は、羅津(ラジン)と先鋒(ソンボン)というふたつの町を合併させてつくった経済特区だ(両方の町の最初の1文字をとって「羅先」と名付けられた)。中国の吉林省とロシアの沿海地方ハサンスキー地区に近く、中国やロシアは、気候が穏やかで冬でも凍らないこの地の港を昔から利用してきたため、地元の人々は外国人に慣れている。

中国人向けカジノもあるが、ギャンブルは北朝鮮人には禁じられている。北朝鮮で唯一外国人に開放されている市場も、羅先にある。また、漁業が1990年代初めに実験的産業として開発されるはずだったが、他のあらゆるものと同様、地政学的緊張が続いたおかげで停滞したままだ。

いずれにしても、列車の長旅から解放されたツアー客はしばしの間、監視なしで自由に歩き、地元住人とも交流した。

こうした列車の旅が、今後、いつまで続くのかは分からない。

韓国の聯合(れんごう)ニュースによると、韓国の文在寅大統領は2019年末までに北朝鮮行きの鉄道路線を2本開通させたい考えだという。経済制裁が続く限り実現は難しそうだが、南北両国の国民が同じ列車に乗って交流する日がいつか来るかもしれない。現実の世界ではいろいろあっても、列車の旅はどこかホッとする和やかな気分にしてくれることだけは間違いない。

次ページでも、モンテレオーネ氏が撮影した貴重な写真で、北朝鮮の列車旅を感じてみてほしい。

(文 Soo Youn、写真 Davide Monteleone、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2019年1月9日付記事を再構成]

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